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「旬」という言葉が死語にならない為に。

「旬」を大切にした江戸庶民

初鰹の共同購入

この浮世絵は、江戸の長屋の住人が共同で買った鰹を魚屋が切り分けている図です。
江戸の庶民の逞しさと、初物を亭主に食べさせてやりたいという女房達の愛情が読み取れて微笑ましい図です。

初鰹といえば水揚げが多くなる4月~5月頃が旬で美味しい時期です。

「女房を質に入れても初鰹」とは、江戸時代の有名な川柳ですね。

古来より、旬(初物)を食べると75日寿命が延びるといわれ、それを信じる江戸庶民は「・・質にいれても・・」となるわけです。

初鰹を題材にした数々の句や川柳が残っていますね。

季重なりをあえてした有名な俳句に「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」があります。
また、初鰹が当時の庶民にとっていかに高価だったかを表す句として
「まな板に小判一枚初鰹」という川柳が読まれてますね。
因みに、江戸時代の小判は現代の貨幣価値や金の相場に照らし合わせるとなんと25万円以上になります。
当時の貨幣価値からするともっと安価であったと思えるのですが、それでも江戸庶民にしてみれば、「高嶺の花」ならぬ「高値の花」でした。

貧乏人であっても「旬」を味わいたい気持ちに変わりなく、そこで生まれた知恵が、共同購入。

初物を食べて寿命を延ばすには、お天とうさまの登る方角に向かって感謝していただくのが慣しとか。

家族揃ってお天とうさまに感謝して食べる。
この時ばかりは、亭主の晩酌のお銚子も女房は一本増やします。

貧しくても幸せそうな家族の図が浮かびます。
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#和文化デザイン思考  講師
成願義夫 Jogan Yoshio プロフィール
伝統文様研究家、装飾画家、アートディレクター、着物デザイナー、グラフィックデザイナー、伝統産業商品開発アドバイザー
株式会社京都デザインファクトリー 代表取締役社長

●代表作と最近の活躍
関西国際空港の初代ウエルカムボードのデザイン。
長野県善光寺の納骨堂の納骨壇の扉デザインの他、納骨堂のデザインは多数。
サッポロビールワインラベルなど、手がけたデザインは多数多岐に渡る。

●近況
2018年、秋、成願がデザインした金属製スマホケースが英国ウェールズ国立博物館に永久保管決定。
2018年、冬、和柄をテーマにした民放テレビ番組に解説者として出演。
2019年、春、ジョルジオアルマーニビューティー主催のイベント講師に招かれる。
2019年、夏、京都駅ビルのフォトスポット四箇所のデザインを手がける。
2019年、秋、京都高島屋のバイヤー向け『伝統文様勉強会』講師を務める。
2020年、埼玉県秩父市の招きで2日間に渡り講演会と伝統デザイン勉強会を開催。
2022年、NHKのテレビ番組『美の壷』に出演。

●近年はグラフィックデザイナー、壁面装飾画家、着物デザイナー、伝統文様研究家、伝統産業の商品開発アドバイザー、講演家として、テレビなどにも出演し、幅広く活躍中。  
著書は、和柄デザイン素材集を10冊以上執筆。総販売数は40万冊を突破。
また、著書の大人の塗り絵『和柄のヒーリングぬり絵ブック』(PHP研究所発行)は、累計7万冊を突破していまだにロングセラーを続けている。
成願の和柄デザイン素材集は日本中のデザイン事務所に、必ず1冊以上置かれていると言われている

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