今週の台所・ほうじ茶
最近は、朝ほうじ茶を飲むのにはまっている。先日、普通のほうじ茶の代わりに、茎だけを焙じた茎ほうじ茶を試しに買ってみた。飲んでみて、私は普通のほうじ茶のほうが好きだなと思って、すでになくなってしまっていたなじみのほうじ茶の味が懐かしくなった…。
そんなとき、昔読んだ「ほぼ日のにほん茶 特別企画」のインタビュー『いつもお茶係。』の中で、片桐はいりさんがお茶を焙じる話をされているのを思い出す。さらに読んだインタビューに影響を受けて、自分でほうじ茶を作ったことも思い出す(そのときの note )。
よし、緑茶でほうじ茶を作って茎ほうじ茶と合わせよう、と思った。
作ってみて、作っていた時間と飲んだほうじ茶の味が印象に残っている。今週は、そのことを書いてみようと思う。
ほうじ茶を自分で作るときのよさのひとつは、変化していく香りと作業そのものだろう。
まず初めに感じるのは、清涼感。匂いで気持ちがすっきりしてくる。数分すると香ばしい匂いがしてきて、ここで少し気持ちが和む。
そこからは作業に集中していく。「香ばしい」から「焦げる」に変わるまでが紙一重な感じで、集中して火力を弱めたり止めたりしないとほうじ茶が焦げてしまう。
たしか計3日、毎朝焙じた。そのなかで、無意識にいろいろと考えてしまっている頭が、すーっとすっきりして、頭がクリアになっていった感覚が印象に残っている。からからかき混ぜ、ただ手を動かす時間がきっとよい。何事もサクサク片づけたい朝に何分かひたすら混ぜる時間は、ちょっともったいなく感じるときもあった。だけど、この時間を朝に持つことで、頭のなかと気持ちを一旦すっきりとした状態にして、いい状態で1日を始めることができた気がする。
で、完成したら、茎ほうじ茶と混ぜていく。
飲んでみて、それまで飲んでいた普通のほうじ茶と同じくらいおいしくてうれしくなる。茎ほうじ茶感は消え、なじみのある「ほうじ茶」になっていた。
毎朝、ほうじ茶をお気にいりのスノーピークの水筒になみなみ入れ、ほうじ茶をひと口飲んでふーっと一息つくのが習慣だった。今週、ほうじ茶を焙じるようになってからは、最初のひと口を飲むとき、きもち少しだけ緊張が走った。うまいときと微妙なときが交互になる感じで、今日はどうだ…とドキドキする感じだ。
ドキドキはするけど、その時間も案外きらいじゃなかったなあと思う。
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