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着物にも俳句と同じように『季語』があります。

着物の季語とはいわゆる季節感のことです。

これは、
1「生地(仕立て方)」
2「色」
3「柄」
4「コーディネイト」
以上の4つで表すことができます。

俳句と違うのは『季重なり』であればあるほど良いということです。
つまり、上の4つが全て重なっているのがベストです。
そして、着物は、わずかに季節の先取りが良いと言われています。
「指一本分の先取り」でしょうか。

ただし、柄の中に二つ以上の季節が混在するのは例外を除いてNGです。
そして、2番の色だけは主観が大きく作用するので、一概に言えないことが多いのですが、特に夏物に関しては「涼しげな色」という共通の季語は存在いたします。

また、柄に関しては12ヶ月や二十四節気のように、四季をさらに細分化した捉え方が可能です。

コーディネイトに関しては、着物と帯以外に履物や帯留めなどのアクセサリーにも季語があるので配慮すべきです。
最も避けるべきことは、春と秋や夏と冬を合わしてしまうような、季節チグハグコーディネイトです。

ところで、俳句に『無季の句』があるように着物にも「無季の着物」があります。
厳密にいうと、袷と単の二種類の季節感はあるのですが、柄自体に季節感が全くないものとしては、抽象模様、幾何学模様、器物模様、雲水模様、等々があります。
色に関して言えば、一例として白から黒のモノトーンは無季の色と言えるでしょう。

しかし、時々見かける四季の季節違いの草花が沢山描かれた「年中着られる柄」(呉服店が言うところの)は、振袖以外では、野暮の極みです。
柄の季節混在は、いただけません。

ただし、雲錦文様(春秋文様)の様にあえて桜(春)と紅葉(秋)を取り合わせて意味付けているものも例外的にあります。
さらに、柄の出典が「古典文学」、「芸能の演目」、「諺」などの場合、「見立て」のレトリックが使われていることがあり、それを意味付けするための季節混在図柄が稀にあります。
因みに、そのような図柄は、デザインからオーダーして誂えた江戸、明治、大正、昭和の初期までの着物特有のものです。
残念ながら、現代のように「店にあるものを選んで買う時代」には、無くなってしまった着物のデザイン分野です。

雲錦紋様(春秋紋様)

着物の場合、『着付け方』の初心者と上級者が存在しますが、それ以外に、季語を意識したハイセンスな『着こなし』の上級者が存在します。

さらに、着物や帯や小物の「格」を合わせることも重要です。
例えば、「フォーマルの着物に普段着の帯を合わせてしまう」など、これはNGですね。

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着物デザイン教室(オンライン or オフライン)
https://www.jogan-kimono-design-school.com/

#着物デザイナー 
#和文化デザイン思考 講師
#呉服繁盛店の作り方 講師

●成願義夫 Jogan Yoshio プロフィール
株式会社京都デザインファクトリー代表取締役
伝統文様研究家、装飾画家、アートディレクター、着物デザイナー、グラフィックデザイナー、伝統産業商品開発アドバイザー

●代表作と最近の活躍
関西国際空港の初代ウエルカムボードのデザイン。
長野県善光寺の納骨堂の納骨壇の扉デザインの他、納骨堂のデザインは多数。
サッポロビールワインラベルなど、手がけたデザインは多数多岐に渡る。

●近況
2018年、秋、成願がデザインした金属製スマホケースが英国ウェールズ国立博物館に永久保管決定。
2018年、冬、和柄をテーマにした民放テレビ番組に解説者として出演。
2019年、春、ジョルジオアルマーニビューティー主催のイベント講師に招かれる。
2019年、夏、京都駅ビルのフォトスポット四箇所のデザインを手がける。
2019年、秋、京都高島屋のバイヤー向け『伝統文様勉強会』講師を務める。
2020年、埼玉県秩父市の招きで2日間に渡り講演会と伝統デザイン勉強会を開催。
2022年、NHKのテレビ番組『美の壷』に出演。

●近年はグラフィックデザイナー、壁面装飾画家、着物デザイナー、伝統文様研究家、伝統産業の商品開発アドバイザー、講演家として、テレビなどにも出演し、幅広く活躍中。  
著書は、和柄デザイン素材集を10冊以上執筆。総販売数は40万冊を突破。
また、著書の大人の塗り絵『和柄のヒーリングぬり絵ブック』(PHP研究所発行)は、累計6万5千冊を突破していまだにロングセラーを続けている。
成願の和柄デザイン素材集は日本中のデザイン事務所に、必ず1冊以上置かれていると言われている

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