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ピョンヤン市内をゆく(7)~その他まとめて<前編>~

旅行中はワタシもピョンヤン市内を
数日間にわたってあちこち観光して回ってましたが
最近ではもうたくさんの方々がその見どころなどを
それぞれに素敵な写真や立派なレポートで紹介しておられますので
いまさらワタシがここで細かく取り上げることもなかろうと
ここではもうまとめて一気にさらっと振り返るのみで。
あ、いや、決してメンドくさくなったんじゃないですよ!(笑)


●万寿台大記念碑

北朝鮮、ピョンヤンと言えばまずはこれでしょうw
あまりにも有名な指導者の巨大銅像。
ピョンヤン市の中心部、万寿台(マンスデ)の丘にあります。
これは実際に見るとほんとにデカい。

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正確な高さが何mかは知りませんが、
写真に写っている女の子と比べても
その巨大さはお分かりいただけるでしょう。
これ、遠近法じゃありませんよ。
むしろ彼女は像の前に立ってます…ってか、
それより奥へは行けない。不敬なんですね。
お2人の背後から像を眺めるなどもってのほかw

以前は金日成主席だけだったんですが、

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            (1998年撮影)

その後、金正日総書記が亡くなった後
親子が並んで立つようになりました。

で、これって銅像が隣に一体増えただけ、と
単純に思ってたんですが
よく見ると金日成主席のお顔が変わってる!

20年前はこうだったのが

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いまでは、こう。

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より晩年の姿に変更されたようです。

メガネをかけ、表情も優しくなったような。
服装も、人民服からスーツに変わってます。
コートは変わってないのね。
しかし、この柔らかそうな質感は見事です。

ここは観光客がたいがい連れていかれる定番。
ただ、最近では服装や言動があまりにアレだったりすると
希望しても行けない例もあるそうな。
ネット動画などでおフザケが過ぎる人も増えましたからね。

代表的な「観光地」ではありますが
地元の人にとっても特別な場所なのは事実のようで
つねに何かしらの団体が参拝に来ているほか
以前の記事でも触れたように、
結婚式のあと立ち寄って記念撮影したりもしています。

この記念碑の近くにはお花屋さんが立ち並んでいて

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参観する際には手前の駐車場で降りたあと
まずここで花束を購入して像に献花するのがお約束。

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お値段はだいたい千円。
なぜ「だいたい」かというと
けっこうその時々で価格にばらつきがあるから。

店頭には価格表示はありませんので
実際は同行する案内員氏の「言い値」。
客の身なりで値段が決まるという
銀座あたりの高級寿司店みたいだな。

それになんかこう、これに限らず北朝鮮では
別に支払いが必要な時は「千円」が多いですw

もちろん強制ではありませんが、強く(笑)勧められますので
まぁ「拝観料」みたいなもんだと割り切って購入しましょう。
現地では最大の敬意を表す場所とされているわけですし
ケチってここで案内員とモメても得にはなりませんからね。

●主体(チュチェ)思想塔

お次はこちら。
これもピョンヤン観光のド定番です。

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市内を流れる大同江(テドンガン)のほとりに
170mの高さでそびえ立つまさにランドマーク。
北朝鮮の基本的な政治思想「チュチェ思想」を顕彰するため
金日成主席の生誕70周年を記念して1982年に建てられました。

塔の上部には「주체(=主体、チュチェ)」の金文字。
塔身には25,550個の花崗岩が使われてますが
これは誕生から70歳までの日数(閏年は除く)、
塔の側面の段数は4面あわせて70段、と
「主席70歳」にこだわった造りになってます。

「チュチェ思想」とはものすごく簡単に言えば

「人間がすべての物事の主人であり、
  自らの運命の主人公もまた自分である」

といったようなことですが、
長くなるので詳しい説明は他に譲りますw

てっぺんの赤いのはたいまつの烽火。
この部分だけで20メートルあり、夜は燃えるように光ります。
このたいまつの下、地上高150mの位置には展望台があり
エレベーターで上がって市内を一望できます。
入場料はまたも「千円」(笑)。
でもお天気が良ければほんとうに眺めはいいので
一度上がってみる価値はありそうです。
ただし、屋外吹きっさらしなので冬はキビシイ。

エレベーターを出てまず最初に見えるのは東方向。

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中心部とは反対側にあたり、おもに住宅街です。

みなさんおなじみの景色は西方向。

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大同江を挟んで、軍事パレードで有名な金日成広場や
その向こうには人民大学習堂、屋内スケートリンクなど。
この日は黄砂の影響で遠くが霞んでしまってましたが
晴れてるとかなり眺めがいいですよ。
右手奥の方にはいまだ未完成の柳京ホテルも。

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大同江の流れに沿って南側には羊角島ホテル。

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ここには写ってませんが、川の右側に目を向けると
ピョンヤン駅や高麗ホテル方面になります。

北を望めば綾羅(ルンラ)島。

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「アリラン」やマスゲームでおなじみメーデースタジアム、
ずっと向こうには朝鮮中央放送のテレビ塔も見えます。
あちら方面は最近急速に再開発が進み、
夜はライトアップされるタワマンが多く建ち並ぶようになりました。

