見出し画像

【アルバム解説】さよならまでのあまやどり① ~作品全体~

4月1日に発売となる、咲花-サカナ。-の1stフルアルバム、「さよならまでのあまやどり」。
何回かにわけて楽曲の解説をしていこうかと思うのですが、発売前ということもあるので、まずはネタバレをしない範囲で作品全体について触れていきます。


アルバムを作るならプレスCDで


音楽活動をするのであれば、いつかプレスCDで単独音源を作りたい、フルアルバムを作りたい、というのは、CD世代にとってはある種の目標じゃないですか。
やはり、形に残るものを、というのがそもそもの動機ではありますよね。

一方で、音楽を取り巻く環境はここ数年で大きく変わっていて、もはやCDがコレクターアイテム化しているな、と。
実際、音楽をリリースするにあたり、配信でやったほうが簡単だということは身に染みてわかったところで、あと数年もすればCDをプレスする業者も淘汰され、その結果、高コスト化することが目に見えています。
将来的にプレスCDを作りたい(可能な限り安価で)と願うのであれば、いずれ曲が増えたら、などと悠長なことは言っていられないのですよ。

だから今、ということなのですが、いくらCDに慣れ親しんでいてCDを作りたいと思ったとしても、配信で済んでしまう内容であればわざわざコストをかけて売れないCDを作っても仕方ない、と思う自分もいる。
CDで出す意味をどこに見出すべきかは、もっとも悩んだところでした。

そんなわけで、"音小説"というコンセプトを設けることに。
小説って、「犯人はあなたです。」という結末だけ読んだところで面白くないわけですよ。
順番に読むから感情移入が容易になり、ストーリー運びに一喜一憂できるようになる。
伏線を張って、後に回収するプロセスが大事なのです。
EPではなくアルバムであるなら、曲順にこだわるのは大前提ですが、音楽アルバムにおける流れの良さとストーリー上の起承転結をリンクさせることができれば、CDとしてパッケージ化する理由になるのでは、と思ったのでした。
1曲目から最後の曲まで通して聴くことではじめて物語が成立する作品にしよう、という方向性が決まったことで、遂にアルバムを作ると腹を括ります。

メインテーマは"あまやどり"


小説的なストーリーアルバムというコンセプトに思い当たった段階で、既に「オナジソラノシタ」、「あめあがり」、「野良犬に鎖」の3曲はレコーディング済み。
しかも、「うさぎのちあめ」、「黒猫と花火」の制作スケジュールも決めてしまっていて、"小動物三部作"なんて謳ってしまっている。
この5曲の歌詞は変えられない、という縛りで、改めてアルバムの構想を考えることになりました。

もともとうっすら考えていたのは、「あめあがり」を軸にすること。
オムニバスの特典CDR用の楽曲として発表したものの、思い入れが深い楽曲でもあったので、きちんとスポットライトを浴びせてやりたいな、と。
そこで、歌詞の中で出てきた"あまやどり"を深掘りして、雨が降ってから雨が上がるまでのストーリーを広げていこう、とテーマを決めます。

"あまやどり"というキーワードを選んだもうひとつの理由としては、"小動物三部作"の3曲は、"雨の中で命を落とす"というラストシーンが共通していること。
さすがに、小動物視点の歌詞をメインシナリオに組み込むことは難しかったので、これらはイメージカットとして使うことにしたのですが、それであれば、メインシナリオも"小動物三部作"の楽曲たちとリンクしていなければならないわけですよ。
要するに、デジタルリリースした先行シングル3曲が、「さよならまでのあまやどり」のデフォルメしたダイジェストになる、そんなストーリーを目指しました。
ここを突っ込みすぎるとネタバレにも踏み込んでしまうので、ひとまずこの辺で。

不可抗力だった特殊パッケージ仕様


次に、パッケージ。
ラッピングバック仕様のジャケットに、ポストカードタイプの歌詞カードが封入された特殊パッケージとなっています。

こちらについては、色々と背景がありまして、CDをプレスする際、誤ってティアテープ付きの不織布セットを注文してしまったのですよ。
歌詞カードについてはポストカードを使うことを決めていたので、通常のジュエルケース仕様にするつもりはなかったものの、バルク形式でCDだけプレスして、後からトールケースに詰め替える想定だったのです。

ところが届いたCDは、不織布ケースに封入されているだけならともかく、有料オプションであるティアテープまでついている。
これをひとつひとつ剥がしてトールケースに詰め替えるのもナンセンスだと思ったので、急遽ジャケットの仕様を変更。
ケースの発注をしていなくて良かった、と肝を冷やした瞬間でした。
ちょうど良いサイズ感のものが見つけられず、少し取り出しにくい&紙のため破れるリスクがあるのは申し訳ないのですが、あまり他では見たことがない仕様になったので結果オーライとさせてください。

ちなみに、ポストカードにこだわったのは、その楽曲がストーリー上で担う役割をしっかり伝えるために、1曲ごとのアートワークおよび表面と裏面の組み合わせが必要だったから。
このポストカードもフィジカルでリリースする意義だと思っているので、最初の1回は、御面倒でも袋からポストカードを取り出していただいて、ストーリーを追いながら聴いてほしいですね。
あと、年賀状印刷でもわかるとおり、少量でカラー印刷しても安いというのが現実的な部分でのメリットだったりします。


とりあえず、初回はこんな感じで。
これから1曲ずつ解説していくのであれば、長いシリーズになりそうな予感ですが、2回目からはネタバレを含むかもしれないので、まずは聴いていただけますと。


さよならまでのあまやどり / 咲花-サカナ。-

【発売日】2024/4/1(mon)

【価格】2,200円(税込)

【収録曲】

4月 さくらの花、咲くころ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

5月 カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

6月 忘れ物
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

7月 黒猫と花火
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

8月 夏草の丘
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

9月 枯花-カレバナ。-
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

10月 野良犬に鎖
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

11月 ゆめわずらい。
  作詞 遠藤サカナ 作曲 Yuki & 遠藤サカナ 編曲 Yuki

12月 オナジソラノシタ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

1月 魔法が解ける、その日まで
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

2月 うさぎ のち あめ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

3月 あめあがり
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

ジャケットイラスト 酢平☆

【販売ショップ】

”Raffine” ライナーノーツGARDEN (4/1以降に販売開始)

特典 : まつりのよる2
 1. 恋文
 2. 影になった夜
 3. 屋上思春期

OZ WORKS ONLINE SHOP(予約受付中)

特典 : 忘れ物(demo)
 1. 忘れ物-demo take-
 2. 忘れ物-inst.-


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?