【フリゲ感想】雨音と自動人形
この記事の文字数は約5,200字です!
おはこんにちばんは! 富井サカナです。
短編長編のとらえかたについてはざっくりですが、
15分くらいが掌編、30分くらいが短編、1時間前後が中編、
長編と呼べるのは2、3時間以上かな、という感じです。
なぜ唐突にこんな話から入っているかというと、
基本的には長編作じゃないとあまり感想記事を書く気にならないのですが、
今回のゲームは中編だけど個別で紹介したい!と珍しく思ったからです。
プレイと制作と推し活動を三位一体で進めるために、
今後は文字数はかなり抑えめでまとめようと思ったのですが、
結局思いの丈をぶつけてたらなんだかんだで長くなってしまいました。。
要点をまとめればもっと読み手に優しく字数が絞れるような?
1.どんなゲーム?
今回紹介したいのは、datchiさんの「雨音と自動人形」です!!
【制作】datchi 様
【制作ツール】ティラノビルダー
【プレイ時間】1時間30分~2時間
【ジャンル】一般向けAVG
【KW】アンドロイド、メイド、ヒューマンドラマ、ボイスあり
【筆者プレイ時期】2021年10月初回プレイ、11月2回目プレイ
【筆者プレイ状況】エンディング×2
【あらすじ】
廃線となったバスの待合所で盲目のアンドロイドは今日も待ち続けている。疫病の蔓延により人類が減少し、文明は衰退、人々はアンドロイドの支えにより辛うじて秩序を保っていた。盲目のアンドロイドのアヤと封じ屋の男が出会ったことから始まる閉じた世界の物語。
【一言でいえばどんなゲーム?】
アンドロイドをお話の中心に据えた切なくも心が温かくなるゲーム
2.こんな方に特におススメ!
・アンドロイド系美少女が好きな人
・ディストピア的な世界観が好みな人
・高品質なグラフィックやムービーを楽しみたい人
・感動的なヒューマンドラマが好きな人
本作のヒロイン(恋愛モノではないですが便宜上)はアンドロイドです。
このアンドロイドのアヤが造形も性格も非常に魅力的です。
まず見た目!メイド服に耳のヤツ!ツボを押さえまくりです。
例によって徐々に人間の感情に近しい機能を手に入れていきますので、
彼女の意思決定やその後の行動は要注目ですよ!!
疫病が流行って人類が減少して文明が衰退という世界観です。
この世界観もストーリーに密接に関わってきますので、
ディストピア好きな方(自分とか)は要チェックです。
プレイしなくても以下の動画を見るだけでクオリティにのけぞるはず。
動画はこの通り超素晴らしいですが、本編も遜色ないクオリティですよ!
この動画を見て期待した以上の超美麗なイベントCGとか拝めますから!
作者さんはこれまで現代を舞台にした主に短編作を作っておりますが、
いずれもこれぞヒューマンドラマ!といった作風だと感じておりました。
今作もガワはアンドロイドが登場する近未来SFではあるものの、
中身は人間賛歌といった味わいがありました。
(前置きが長くなりすぎるので、過去作のリンクは最後尾に貼り付けます)
3.ネタバレなしの紹介
まずはネタバレなしの紹介をここで書きます。
【作品紹介】
第3回新人フリーゲームコンテストで60分以上優秀賞を獲得した作品。
(同カテゴリのグランプリは『鍵の国のアリス-Act1 Nonsense name-』)
プレイ時間はボイスをちょいちょい聞く程度で1時間強くらいでした。
ストーリーが壮大なので、もっと長編に感じましたが!
【超豪華品質】
まずは上でリンクを貼った動画を見てください。凄いでしょ!
OP動画の他にも、美麗な立ち絵、豪華な演出、素敵なボイス、
超名曲なボーカル付きのED、終盤のこれしかないというCG群。
かなり贅沢なゲーム体験が得られることは間違いないです。
【読ませるシナリオ】
ジャンル的に最も重要だと個人的に考えているシナリオも、
これらに全く負けないレベルで楽しませてもらいました。
近未来SFディストピア的な壮大世界観をベースに簡潔にまとまっています。
ノベル・ADVが好きな方ならまず楽しめるのではないかと!!
