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大相撲九月場所⑦ 錦木ー正代

 七日目。今日は土曜日ということもあり、比較的ゆっくりと観戦することができた。

 このnoteを描き始めてから相撲をより分析的に見れている。解説者との答え合わせもまた面白い。

 さて、今日の一番は、錦木と正代の一番である。


 後半の土俵、しかも大関戦で錦木を見れる喜び。

 うろ覚えもいいところだし、主観も甚だしいのだが、数年前に錦木の相撲がやたらと見栄えがする、そう感じた場所があった。
 土俵に根が生えたかのようにどっしりとして、横綱相撲さながらのものであった。
 これは、もしかしたらもしかするぞと。相撲観戦歴も30年に迫るこの目が、直感的にそう訴えかけてきた。
 ビビッときた、というやつだ。

 ところが、結局錦木は中盤戦あたりから失速し、私の直感は土俵下までぶん投げられてしまうのだが、その時の感覚が忘れられず、錦木が十両に落ちてからも
「本当はこんなところで取っている力士じゃないよね」
と土俵下でこさえた古傷をさすりながら今日に至るわけである。


 いざ大関戦。対戦相手の状態はさておき、されど大関である。

 立ち合い。双差し狙いの大関に対し、錦木は両のおっつけで圧力をかけ一気に土俵際まで。
 残した正代は左を巻き替える。この判断が墓穴を掘った格好になったと考える。正代が左を巻き替えようとした時には、既に錦木の右に深く差されていた。従って、ここで巻き替えるには上体を一旦浮かすことになる。ただでさえ、立ち合いからのおっつけで体を起こされているのに。
 北の富士氏が「爪先立ちでどっしり感がない」と解説されたのも、そのあたりが要因ではないだろうか。
 直後に錦木も左の巻き替え。腰の浮いた大関を一気に寄り、勝負あり。


 正代は、立ち合いでも双差し狙いが故に腰高になり、双差し狙いの巻き替えで墓穴を掘った。
 個人的には双差しに拘らなくても十分相撲を取れると思っているのだが…。
 
 
 正代のことは気がかりだが、今日は錦木である。
 終始大関に圧力をかけ続けられる体の復調。巻き替えのタイミング。これらを見てもこれからに期待を持たせるのには十分だ。



 ここに宣言する。錦木が土俵を盛り上げる。

 私の直感が、そう強く訴えかけてくるのだ。


 大相撲に、錦木に、ビビッときている。

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