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02 All The Things You Are (Gatsby)


Verse(はじめに)

ジャズスタンダードナンバー歌詞和訳二曲目は
All The Things You Are
1939年、作曲はジェローム・カーン、 作詞はオスカースタイン2世
古くから愛され続けている曲。ジャズスタンダードの王道中の王道で、私もベスト10に入るくらい好きなナンバーです。思い入れもかなりあって、文章も曲の紹介も長くなること間違いないので(汗)反省を活かして今回はちゃんと目次を作った上で、早速本題の歌詞和訳をしちゃいます。
その前に!
読みながら聴いてほしい一曲!
BGM
Bill Charlapのテイクです(この曲について話すのはぐっと堪えて・・!)

それでは恐縮ながら訳していきます。

All The Things You are:歌詞和訳

(sakana-jazz拙訳です。ご容赦ください)
**************
All The Things You are
(Verse)
Time and again I've longed for adventure
Something to make my heart beat the faster
What did I long for? I never really knew
 
Finding your love I've found my adventure
Touching your hand
my heart beats the faster
All that I want in all of this world is you
 
(Chorus)
You are the promised kiss of springtime
That makes the lonely winter seem long
You are the breathless hush of evening
That trembles on the brink of a lovely song
 
You are the angel glow that lights a star
The dearest things I know are what you are.
Some day my happy arms will hold you
And some day I'll know that moment divine
When all the things you are, are mine
 
わたしはずっと冒険を心待ちにしていた
何かがわたし胸の鼓動を速めている
何がわたしを心待ちにしているの
わたしは本当にわからない
 
あなたへの愛を見つけたことは
わたしが冒険を見つけたこと
あなたの手に触れると
胸の鼓動は速くなる
この世界でわたしが欲しいものはあなただけ
 
あなたは春の口づけを約束されている
寂しい冬を長く思わせてしまうほどに
あなたは息もつけない夕暮れの静けさ
美しい歌の淵で震えるような
 
あなたは星を輝かせる天使
あなたが最愛の人だってわかっている
いつかあなたを幸せに抱きしめるだろう
いつかわたしは神々しいひとときを知るだろう
あなたの全てがわたしのものになった時に
 
**************
訳むっっっづ!!
めちゃくちゃ訳が難しかったです。気力だけの力技訳です笑
意訳か直訳かの按配の難しさ。歌詞和訳めっちゃ難しいです。
多めに見て頂きたいです泣
おそらく曲のリズムに合わせて歌詞を当てている(?)分、直訳してくどくなるところはまとめたり、日本語の文章の羅列的に整えたりしてみました。
それにしても曲も詩も本当に美しい。
ボーカルで歌われているというよりはジャズ全般的に演奏されているので、改めて聴くと尚一層曲の良さを噛み締められます。
次にこの曲についての深堀りというよりは、個人的な感想を述べてみたいと思います。

All The Things You areの個人的な感想。


この曲は先ほども申した通り、ジャズ全般で本当に演奏されていますが、ボーカルも含めて殆どの曲がverse(導入部分)をバッサリ切り捨てて演奏しています。
このverseがあるかないかでかなり曲の雰囲気も変わるし、そもそも演奏するアーティストの解釈によってかなりイメージが変わるのもこの曲の魅力だったりもします。
Chorusだけの演奏において前奏もverseの雰囲気とかなり違っていて、歌詞とは対照的な暗い低音がまた良かったりするんですけど。
歌詞の内容的には、とにかくめちゃくちゃ好きやねん!みたいな超求愛ソングですね笑
私はかなり勝手に『叶わぬ恋に燃える姿』をイメージしています。
聴いて頂くと必ずしも甘くてハッピーな曲にはどうしても思えないというか。どちらかというと、身をも焦がす恋に、それが100パーセント無理だとわかっていても、立ち向かう感じというか、その方がジャズってる気がします。あくまで個人的な見解です。
届かぬ恋、って文学的にも永遠のテーマですけど、アメリカ文学が好きな方は、どうしてもあの人を思い浮かべるかもしれません。
そうです、ギャツビー。
アメリカ文学の金字塔、スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」村上春樹さんのバイブルですよね。
私も大好きな一冊です(どちらかと言えば私はヘミングウェイ派ですけど笑)。
 