というわけで、未プレイの方はここまで。
フリーのノベルゲーム?うーん、あんまり興味ないなぁ、
みたいな人にこそおススメできるゲームのようにも思います。
こんなのもあるんだぜ!という感じですので是非プレイして見てください。
(残念ながらそんな人がこんな記事を読んでいるはずはなさそうですが)
4.ネタバレありの感想
ここからは相当にネタバレを含みます。
プレイする前には読まないでください。
以下の感想を読む時間があったら本編を是非プレイして下さい。
早い人なら1時間くらいでクリアできますので、その方が絶対に良いです。
↓ネタバレ記事開始カウントダウン5
↓ネタバレ記事開始カウントダウン4
↓ネタバレ記事開始カウントダウン3
↓ネタバレ記事開始カウントダウン2
↓ネタバレ記事開始カウントダウン1
↓
↓
↓
↓
さて、改めて感想です。
感想というよりも自分向けの備忘録と言った感じかもですね。
■魅力的なシナリオ
シナリオはとても好みでしたし、非常に良かったと思います!
〇記憶は消さずに返す主義
考え方が非常に共感できました。
どんなに辛い想い出も消してしまうのはなんか違う気がする。
受け止められるであろうタイミングになったら受け止めてもらう、
そんな考え方はなんだか面白い設定だなと思いました。
この序盤のやり取りでキャラクターの性格が分かるようになってますし、
ちょっと特殊な設定で読んでいて引き込まれました。
〇アンドロイドだった雪村
鋭い人なら気付いたかもしれないのですが、私はノーマークでした。
冒頭でアヤが自分がアンドロイドであることを主人公に告げるので、
アンドロイドはそういう風に作られてると思い込んでしまいましたね。
アヤが一目瞭然タイプだったのと、雪村という名前にも騙されました。
そうそう、雪村がタバコ吸ってるのとか服装の思い込みとかもですね。
封じ屋をやっているということもミスリードに繋がっている気がしますし、
美月の母×2を含めて疫病で人がバタバタ死んでるのもありましたよね。
アンドロイドのアヤが人だと思い込んでいるのも大きかったっぽいですし。
見返してみるとあらすじとかで人類だ人々だって書かれた上で
封じ屋の男とアンドロイドのアヤって対比されてるのも上手い。
真実を知ってからプレイすると思いっきり最後の仕事とか言ってますし、
寿命が数字表記されるのもおかしいからちゃんとヒントは出てましたよね。
フェアでミスリードがたくさんあったのでこれはもう超好きなヤツでした。
〇博士の命令に背くアヤ
ここは痺れました。
いくら人間のように振舞っても結局はどこまでいっても機械、
という関わった人間がひどく不幸になる絶望的な話も好きですが、
やっぱりアンドロイドに自我のようなものが芽生えると燃えますよね。
自分の創造主であり、穏やかな時間を過ごした博士の命令に背く、
より大切だと感じたことを優先する姿が凛としてカッコ良い。
そういう風に作られている、ということなのでしょうが。
博士も本気で言っていない感じなのも泣けます。
〇最後に見せ場がある美月
涙を流しながらエンディングに突入したのですが、
そのタイミングで色々と考えてしまいました。
あれ?どう考えてもこのままだと美月要らなくない?
いやいや、絶対にそんなはずはないぞ。エピローグで何かあるぞ。
というか意味を持たせるために是非何かあってくれないと困る。
そうだ、少女だった彼女が大人になって現れるに違いない。
あ!主人公に託されたアヤが!!もしかして!
みたいなところでエピローグが始まり最後のシーンが始まりました。
そりゃこの着地点が最善ですよ!!と痺れました。
■演出
演出面も非常に素晴らしかったと思います。
テキスト上の演出もグラフィックを使った演出も良かったです。
〇起動直後のLOAD時演出
凝ったサークルロゴとか起動直後の演出はポイント高いです。
本編のよしあしとは確かに関係がないのですが、
それだけ気合が入っている=期待度アップという感じです。
やらないですがパチスロの当選率アップみたいなもんだと思ってます。
〇動画
凄く良い。ゲームを遊ぶかを判断するためにもまずは観てほしいっす。
〇画面に現れる数字
ここの数字が日数の経過とリンクして減っていくため、
会話内容からも見てアヤの残り活動可能日数のように読めますが、
にしては説明がないし主人公である雪村から見えるのもおかしいな、と。
なるほど雪村の方だったのね!と嬉しくなりました。
なお、ここの数字が思いのほかサクサクっと減っていくのが良かったです。
〇記憶を封じる雪村
BGMとグラフィックから醸し出される厨二的な雰囲気が良かったです。
あのポーズがそれっぽすぎますし、画面演出も豪華でした。
〇不似合いなタバコを吸うアヤ
このフック、後の伏線にもなっていて本当に素晴らしいと思いました。
好感度抜群のアヤが突然手慣れた姿でタバコを吸い出す。
この表現上の違和感を持ってきておいて最後にこれぞという伏線回収。
〇髪をかき上げる雪村
カメラユニットをアヤに貸し出すことで空洞になる目。
アヤは雪村を見た瞬間に博士!ってなるし、
雪村は立ち絵で空洞になった目を前髪で隠してるし、
正体が分かる瞬間にグラフィックでもそれをドンと出す!
