ピョンヤン市内をゆく(1)~進むクルマ社会~
●車が多い
さて無事にピョンヤン入りを果たし、
翌日からは専用車であちこち巡ります。
と、ここで驚いたのは
交通量が急激に増えていたこと。
なんかこう、以前の北朝鮮のイメージでは
「クルマなんて数えるほど」だったので
※20年くらい前はこんな感じでした
道路いっぱいにいろんな車が走る光景に
まずびっくりしました。
通勤時間などには渋滞も発生。
混雑時にはルール違反(?)のはずの
路面電車の軌道敷走行までやらかす始末。
ウチの車もなww
片側5車線という広大な道路でも
けっこうな数の車が走っていて
こうした写真だけ見るとまるで中国みたい。
空が霞んでるのはスモッグではなくて黄砂ですけどね。
そして北朝鮮では日中もライト点灯しなきゃダメみたいです。
夕暮れ時もけっこうにぎやかですよ。
交差点もほかの都市と変わらない雰囲気です。
そう、お気づきでしょうか。
ふつうに信号機がついてるんです(←)
「なにをバカなw」と言う人もいるかも知れませんが
以前の北朝鮮には
信号機なんてほとんどなかったんですよ。
それがもうどの交差点でもあたりまえに鎮座。
それも電球じゃなくてLED式だぜぃ。
反対車線には交通監視カメラまでついてますよ。
でも、歩行者用信号はないんですけどね。
横断歩道の標識と路面ペイントはあるので
みんなそこでクルマの切れ目を上手に渡ります。
写真左端に小さく標識が写ってますが…見えにくいですね。
では別のショットで。
自動車用というよりも、歩行者に向けた標識がついてます。
あと、大きい交差点では地下歩道が作られてて
そこでは地上を横断すると違反取られるそうです。
●お国が違えば信号機も違う
ところで余談ですが、
この北朝鮮の信号、日本とちょっと違うのは
基本的に「矢印」表示なこと。
(※矢印じゃない信号もあります)
進む方向ごとに矢印の信号が点灯します。
これは直進と左折が可能。
日本では「矢印信号」が補助的につくんですが
ここではもう1台左折用がフルセットでついてる感じ。
あ、北朝鮮は右側通行。日本とは逆ですよ。
右折は信号に関係なくできるそうです。
と、まぁこれくらいはある程度わかる範囲ですが
戸惑うのがこれ。
赤信号も「矢印」なんです。
矢印見ると日本の信号に慣れてるワタシたちは
ついアクセル踏んじゃいそうなんですが
これは「直進も左折も止まれ」の意味。
踏み込んじゃうとガシャーン、です。
ま、ワタシたちが運転することは絶対ないので
心配することありませんけどね。
●すると、「あの人」は…
ところで、
これだけ交差点に信号機が普及すると
「あの人」はどうなっちゃうんでしょうか。
そう。北朝鮮名物(?)の制服美女、
交通保安員のおねえさんです。
かつては大きな交差点には必ず立っていて
手信号で交通整理。
(1998年ごろ撮影)これは夏服ですw
そのキビキビした動作はカッコ良くて
(これも1998年ごろ撮影)
旅行者のオトコどもの目を釘付けにしたものですが
まさかもう絶滅してしまったのでは、と
心配しつつ街を探していると…
幸いにもまだ活躍していましたよ。
ただ、その数は確実に減っていて
残る交差点でも今は道路のまん中ではなく
歩道の端に立って必要に応じて整理、が多い様子。
停電対策の意味合いもあるのかもしれません。
停電で信号消えちゃったら困りますからね。
まぁ最近は停電も少なくなってきたそうですが。
あのキリっと誘導棒を指し示す姿が
もう街中であまり見られないのは
いささか残念ではありますが、
確かにこれだけ交通量が増えてきたら
仕方がないことかもしれません。
それに夏は炎天下、冬は吹きっさらし、
雨や雪が降っても屋根がない道路上で
ずっと立ちっぱなしの重労働ですから
見てる方はうれしくても、やってる方は大変。
そもそも見世物じゃありませんしね。
信号機が普及すれば交代していくのも自然かな。
あともうひとつ残念(?)なことは
特に交通量が多い交差点では交通保安員さんが
おねえさんではなく、おっさんに変わっていること。
いや、ま、それは単にこちらのワガママですが(笑)
やはり交通量が増えたことでトラブルも増え、
若い女性では対応できないことがあるからだとか。
なかには血気多いドライバーもいて
相手が女性だと食って掛かるんだそうな。
北朝鮮の人って制服(権力)に従順なイメージがあったけど
最近はそうでもないのね。
そういえば国際列車の乗務員さんもそうでした。
ここにも確実に「時代の流れ」が押し寄せています。
あちこちでシャッター押してみるも、あら、またオトコ。
後ろの女子学生の方にピントが合ったのはあくまで偶然!
