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【映画】『ミッシング』がすでに欠けていることを突きつける
【missing】
欠けていること。失われていること。また、行方不明であること。
映画の内容はまさにこの通りだ。
娘が行方不明になる。
それにより欠けていたことに気付かされる人たちが苦しみ続け、悲しみに埋没し抜け出せない。
心が失われている大勢の人たちは過剰に被害者をネットで叩く。
この映画の構成が秀逸なのは、正義のジャーナリズムを貫徹しているように見えるTV局記者砂田(中村倫也)も心が欠けているのが露呈してしまうのを描いたところだ。
石原さとみと青木崇高が演じる夫婦も少しずつ何かが失われていくのが見ていて心苦しい。
失われたからこその出会いも数々あるが、それはあまりにも、あまりにも微かな喜びだ。
最愛の娘を失った悲しみは決して癒されない。
世間の興味も、近しい人たちの熱意もだんだんと失われていき、情報提供を募るビラ配りも空気をつかむような灰色の日常と課す。
本作の石原さとみはとてつもない。
あるシーンが強烈なのでぜひ女優石原さとみの凄まじさを体感していただきたい。
最後に。
砂粒よりも小さくて軽い言葉にしかならないが、行方不明になっている方々が1日でも早く見つかりますように。そしてご家族の皆様に安寧の日々が訪れますように。
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