見出し画像

「ギャ男が選ぶ名盤BEST50」にかこつけて好きなCDを5枚ずつ語る(46位~50位)

ヴェラさんが主催している「ギャ男が選ぶ名盤BEST50」を集めて1冊の本にするという企画。
企画発表直後はTwitterのタイムライン等でちょくちょくこれに関連付けた話題を目にしていたものの、1ヵ月以上経ったこともあり、あまり見かけなくなってきた。

参加の締め切りは3月まで。
それまでにもCDはリリースされていくわけだし、選ぶのだって一苦労。
ギリギリまで粘ろうとする人も多いであろう一方で、記憶が風化してしまい、気が付いた頃には締め切りが過ぎていた、なんてこともあり得る期限感だ。
微力ながらリマインドのきっかけになるのでは、という思いもあって、自分で選んだBEST50から、5枚ずつ、10回に分けて紹介していくことにする。(10回となると、さすがに刻みすぎている気がしないでもないが。)

なお、既に候補作品については、250作をノミネート済み。
同じように一覧化したものを並べるだけだったら芸がないので、ひとつひとつ掘り下げてみようかと。
好きなCDを語るきっかけなんて、いくらあっても足りないぐらいだもの。

第50位

種まき蔵/Jin-Machine(2015)

画像1

Jin-Machineの2ndフルアルバム。
お笑い要素が強すぎて対象となるリスナー層が限られてしまった1stの反省を正しく糧にすべく、ヴィジュアル系バンドとしての在り方を研究。
"刺さる"楽曲を持ってこれるようになったことで、お笑い要素のインパクトが倍増し、改めて武器になった。
普段ふざけている人たちが、たまに見せる真面目な顔。
そんなネタとマジとのバランスが絶妙で、V系コミックバンドの筆頭に躍り出たターニングポイント的な1枚である。
松竹梅の3種類でのリリースで、それぞれ収録曲が異なる点はハードルが高いが、シーン的にはインストアイベントありきの複数売りが全盛期だった頃。
実需よりも出荷量が多く、中古であれば安価で入手可能なのも初心者からしてみればメリットであろう。

第49位

It's a small world's end / The Nostradamnz(2017)

画像2

The Nostradamnzの1stフルアルバム。
アングラ界におけるスリーピースのパンクバンドといったところだろうか。
キャッチーなメロディには爽快感があるのに、どうしてこんなにもセンチメンタルな気持ちにさせられるのだろう。
顔で笑って、心で泣いて。
瞬間的に駆け抜ける性急なリズムの気持ち良さと、その裏に潜むアイロニカルなメッセージには、大人になってしまった少年が、衝動性に任せて突き進むことへの不安や心細さを引き連れているようで、明るければ明るいほどに胸を打つ。
Dr.上邑隼人のピエロメイクも、そんな彼らの特徴をとらえたアイコンとして機能しており、トータルバランスとしても文句なし。
まさか大人になってまで、パンクで泣かされるとは思わなかった。

第48位

夢の白地図 / Clavier~クラビア~(2005)

画像3

Clavier~クラビア~が残した、唯一のミニアルバム。
DaizyStripperの実質的な前身バンドとしても知られているが、まだまだ若さが先立っていて、スキルや環境面では、一段劣るというのが正直なところである。
ただし、彼らの魅力は、そういう拙さや未熟さがあってこそ際立ってくるのだ。
足りない部分があるなんて当たり前で、それでも信じた道を突き進んでいく若者の純真さ、ひたむきさ、清々しさ。
既にノスタルジックな感傷になってしまったそんな青臭さが、本作には練り込まれた演出ではなくリアルなサウンドとして表現される。
そして、何と言っても曲の良さ。
メロディメーカー風弥による耳馴染みの良い旋律は、シンプルなアレンジによって素材の良さが引き立てられ、眩しい青春の1枚に爽やかな彩りを添えたと言えるだろう。

第47位

Parade / Plastic Tree(2000)

画像4

Plastic Treeの3rdアルバム。
Vo.有村竜太朗の歌声は、どこか消え入りそうなほどに繊細。
決して上手くはないのかもしれないが、代替が効かない唯一無二の個性として、四半世紀以上も第一線に君臨中である。
そんな彼らが、ひとつ次のステップに踏み込んだなと実感させられたのが、この「Parade」だ。
音質が向上して垢抜けたことに加え、世界観への没入度合いが圧倒的に増した印象で、ヒットシングル「ツメタイヒカリ」をあえて選外にするなど、アルバムの中で表現すべきことは何か、こだわりを強く持っていた。
輪郭がはっきりせずにぼやけたままのジャケットのアートワーク。
なんだかザワザワと心を掻き乱すのだが、今の彼らが持つ浮遊感や虚無感にも繋がっている気がするな。

第46位

Beautiful&Resistance / RIBBON

画像5

ex-MARRY+AN+BLOODのVo.神崎や、ex-LAREINEのBa.えみる、Dr.KAZUMIが在籍していたRIBBONの1stミニアルバム。
ハードボイルドな硬派さと、ナルシスティックな耽美主義。
両方を兼ね備えた神崎の歌声は、美しく艶やかなメロディと、スリリングな緊迫感を纏ったサウンドにピタリとハマっており、クオリティの高い楽曲が揃えられていた。
短命で終わったのが惜しいバンドだが、だからこそ、刹那的な輝きを見せた本作が色褪せないのかもしれない。
なお、LAREINE、ANUBISといった、その後にえみるが在籍したバンドでも演奏された名曲「極東の恋人-THE FAR EASTERN LOVE-」が、初収録となった作品でもある。
楽曲単体でのインパクトは、粒ぞろいの楽曲たちの中でも群を抜いており、この1曲があったからこそ、BEST50に食い込んだと言っても過言ではない。


残すところ、45枚。
これ、結構気が遠くなる作業になるな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?