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【フリゲ感想】穴の中

この記事の文字数は約5,600字です!

おはこんにちばんは! 富井サカナです。
今回は何の気なしにプレイしてメッチャ面白かったゲームのご紹介です!

決してグラフィックが高品質!とかではないものの、
マルチエンドのサウンドノベルとしての面白さが凝縮されていました。
そして、ホラーゲームとしてもストーリーも演出もともに◎
凄く面白かったので、雰囲気に抵抗なければ是非遊んでほしいです!

1.どんなゲーム?

今回紹介したいのは、蜂谷さんの「穴の中」です!!

【制作】 蜂谷様
【制作ツール】ティラノビルダー
【プレイ時間】フルコンプ1時間半程度
【ジャンル】ホラーサウンドノベルゲーム
【KW】ホラー、サウンドノベル
【筆者プレイ時期】2021年11月プレイ、2022年2月再プレイ
【筆者プレイ状況】エンディング全6種クリア

【あらすじ】
『おい、陥没穴、見たかーーーー』
空港の建設現場で働くあなたは、そんな声をかけられて作業の手を止めた。
現場に突如現れた大きな穴。興味本位で覗き込んだあなたは、その日から不穏な出来事に巻き込まれていく。
その穴は、触れてはいけない禁忌だった。
はたしてあなたは、その秘密を明かし、穴の呪いを解くことができるのだろうか……

【一言でいえばどんなゲーム?】
青いシルエットでお届けする、マルチエンドホラー全画面サウンドノベル!



2.こんな方に特におススメ!

・ストーリー性の強いホラーゲームが好きな方
・ホラーを際立たせるギャグ要素と恋愛要素を味わいたい方
・青シルエットのマルチエンドサウンドノベル好き

本作はまずバッチリとホラーです。
驚かせ系みたいなのもなくはないのですが、正統派に怖いです。
土着信仰的な不気味な和風要素もしっかり入ったストーリーと、
丁寧に配置された画像、BGM、効果音、すべてが融合して怖いです。
BADが多めのエンディングの中でもTRUEはひと際怖いので必見です!

ずーっと怖い、というのも探せばあるのかもしれませんが、
振れ幅や落差があった方が受ける感情の刺激が大きいような気がします。
緊張と緩和、上げて落とすみたいなヤツです。
本作、序盤からおふざけテキストが冴え渡っております。
若者同士の楽しいシーンがあればこそ恐怖が引き立っている気がします。
また、ルートによってはほんのり恋愛要素があるのですが、
そのルートだと恐怖に加えて悲劇感を味わうこともできます。

さて、本作は昔懐かしい青シルエットの全画面ノベルです。
もうかまいたち世代には脳天直撃です。ですよね!
青シルエットはポーズ差分が滅茶苦茶いっぱいあって素晴らしいです。
背景が結構凝った構図のシーンなんかもあるのですが、
きちんとそれに合わせて青シルエットが適切に配置されてます。
普通に立ち絵を用意するよりよっぽど作画コストは大きいのでは?



3.ネタバレなしの紹介

まずはネタバレなしの紹介をここで書きます。

【作品紹介】
ティラノゲームフェス2021の参加作品です!

【剥き出しの面白さがここにはある!】
本作はホラーゲームなのでそう言った描写ももちろんあるのですが、
例えば廃校で肝試しして怖い!みたいなホラー特化型ゲームではなく、
ホラーを軸にしながら色んなシーンが楽しめたのがとても魅力でした。

主人公がフリーターで工事現場でのやりとりを描くというのはレアで、
バイト仲間や先輩とのやりとりはセリフも地の文も非常に面白かったです。
ルートによっては合コンイベントがあるのですが、
やっぱり主人公が普通の若者っぽい感じが逆に珍しく感じた気がしました。
普通っぽいのは主人公だけでなく、ガサツな社長やおちゃらけた先輩など、
登場人物はみな実際にいそうな市井の人々感がありました。

そんなありふれたはずの日常に突如現れる穴。
そして非現実的な出来事が次々と起き、主人公はそれに巻き込まれます。
自分の行動で運命が大きく変化するので選択肢の選びがいもありますよ!
マルチエンドならではの面白さを是非本作で味わってください!


というわけで、未プレイの方はここまで。
直近の週末にでも態勢を整えてプレイすることをお勧めいたします!
そうだ!それはまさに今日ですね!

ちなみに終盤あたりで割と難しめ(?)の分岐もありますので、
効率よく全EDを見たい方は作者さん作成の攻略サイトをどうぞ!

