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2023年5月FOMC決定会合

5月2日から3日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)の決定会合について、要点をまとめます。参加者の意見は分かれていますが、注目すべきポイントとして、2023年のコアインフレ率の予測が3月の予測中央値の3.6から0.2ポイント上昇した3.8となっており、利上げ停止には楽観的な見方はできません。

経済状況について

第1四半期の実質国内総生産(GDP)は緩やかなペースで拡大し、雇用の増加と低い失業率が継続していました。個人消費支出(PCE)の価格指数は上昇し、労働市場は引き続き逼迫していました。
非農業部門の雇用者数は3月に増加ペースが鈍化しましたが、依然として順調で失業率は3.5%まで低下しました。最近の指標によれば、名目賃金の伸びは緩和していましたが、まだ高水準でした。
消費者物価のインフレ率は3月も上昇しましたが、鈍化の傾向も見られました。

財務状況について

銀行セクターのストレスが緩和されるにつれて、経済活動の急速な減速に関する懸念は後退しているようです。一般的に、企業や家計のほとんどの信用の質は引き続き強固ですが、信用格付けの低い企業や低い信用スコアを持つ家計ではやや悪化しているようです。

スタッフの経済見通し

厳しい金融状況による銀行信用の引き締めが今年後半に影響し、緩やかな景気後退が始まり、その後も緩やかなペースで続くと予測されていました。実質GDPは今後2四半期で減速し、今年第4四半期と来年第1四半期の両方でわずかに減少する見込みです。

コアインフレの予測は前回の予想に比べて若干上方修正されました。最近のコアPCE商品価格とECI指標(特にコア非住宅サービスインフレに影響を与える)のデータは予想を上回っており、需要と供給の不均衡が商品市場と労働力市場の両方で生じていると判断されました。市場の緩和は予想よりも若干遅れています。年間ベースで見たPCE価格の総インフレ率は3.1%、コアインフレ率は3.8%と予測されています。

参加者の見解

参加者は、上記の状況を踏まえてインフレリスクに非常に注意を払っています。一部の参加者は、インフレ率が2%に戻る進展が遅すぎる可能性があり、そのために今後の会合で追加の政策強化が正当化される可能性が高いとコメントしました。ただし、数人の参加者は、経済が現在の見通し通りに進展するのであれば、今回の会合後にさらなる政策の強化は必要ないかもしれないと指摘しました。


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