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カルピス・ロックの作り方

カルピスの原液をグラスに注いで、氷を入れる。
以上、カルピス・ロックのレシピでした。


突然何事か、とお思いのみなさまが大半かと思うのだが、「おうち居酒屋やってみた」というテーマがnoteのお題にあったので。
まったくお酒を飲まない僕にとって、このテーマで書く機会はないだろうな、なんて高を括っていたのだけれど、"おうち居酒屋"なる概念があるのであれば僕の夢が叶えられるのではないか、とおうち居酒屋"肴がとれた"の唯一のオリジナルメニューとなったのが、カルピス・ロックだ。
新しい音楽ジャンルではないので、そういう記事を期待して読み始めた方には申し訳ない気持ちがなくもない。

それにしても、世の中とは不公平である。
梅酒を頼む場合は、水割りにするかソーダ割りにするかと聞かれても、ストレート、またはロックと言えば、注文は通ってしまう。
一方で、カルピスだ。
やはり水割りにするかソーダ割りにするかを聞かれるのに、ストレート、ないしはロックと言っても、注文は通らない。
これは、カルピス差別だとも言えるだろう。

僕はかなりの甘党らしく、最近は健康維持の観点から控えているものの、若い頃はファミレスのドリンクバーでは、コーラにガムシロップを入れて飲んでいて、先輩や友人から大いに引かれていた。
そんな僕にとって、カルピスは、原液に氷を入れたぐらい濃いのが至高。
故に、カルピス・ロックを注文してオーダーが通るという愉悦を堪能することは、叶えたい夢のひとつだったのだ。

もちろん、それに腹を立てても仕方ないことは理解している。
ドリンクバーよろしく、デフォルトでカルピスウォーターかカルピスソーダしか抽出できない仕様になっているのが大半で、原液と水やソーダで割ってくれる本格派のカルピスバーなど、まず見かけない。
(一応、バーテンが高級カルピスを提供するイメージでカルピスバーという言葉を持ち出したが、一般的には、カルピスの棒アイスであることも受け入れなければいけない事実だ。)



少し寄り道するが、限りなく理想に近づいたことがあった。
もう10年以上前になるのか、ライブの打ち上げと称して、仲間内で池袋の居酒屋に立ち寄った日のこと。
いつものようにカルピスは水で割るかソーダで割るかを聞かれたので、「ロックってわけにはいかないですもんね……」と半ば冗談で呟きながらどちらにするかで迷っていたところ、「良いですね、ロック!やってみましょうか!」と、そのまま注文が通ってしまったのだ。
これは夢がかなったのでは!行きつけにしないと!とテンションが上がる僕に差し出されたのは、テキーラのショット用のグラスに注がれた、まさしくカルピスの原液。
こうやって出てくると、なんだかお洒落な気もしてくる。

それなのに、僕はモヤモヤとした気持ちを抱えていた。
若かったのだ。
これもカルピスが梅酒と同じ権利を持つための第一歩、と喜ぶべきだったのに、それをすることができなかった。
僕はロックの注文をしたはずなのに、出てきたのはストレート。
氷が入っていないじゃないか、と(全部飲んだけど)。

それ以来、居酒屋でカルピス・ロックは注文していない。
そもそもメニューにないし。
そのときはフレンドリーな店員さんがネタだと思って乗っかってきてくれたから良かったけれど、普通はスルーされて終わりだし、マクドナルドでピクルスを抜いてもらうぐらいのトーンでお願いしてしまうと、困惑させるか、ウザ絡みする迷惑な客になってしまうし。
あと、テキーラショットの量で450円ってちょっと割高だなって思ってしまったし。


そんなわけで、カルピス・ロックは誰にも迷惑をかけないおうち居酒屋が至高。
もっとも、カルピス差別をなくすべきだと主張するカルピストとしては、普通にメニューとして取り扱ってほしいという夢を捨てたつもりはないので、タピオカとかマリトッツォみたいな感じで流行ってくれないかな。
カルピス・ロック。
超甘党のインフルエンサーさん、こちらを見ていただいていたら何卒。

#おうち居酒屋やってみた

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