この一連の流れは無駄な描写が一切なくて完璧だと感じました。
その後の回想シーンへの流れが秀逸すぎる。
■絵が超綺麗
本作はグラフィックもとっても良かったです。
特にプレイの最後の最後で表示されるグラフィック。
それまでのゲーム体験というベースもあるのですが、
一枚絵での満足度としてはここ最近ないくらいのヒットでした。
〇立ち絵が変化している
アヤの目の部分とか雪村の前髪とか、
ちょこちょことシナリオに合わせて変化しているのが良かった。
〇姉さーん!なグラフィック
ラストシーンのセリフも相まってメッチャ泣きました。
同じ博士から作られたまごうことなき姉と弟だもんなぁ。
〇最後の最後に現れるタイトル絵
もうこのCGは本当に好き過ぎる。
アヤが身にまとう白衣、そして咥えたタバコに手にしたライター。
空を見上げるアヤの心の中にはどんな景色が広がっているのか。
この絵を見るためだけにみんなプレイした方が良いと思うレベル。
初回プレイではこのグラフィックを見ながら5分くらいただ泣いてました。
流れるBGMも抜群に素晴らしいですよね。
■飽きさせない工夫
ここまで触れてきたこと以外にも以下のような部分で
飽きさせない工夫を感じました。
・カウントダウンの数字がけっこう大きく減る
・プレイ冒頭で挿入されるムービー
・突然始まる演出が妙にしっかりした怖い話
短編巧者の作者さんらしくテンポ良くお話が進みますが、
それだけでなく色々配慮されていて凄いな、と。
怖い話は蛇足に思う人ももしかするといるかもしれませんが、
全然長くないのでそう思う人の方が少数かな?と思いました。
怖い話終わりのアヤのリアクションがアンドロイドらしくて好きです。
■ちょっと不満に感じた点
何か感じた時はきちんと書いておこう、というスタンスです!
不満点はCGやOP・EDが見直せるモードが欲しかった、という1点だけです。
CGも動画も曲も非常に素晴らしかったので、
好きな時に見返したかった!とただそれだけです。
ただ、DLページの更新履歴にはCGや音楽の鑑賞モードの記載があるので、
自分だけに発生しているプログラム上のバグ・ミスの類かもしれません。
(10月に入ってDLしたバージョンでのプレイとなります)
敢えてやっていると思いましたので、ここは是非アプデで見直してほしい!
ネタバレ防止緩衝地帯
ネタバレ防止緩衝地帯
ネタバレ防止緩衝地帯
ネタバレ防止緩衝地帯
ネタバレ防止緩衝地帯
ネタバレ防止緩衝地帯
5.おわりに(ネタバレなし)
というわけで「雨音と自動人形」の感想はこれでおしまいです。
実は本作、今年の12月に大型のアップデートが行われるとのこと!!
というわけで、現時点で未プレイの方はアプデを待ってから、
満を持してプレイするのが良いかもしれません!!!
忘れないようにゲームのページのお気に入り追加は忘れずにどうぞ!
私は確実にまたDLさせて頂きます!!うひょーー!!
最後に本作を制作したdatchiさんの過去作を紹介してお別れです!
ノベコレでの発表順に並べさせていただきます。どれもおススメです!
素敵な演出とほろ苦リアル路線の掌編作品
鉄板の設定を王道的に描いた優しく切ない掌編作品
夢や仕事を現実的に描いた短編作品
(第7回PLiCyゲームコンテストのシナリオ部門『金賞』)
次回作以降の活動については今のところ良く分かりませんが、
これまでのところとても活発に活動されていますのでとても楽しみです!
以上、富井サカナでした。
↓↓↓↓様々な面白いと思ったフリゲを紹介しております↓↓↓↓
↓↓↓↓自分もゲームを作ってますのでよろしければ是非↓↓↓↓
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?