対岸の届かぬ淡い光に手を伸ばすような、その静かな決意と情熱。
 
そのイメージが私にとってのAll The Things You Areです。
そう思って改めて歌詞を読むと、結構グイグイいきすぎてるというか、ちょっと一方的な感じもしなくもないですよね。片思いの求愛だったら、言われた側は少し引いちゃうかもな歌詞です・・笑
そんな大袈裟感もギャツビーっぽい感じがある気がします(因みにレオナルド・ディカプリオ主演の映画、グレート・ギャツビーは個人的には結構好きです)。
さて、話が長くなったので、切り替えて曲の紹介を致します。
 

All The Things You are 個人的オススメ曲

何度も言いますけど、この曲は非常に多くのジャズマンに演奏されていて、自分のI Tuneのライブラリに入ってる曲だけで70曲くらい入ってました。
その中からオススメを選ぶのは断腸の想いでしたが、自分が一曲しか選べないのなら、このテイクかなぁ・・・
ビル・チャーラップのピアノにトニーベネットが歌います。

トニーベネットの訃報を知ったとき、ずっと聴いてた曲です。
思い出しただけで、それだけで目頭が熱くなります。
Verseを深くも静かに力強く歌い、Chorusでまるで黄金の帽子を被ってどこまでも跳躍するように(まさしくギャツビーの冒頭ですね)歌い上げます。
そしてビル・チャーラップ、私が大好きなピアニストです。そして彼とこの曲については個人的な思い出があるんです。
私がコットンクラブでビル・チャーラップ・トリオの演奏を聴きに行った時の話です。ミスターソングブックの異名を持つ彼がアンコールの声援に応えて、会場に向かって、
「リクエストはある?」
って聴いてくれたんですね。そして思わず私は叫びました!
「All The Things You are!!!」
演奏の素晴らしさと喜びは語るまでもなく、彼が舞台を去る際のグッドポーズに私は立ち上がってグッドポーズ!
一生忘れません。すいません自己満足ですね。
ビル・チャーラップへの激しい肩入れを良く思われない方もいらっしゃるかもしれませんので、ピアノトリオで私がかなり好きな曲もご紹介します。
天下のブラッド・メルドー様のテイクです。

このテイクはまさしくブラッド・メルドーたらしめている、というか。実際どうやって演奏しているのか、曲を構築しているのか、何度でも何度も聴いてしまう曲です。演奏が13分もありますけど、後半から終盤にかけての無双モードは必聴です。
 
もう一人、ピアニストで紹介したいのは
サリバン・フォートナーのテイク。

このアレンジに唸ります・・!!!
ビル・チャーラップ、ブラッド・メルドー、サリバン・フィートナーという中々偏った三択ですが、皆様のお好みは誰でしょうか。
 
日本人らしくピアノばっかり紹介しやがってと思われる方もいらっしゃると思うので、アートペッパーとウォーン・マーシュのテイクもご紹介。

実はこのテイクが一番再生してるテイクだったりします。何回聴いても褪せません。
 趣向を変えて最近結構ハマってるテイクは
ニック・ハキムさんの現代的な再解釈のテイク。

初めて聴いた時はめちゃくちゃ痺れました。かっこいいですね。
語られる歌詞も元々の歌詞を拡大解釈?したようなカッコイイ歌詞で(内容全然わかってないんですけど)すごいノレる一曲です。こんなテイストの曲も好きだったりします。
 
って、全然ボーカル紹介してませんね。。。
 
本来はエラ・フィッツジェラルドやカーメン・マクレエを紹介するのが妥当な路線なのかもしれませんが(この方達の英語って本当に綺麗で私でも聴き取りやすい)最後はちょっと意外な感じでこの方で締めたいと思います。

かーなり! 長くなっちゃいました!! ごめんなさい!!!
長々と最後までお付き合い頂きありがとうございます。

それではまた

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