上記は直接リンクとなります。
楽して効率よく全エンド効率的に見たい方向けに、
以下に私もチャート作成してみました。
(人様のゲームでこういう攻略サイトっぽい情報出すの生まれて初めて)



4.最適化済攻略チャート(超微ネタバレ)

作者さんの攻略サイトにて全EDをクリアすることはできるのですが、
一番効率良く、かつ全ての展開を堪能できる攻略チャートを作成しました。
(再プレイ時に機能することは確認しました)
こちら、EDの回収順序は私のおススメとなっております。
以下で書かれている文章は選ぶべき選択肢となります。
ダブルチェックしましたがもし不具合あればご連絡ください。

※以下のEND回収順は6⇒5⇒4⇒2⇒1⇒3です
※最後は良い気分で終わりたい方はEND1を後回しにしましょう

★初めから
1章
〇なにも答えなかった
〇化け物に背を向け、車に駆け込んだ
2章
〇とくに気にならなかった
3章
〇動けない
〇伊野に電話した ★選択肢の前にセーブ①
〇社長の意見は正しいと思った ★選択肢の前にセーブ②
〇社長に協力する
⇒END6へ

★セーブ②から
〇社長の意見は間違っていると思った
4章
〇ふすまを開けない
〇足りないものはない ★選択肢の前にセーブ③
⇒END5へ

★セーブ③から
〇呪文
〇これで良い
⇒END4へ

★初めから
1章
〇違います、と心の中で答えた
〇化け物に立ち向かうべく、武器を探した
2章
〇これは何か、西条に訊いてみた
3章
〇扉の外を確認する
〇伊野に電話した
〇社長の意見は間違っていると思った
4章
〇ふすまを開ける
〇性別
〇これで良い
⇒END2へ

★セーブ③から
〇現時点では分からない
5章
〇色
⇒END1へ(ノベコレのバッジがもらえます!)

★セーブ①から
〇菅原に電話した
〇社長の意見は間違っていると思った
4章
〇ふすまを開ける
〇名前
〇これで良い
⇒END3へ(ノベコレのバッジがもらえます!)

以上です。
Trueの雰囲気のまま本作を終えると、
なんとも言えないプレイ後の雰囲気が残り続けて良いかな、と思います。



5.ネタバレありの感想

ここからは相当にネタバレを含みます。
プレイする前には読まないでください。

以下の感想を読む時間があったら本編を是非プレイして下さい。
冒頭を遊べばすぐに引き込まれるはず!さっさとレッツプレイ!

↓ネタバレ記事開始カウントダウン5

↓ネタバレ記事開始カウントダウン4

↓ネタバレ記事開始カウントダウン3

↓ネタバレ記事開始カウントダウン2

↓ネタバレ記事開始カウントダウン1

さて、改めてここからはネタバレ感想になります。
致命的なネタバレも含みますので未プレイの方は読まないでください。


■ストーリー
ストーリーは非常に面白かったです!ですよね!
これは!というポイントをいくつか記載したいと思います。

〇珍しい舞台設定
こういったゲームで舞台が工事現場というのはかなりレアかと思います。
学校とか閉鎖空間とか心霊スポット的なところが多いかと思いますが、
解放的な印象のある工事現場を持ってきたというのがまず興味深いです。
主人公が22歳のフリーターというのも割と珍しいと感じました。

〇リアルな設定
工事現場の穴にまつわる過去の因縁は何ともありそうな話だと思いました。
村に謎の一行がやってきて残酷な因習を行っていたとかなんともリアル。
ちなみに「サンカ」のようなノンフィクションを混ぜてくるあたり、
そのあたりもリアルさを形作るのに一役買っていたと思いました。

〇マルチエンド・象徴的なシーンでの分岐
クライマックスの工事現場での鎮魂の儀のシーン。
ここへのもっていき方が本当に上手いと惚れ惚れしてしまいました。
主人公の選択によって変化した状況がここで一気に結果として現れます。
選択肢によって大きくストーリーが分岐するお話も良いですが、
今作のように象徴的なシーンで細かく分岐するのも良いですよね。
なお、備忘のため記載しておくと結末は以下のようになります。
(一応少しだけなんとなく伏せます)

END1 鎮魂の儀が無事に成功するGood END
END2 藤原2名と主人公がまとめて穴の中に死す。
END3 藤原2名が穴の中に死す。無事に解決はしていない。
END4 藤原2名と主人公がまとめて穴の中に死す。
END5 藤原の最年長が自らの意思で穴の中に死す。END1の次にマシかも。
END6 自業自得。〇〇とともに穴の中に死す。

ちなみにこの鎮魂の儀のシーン以外でも、
チヨが連れていかれそうになるシーン(先輩or自分と社長)とか、
飛行機に乗っているシーン(チヨor後の彼女)みたいな対比も良かった。

