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言葉はすべて暗号化されている

・言葉は暗号化されています。
・そしてその暗号解読のむずかしさは階層に分かれています。
・階層の相違を解消するのは至難の業です(例えば難易度5の言葉を難易度1の人に説明するなど)。
・そのため緊急度や重要度が高い時ほど無視することが大事になります。


今回お伝えしたいのは以上の4点です。
ひとつひとつ解説していきます。
要点は「言葉や文脈が通じない人に時間を割かれると問題解決が遠のくから注意」ということです。

■言葉はすべて暗号である

日本語は複雑な暗号です。
解読するために日本語を学ばなければなりません。
それだけでなく、全体の文脈や文化、その時の流行、発信者や受信者の背景などありとあらゆる要因が絡み合っています。

例えば僕の出身地である「青森」。りんごや雪、ねぶた祭など様々な情報が「青森」という漢字2文字に自動的に含まれます。これが「デンバー」だと、アメリカの地名かな、くらいしか浮かび上がってきません。僕は地理に疎いので。
こんな僕が「長野」出身の人と会話をする場合、りんごや雪が共通ワードだと解読し、それにまつわる話を展開することができます。県の特色を互いに説明せずとも、です。

この時「青森と長野の共通ワードはりんごと雪である」「そして相手も同じ認識である」という暗号解読キーを手にしています。
その後会話が続けば解読成功、解読レベルも同じ、として会話が進んでいきます。

■暗号解読の多様性

前項で暗号解読には「全体の文脈や文化、その時の流行、発信者や受信者の背景など」様々な要因が絡んでいると書きました。
単語の意味を知っているだけでは解読レベルが低いままです。
そのため文章や会話を理解することが出来ない場合や、理解するのに時間が掛かってしまう場合があります。

特に日本語は複雑な言語なので、「語彙力」と共に「文脈読解力」も必要になります。
それに加えて日本や地域の文化、流行語、人となりなども把握していると、暗号解読レベルが高くなっていきます。

■解読レベル1の人にレベル5の問題は解けない

暗号解読レベルが低い人と高い人の会話は、高い人の負担が大きくなります。
低い人が発した単語がどのような意図で使われているか、文化や背景などを含んでいるかどうか、など理解力を察する点が多いからです。
同レベルでの会話はこうした考慮が少なく済むためお互いのストレスが減ります。

例えば専門家の論文は暗号解読レベルが高くなければ読み解くことができません。
専門家の間で交わされる暗号だからです。
暗号解読レベルを落として我々にわかりやすいようにする場合は、文章量が膨大になったり要点を抜き出すため過剰に内容がそぎ落とされたりしてしまいます。

ここで重要なのは、ヒントを重ねれば暗号が解けるというようなものでは決してない、ということです。
暗号そのものが変わっているということです。
暗号解読レベル5の論文はレベル5のまま固定です。ヒントが増えたり要約すると元の論文が変わる、というわけではありません。

例えば「科学技術の発展と人口増加が及ぼす環境負荷と、環境負荷軽減のための解決策」という10万文字の論評があったとします。
そしてこれを要約し暗号解読レベル1「地球の為に人を減らす」という10文字になったとします。
レベル1の10文字を読み解くことでレベル5の10万文字をも読み解いたことにはなりません。
そもそも「地球の為に人を減らす」と言う奴はどこか信用できませんし、不穏な空気が漂います。

■優先順位を意識する

ここまでをまとめます。
言葉はすべて暗号です。
解読するために必要なキーは多様であり、レベルが違うことによる弊害が生じます。

もしレベルが違っても、成長を促すための学習の時間であれば暗号解読キーの種類を増やすために試行錯誤できます。
不正解でも良いでしょう。学びを得ることができます。

ですが緊急度が高い場合や重要度が高い場合は、時間を掛けて成長を期待していては取り返しのつかない事態に陥ります。
災害時は専門性の高い人たちが人命の為に活動しますが、専門用語を知らない人たちや救援活動の手順や意図を理解していない人たちに対し、一から教え理解を深めている時間などありません。事態は一分一秒を争います。

インターネットやSNSの発達により、人々は空間を越えて情報にアクセスできるようになりました。鮮明な映像を見て臨場感が高まり心を痛めることも増えたでしょう。そのため距離が近く関係が深いと錯覚することも増えているのではないでしょうか。

緊急の場合、暗号解読レベルが低く、当事者性も低い人たちのために貴重な時間と労力を割いている場合ではありません。当事者性が高い人たちのために尽力すべきです。
災害時は優先度がわかりやすいですが、社会問題となると複雑です。
緊急度も重要度も高い社会問題があるのに、緊急度や重要度を理解するためには暗号解読レベルが足りてない場合があるからです。
そして暗号解読レベル1として提示されたインパクトのあるフレーズに我々の関心は容易に絡め取られてしまいます。暗号解読レベル5を読み解いたと勘違いしながら。

■まとめ

暗号解読のために様々なことを知らなければなりません。そして謙虚さも。
会話が成り立っているのは、相手が配慮してくれているのかも知れません。緊急度が低いだけかも知れません。

冒頭に挙げた4点

・言葉は暗号化されています。
・そしてその暗号解読のむずかしさは階層に分かれています。
・階層の相違を解消するのは至難の業です(例えば難易度5の言葉を難易度1の人に説明するなど)。
・そのため緊急度や重要度が高い時ほど無視することが大事になります。

これらを踏まえておくことで、言葉のやり取りに深みが増し、言葉が通じていることの奇跡体験を思い知ることでしょう。
豊潤なこの世界を味わうためにも、ぜひ暗号解読の旅に踏み出していただきたいと思います。

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