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【アルバム解説】さよならまでのあまやどり④ ~忘れ物~

咲花-サカナ。-のフルアルバム「さよならまでのあまやどり」。
3曲目となる「忘れ物」について、思いつくままに解説していきます。



「忘れ物」と書いて「アンブレラ」と読む


歌詞カードを見ていただくと、ルビで小さく"アンブレラ"と書いています。
完成ギリギリまで、普通に"わすれもの"と読ませるつもりで、楽曲データも"wasuremono"になっているのですが、歌詞カードのデザインを入稿する際に思い付きで読み方を振ってみました。

雨が降るのを知っていたのに、傘を忘れた。
もともと、忘れ物=アンブレラ。
だけど、咲花-サカナ。-においてはタイトルは日本語というこだわりがあって、素直に"アンブレラ"や"umbrella"とはしたくなかったのですよね。
それで「忘れ物」にしていたのですが、土壇場になって、両方とも正式なタイトルにしちゃえ、と。

なお、この楽曲は新橋朱里さんに作曲をお願いしています。
もともと、自作の「忘れ物」がここに入る予定だったのですが、コード感だったり楽曲構成だったりが他の曲と被ってしまって、練り直しに。
とはいえ、一度歌詞まで書き上げてしまった楽曲のイメージを忘れてゼロから作り直すというのは、意識すればするほど難しい。
ストーリーが決まっているからこそ、既存のフレーズを残す方向に頭が働いてしまい、全然楽曲が固まらない状態で。
そんな中で新橋さんと組んで楽曲を作ろう、というお話が出てきたので、だったら先入観のない人に作ってもらいましょうと、こちらのイメージを伝えながら新曲を書き下ろしていただきました。

結果として、2~4曲目は新橋ゾーンに。
ラウドなサウンドと歯切れの良い疾走感は、アルバムに不足している要素でもあったので、ヴィジュアル系リスナーに刺さるアルバムを作りたいと思ったときに、大事なピースになってくれたのでは、なんて。


demo takeはOZ WORKS ONLINE SHOPの購入特典に


自分の場合、作曲の段階ではメロディラインを打ち込むだけなので、練習を除けばレコーディングが最初で最後の歌唱です。
仮歌を録る機会などなく、その意味では、歌入りのデモ音源というものは基本的に存在しないと言えるでしょう。

では、特典にしたdemo takeって何?となるのですが、要はデッドストックです。
本番としてレコーディングして、ミックス、マスタリングまで行ったのですが、どうもしっくりこず。
数ヵ月後、改めて録り直したのがアルバムに収録されたテイクとなります。

もっとも、しっくりこなかった理由は、曲そのものにあるわけではなく、"僕"から"君"に視点が切り替わるにタイミングでキーが低くなるのはおかしいというストーリー展開上の要因。
オクターブ上で歌ったほうがハマるだろう、ということで、世に出る前から再録をすることになったという。
没テイクは、そのままお蔵入りにするつもりだったものの、取り扱いショップが2店舗になったので、特典として世に出ることになりました。

ちなみに、Inst.verがあるのは、Yukiさんの気まぐれ。
当然、オケは全曲にありますが、そのすべてをマスタリングして手元に保存しているわけではないので、特典を作ろう→マスタリングをしている没テイクがある→たまたまその曲のカラオケもマスタリングしている、という流れは、なかなか奇蹟的だったなと振り返ってみて思います。


(ネタバレ注意)あまやどりがはじまった


「さよならまでのあまやどり」がいよいよスタートです。
「カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)」も、ふたりのはじまりという意味合いで書いてはいるのですが、"あまやどり"というキーワードは、こちらに登場させることにしました。
12曲の構成上、ふたりの関係性を「カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)」と「忘れ物」で書き切らなくてはいけなくて、お互いが"運命の人"であることを印象付けるため、晴れと雨を対比させています。
正反対を描きつつ、それが相互補完となる相性の良さとなっている。
そんなイメージを受け取ってもらえていたら良いのですが。

個人的には、楽曲単体での歌詞として、これがもっとも気に入っています。
「同じ空の下」とか「神様が死んだ日」ほどストーリーは明確ではないのですけれど、想像の余地を残すという意味ではちょうどよいのでは、と。

「差していた傘は鞄には戻さず 雨を待っていた」

サビには同じ歌詞を使っているのですが、雨を待っているから日傘兼用の傘をしまわずにいた1番と、相合傘を狙って傘を準備せずにいた2番で、浮かぶ映像が変わるようにできたのが自分を褒めたいポイントです。

結局、相合傘作戦は失敗。
しかし、それは都合の良い風が吹くカゼハレの魔法でもありました。
こうして、タイトルにもある"あまやどり"がはじまります。

"また同じ夢"の内容となる「黒猫と花火」に続く。



さよならまでのあまやどり / 咲花-サカナ。-

【発売日】2024/4/1(mon)

【価格】2,200円(税込)

【収録曲】

4月 さくらの花、咲くころ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

5月 カゼハレ(風が強く、良く晴れた日)
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

6月 忘れ物
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

7月 黒猫と花火
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 新橋朱里

8月 夏草の丘
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

9月 枯花-カレバナ。-
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

10月 野良犬に鎖
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

11月 ゆめわずらい。
  作詞 遠藤サカナ 作曲 Yuki & 遠藤サカナ 編曲 Yuki

12月 オナジソラノシタ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

1月 魔法が解ける、その日まで
  作詞 遠藤サカナ 作曲・編曲 新橋朱里

2月 うさぎ のち あめ
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 Yuki

3月 あめあがり
  作詞・作曲 遠藤サカナ 編曲 可憐

ジャケットイラスト 酢平☆

【販売ショップ】

”Raffine” ライナーノーツGARDEN

特典 : まつりのよる2
 1. 恋文
 2. 影になった夜
 3. 屋上思春期

OZ WORKS ONLINE SHOP

特典 : 忘れ物(demo)
 1. 忘れ物-demo take-
 2. 忘れ物-inst.-

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