う~む。カメラも「忖度」してくれたんですかねww
でも、今後はもしかしたら信号機への移行が進み、
交通保安員が立つことはなくなるかも…とも聞きました。
勝手な言い分だけど、やっぱさみしいなぁ。
なので交通保安員の人形をお土産に買っちゃいましたよ。
高さ25cmほどでおよそ1,200円なり。
これは「おみやげ」だもん。「フィギュア」じゃないよね?
●タクシーも激増
そして急激に増えたクルマの中で
特に目立ったのがタクシー。
これ、信号赤で「止まれ」ね。やっぱり馴染まない…(笑)
もう街じゅう、そこでも
ここでも。
やたらとタクシーを見かけます。
「高麗航空」のタクシーもありました。
空港送迎用かな?
以前からもタクシーはありましたが
当時はハイヤーのようなもので数も少なく、
車体にも特に表示はありませんでした。
それが今では堂々と英語で「TAXI」表示。
そして駅前では並んで客待ち。
こちらは最近できたレジャー施設の前。
人の集まるところタクシーも集まります。
で、それもけっこう実車が多い。
みんな気軽に利用してるんですよねー。
初乗り運賃は聞きそびれましたが、
そういう部分でも
最近は人々にゆとりが出てきたのかもと思えます。
●自転車も広く普及
鉄道でピョンヤンに向かう記事でも触れましたが
いまや北朝鮮で自転車はポピュラーな乗り物に。
公共交通が発達している首都ピョンヤンでも
自転車は通勤にお買い物にと大人気です。
さすがに通学利用する学生は見ませんでしたが
おっちゃん達の通勤にはかなり利用されてます。
退勤途中に橋の上から魚釣りを観察中。
市内で開かれていたイベントでも
自転車がずらりと展示販売されていました。
電動アシスト自転車もありますよ。
お値段は325ドル。
反米の北朝鮮でもなぜか価格がドル表示(笑)
日本だと相場が7~10万程度なので
それに比べると半値程度、ずいぶんお安いですね。
土産に買って帰ろうかww(←経済制裁中なのでできません。)
もっとも、現地の人々の貨幣価値では
きっとまだまだ高額なんだろうと思いますが
それでも急速に普及しつつあることは事実。
お客さんの関心も高いようです。
販売済みの表示がついてるものも多くありましたよ。
なぜか後ろの荷台にクッションがついているような…
もしかして二人乗り前提なのか??
会場にはスクーターも並んでいましたが
ガソリンがいらない自転車の方が人気のようです。
またピョンヤン市内の大きい道路には
歩道脇に自転車専用レーンもできました。
実際に目にする機会はありませんでしたが
なにやらシェアサイクルがスタートしたらしい。
観光客向けのレンタサイクルもあるんだそうです。
確かにエコですしね。
ピョンヤン市内は平坦部が多いので移動もらくちん。
これから市民の間にもどんどん広がると予想されます。
これは自転車専用レーンの標識。
望遠で撮ったらブレちゃいましたが。
デザインが日本とおなじなんですねw