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「テネット」の感想をちょっとだけ

 コロナ渦の中で、久々に大作が公開されるということで話題になっていたこの「テネット」ですが、観てきました。

 半年ほど前にネットの予告編動画を観た時には、ものすごく謎めいた雰囲気で、「一体この映画の中では何が起こっているのだろうか?」と気になって仕方がなかったのですが、いざ実際に本編を観終わってみた上での感想は、「もっとよくわからなくなってしまった」というのが正直なところです。
 いや、面白いのは面白かったんですよ。なんかこう、心で受け止めてる部分ではものすごく楽しめてるんだけど、頭で理解しようとするとすり抜けていってしまってモヤってくるというか。
 うーん、この映画、どうやって他の人に面白さを伝えたらよいのだろうか、とても難しい作品であると思います。

 物語の大筋は、一言でいうとスパイ物です。「ミッション・インポッシブル」みたいな。世界の滅亡を目論む悪党に対峙して、仲間と共に戦い、それを阻止するという。
 そこにタイムトリップSFの要素をまぶしていって、徐々に狂った展開に持ち込んでいくっていうのが、この映画のミソなんですね。
 タイムトリップ物というと、みなさん「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいなのを連想すると思うのですが、それらと決定的に異なるポイントが一つあって、それは問題に対する対処の仕方なのです。この部分が、映像的に観て非常に新しいなと僕は思いました。ほんと、よくこんなの思いつくなってちょっと感心してしまった。

 もう少し詳しく説明すると、普通のタイムトリップ物だったら、

 A.始まり →→→→→→ B.問題発生 →→→→→→ C.悲惨な結末

 っていう風に、AからBを経由してCまで時系列に物語が進んでいくじゃないですか。で、Cまで行ってこれではまずいということになった主人公が、Cからタイムマシン的なものを使ってBに戻って、そこからまたBからCに向かって人生をやり直して、ハッピーエンドまで行くじゃないですか。

 でも、この映画では違っていて、主人公は「時間を逆行する装置」を使ってCからBに向かって時間を逆行していって、Bにたどり着いたその瞬間に問題に対処するっていうアプローチをとっているんです。
 映像的には、逆再生していく世界の中を、主人公だけが前に向かって進んでいく?っていう絵面になってくる。
 うまくわかってもらえないと思うんですが、まぁ、でもこのあたりは一回観てみないと、ピンとこないと思いますね。

 ネタバレ的なことを言ってしまうと、AからBに向かって進んでいく主人公と、CからBに向かって進んでいく主人公が、Bのところで鉢合わせしてしまって、くんずほぐれつの格闘シーンになってしまうところがあるんですが、こういうのもこの映画の展開の中で映像表現として観せられるとすごい面白くて斬新だなって思わされました。
 他にも、映画全編を通じて、こういう「時間の挟み撃ち」的な構造が至るところに仕掛けられていて、それが徐々に明らかになっていくところがこの作品の気持ちのよいポイントになっているんだと思います。

 まぁでも、話の細かいところはいまだによくわかりませんね。でも、それでもいいんだと思います。この映画に関しては、「考えるな、感じろ」的な楽しみ方をするのが正しいと思うので、あまり身構えずに気楽に観て、観終わってからたくさん悩んで頭抱えてもらえればよいと思いますw

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