こうしてぐるりと見渡して気付いたのは
20年前と比べて街がカラフルになったこと。
以前はこんな感じで、色がなく無機質で
正直なんか暗いイメージでしたが

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今回同じ場所を撮った写真で比べてみると

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明るい雰囲気になってます。

建物はたぶんほとんど前のままだと思いますが
いろんな色で塗装し直したようですね。
カラーリングのセンスはやや日本とは異なりますがそれも良し。
やっぱりいろいろ変わってきているのかな、と思ったり。

それでも塔の近くでは
学生たちが一生懸命マスゲームなどの練習中。

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いまや世界的に有名な北朝鮮のお家芸、
あの一糸乱れぬマスゲームやパレードも
こうした普段の地道な練習があってこそなんですね。
このへんは昔から変わりません。

塔の真下の広場には

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整列位置を示すマーキングがありました。
学生さんたちの苦労がしのばれます…

ちなみに観光客が通常入る大通り側ではなく
こちら川沿いの広場側には
共産社会を象徴する像が建っていて

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こちらから撮る方が「映える」かもしれません。
左からペンを持った知識人、
ハンマーを持った労働者、
鎌を持った農民、の3人像です。
この「ペン、ハンマー、鎌」は
社会を構成する三大要素の象徴ということで
朝鮮労働党のマークなどにも使われています。
さっきのアパートの色を比較した写真にも写っている↓

●党創立記念塔

という建造物でも使われています。

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同じように
ハンマー、ペン、鎌の3つがデザインされていますね。
「鎌」の形がちょっと微妙ですが…

朝鮮労働党創立50周年を記念して1995年に完成。
高さ50mは、これも「50周年」を意識して。
こういうところに強くこだわるのは北朝鮮スタイル。
3本の手を囲む円形の帯には

「朝鮮人民のすべての勝利の組織者であり
     嚮導者である朝鮮労働党万歳!」

とあります。
ちなみにこの円形帯の直径も50mなんだとか。
「嚮導(きょうどう)」とはムズカシい単語ですが
「先頭に立って導く人」という意味。もう日本語でも使わんねw

ところで両側に見えるビルは住宅アパートなんですが、
真っ赤に塗られていてなぜか高さが段々の左右対称。
これって実はアパートも景色の一部にされていて
塔の後ろではためく赤旗を表現しているんだそう。
建物の上の文字は左から「百戦」「百勝」。
なのでこの記念塔の写真を撮るときは
背景に2つの赤いビルも入れるのが「正しい」とのことw

さっきの主体思想塔からの写真は
この記念塔の正面からではなくヨコから見る形になるので
2つの赤いビルはフレームアウトしてます…

●冷麺の玉流館

さて北朝鮮旅行での大きな目玉ともいえる
本場のピョンヤン冷麺。
これもツアー中に一度は味わうことになりますが
その本家本元と言われる「玉流館(オンニュグァン)」。
朝鮮様式二階建てで博物館のような建物です。
さすが北朝鮮を代表する料理店ですね。

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そういえば2018年の南北首脳会談の時にも
板門店までここの料理人と製麺機が出張して
両首脳に冷麺を提供していました。
もちろん国民にも大人気で平日だというのにこの混雑。
そうそう日常的に食べるものでもないとは思うんですが
数日前から予約しておかないと食べられないんだとか。
その予約をしていても、
当日の30分や1時間待ちはザラなんだそうです。

われわれ観光客は、この混雑をしり目に2階へ。
で、このムダに豪華な扉の向こうの特別室でいただきます。

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なので一般市民といっしょに麺をすすることはできません。
帰りに列車で乗り合わせた朝鮮人バイヤーの話では
国民用と観光客用では「値段はもちろん味も全然違う」とか。
実は国民向けの方がずっと安くてうまい、と強調してました。
ホントかどうかを確かめるすべはありませんが。

ちなみに扉の向こうは
それほど「特別」でもありませんww

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確かに調度品はちょっと豪華でしたけどね。
でも一般市民から見ればかなり特別なんだろうなぁ。

そしてこれが噂のピョンヤン冷麺。

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そば粉が主原料なので麺が黒いのが特徴。
牛骨ベースの薄味スープとの相性は絶妙です。
このままでも充分おいしいんですが、
テーブル上にある酢や洋からしを加えて味の変化も楽しめます。

で、実はこのメインの冷麺の前に出てくる
緑豆チヂミがなかなかうまい。

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メインの冷麺を食う前に
おナカ膨らむものを出すのもどうかと思いますが
もともと朝鮮では「先酒後麺」と言って
冷麺の前にまずおつまみとともに焼酎を飲み、
それから冷麺を食べるというスタイルがあるからなんですね。

あと、一部の朝鮮通の間ではすでに有名ですが

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食後に出るこのアイスクリームが超絶品なんですよ。
いやもうほんと、ミルクの味が濃くて
しっかり味があるのに後に残らない。
ねっとりしているのにしつこくない。
とろりと溶けてするりとノドに流れ、残り香がふわり。
ヘタすると冷麺の感動を越えてしまうレベルです。

実際ピョンヤン市民の皆様にも大好評のようで
このアイスだけを売る特設売店が出てました(笑)

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記事一本でまとめるつもりでしたが…後編へ続きます。

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