〇ポンポン進む展開
かなりテンポ良く端折るところは端折っているのも良かったです。
舞台が工事現場、主人公は通いのアルバイトということで、
常にオカルトホラースポットに滞在しているわけではないですからね。
「それからいくつもの眠れない夜を過ごした」みたいな感じで、
さらりと途中を飛ばしつつここぞというシーンに集中していたかと。


■演出
本作にとても引き込まれたのはシナリオ・テキストもさることながら、
きちんと作り込まれた演出によるところも大きかったと感じました。

〇ホラー演出
・社長と逃げる直前にバッチリ姿を現すところ
・主人公の部屋のドアのアレ
・穴の中に引きずり込まれそうになる⇒引きずり込まれる
みたいな部分はいずれも凄く怖かったですね。

〇音楽と効果音
本作、改めてプレイしたところBGMの選曲は抜群に良いと思いました。
どの曲も他のゲームともあまりかぶっていない感じがしましたし、
全体的にシーンやゲーム内の雰囲気とピッタリでした。
先輩の妙に明るい着信音なんかも良かったです。

〇加工背景
背景はシーンに合わせてかなり沢山ありましたが、
いずれも同じようなトーンで加工されていて統一感がありました。

〇青シルエット
私自身が青シルエットを本能レベルで好きというのはありますが、
本作は特に藤原一族の設定もあるのでシルエットが最適解だと思いました。
各シーン、背景に合わせて細かくポーズ差分を作成していましたし、
チヨが髪を切るシーンなんてシルエットにときめいちゃいました。

〇その他演出
・章タイトルのおかげで都度都度ホラームードがリマインドされる
・Dead ENDの直前だけ文字表示がゆっくり特殊な出方をする
といったあたりも印象的でした。


■ユーモア
本作には作品通じて作者さんのユーモアが感じ取れてそこが好きです。
プレイの冒頭、モブの現場のおっさんが登場するシーン。
「痩せたおっさん、というかジジイだ。
 ものを食べるのが汚く、そそっかしいところが僕は苦手だった。」
このキャラはこれ以降多分登場しないまさにモブなのですが、
それに対してこの主人公の地の文。もうこの瞬間に好き!となりました。
どうでも良いけどリアリティは増す&辛辣&簡潔という感じでしょうか。

ちなみに次に出てくる重要なサブキャラ佐藤先輩の場合は、
登場直後に主人公は「ひょっとこ口」をいじっています。
青シルエットだとこういうテキストが本当に生きると心底感じました。

そしてやっぱり本作の掴みと言えば「寿司、おかか」。
設定として藤岡姓が先なのか「寿司、おかか」がやりたいだけなのか、
ここは作者さんの申し開き(?)を聞いてみたいところです。
ここだけボイス入りという気合の入りようは痺れますよね。
このネタだけで散々引っ張り倒すのが凄く好きでした。
「おかかのいいやつ」とかもう腹がよじれるかと思いました。

本作はシナリオや分岐の設定も非常に良いと感じたのですが、
テキストのセンスも抜群に素晴らしいと思いました。


■ちょっと不満に感じた点
何か感じた時はきちんと書いておこう、というスタンスです!
そもそも個人的には全体的にメチャクチャいいな!と思うほど、
気になる点が気になったりするんですよね。(自分だけ?)

本作の場合はシステム面は最低限の機能しかなかった気がします。
個人的に唯一気になったのは「既読スキップ」が(多分)ないことです。
複数のエンドを回収する際に2周目3周目は見たシーンを飛ばしましたが、
フラグによる細かい文章の変化などがもしあったら一緒に飛ばしてました。

でも本作はSFCくらいの頃のサウンドノベルの雰囲気を強く感じたので、
あまり色々充実しているのもゲームの雰囲気と合っていない気がするので、
今のままで全然良いな、とSFCリアタイ勢の自分としては思いました。
オプション画面などがティラノのデフォルトでなかったので十分っす!
メニュー画面の「戻る」に仮面の絵があったりする現状でちょうど良い!


ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯



6.おわりに(ネタバレなし)

というわけで「穴の中」の感想はこれでおしまいです。
ティラノゲームフェスのようなイベントの参加作を遊んでいると、
今作のようにそれまで知らなかったオモシロゲーに出会えるのが魅力です。
(そもそもイベントの存在によって制作される方もたくさんいますし!)

ちなみに作者さんが次回作を作られるという情報を見た気がしましたが、
改めて結構探しても見つからなかったのでただの願望かもしれません。
作者さんはフェスのゲームを色々と遊ばれているようなので、
また作りたい欲が高まって何か作ってくれたらと思わずにはいられない!
テキストが良いと思う人のゲームは何やっても面白いと思うでしょうし。



以上、富井サカナでした。

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