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全部夢のままの[君]がアディショナルタイムの[私]だったら

「ってか」の歌詞が今までの疑似恋愛男性オタク全肯定路線(?)から女性視点でルッキズム、トロフィーワイフを求める男を斬ってSVR理論のVの段階みたいな話だったのがめちゃくちゃ良かったんですが、「アディショナルタイム」も女性視点で、しかも恋人に振られて未練タラタラな様子っていうのが坂道楽曲にしては珍しい?(男性視点だと別れた恋人に未練タラタラな曲多いけど【※1】)ので興味深かったですね。

ここで思い出したのが「全部夢のまま」でした【※2】。歌詞の中で別れた恋人への想いが描かれており、前述した坂道楽曲に多く見られる「男性視点の別れた恋人に未練タラタラな曲」ではあるのですが、そういった楽曲の中では珍しく、明確に男性側から別れを切り出していることが示されており(他のはだいたいすれ違いとか遠距離とかのイメージ)アディショナルタイムの状況と一致しています。

これは組み合わせて聴くことで心のモノローグや木綿のハンカチーフ(さくちゃん歌唱は解釈一致)、さらばシベリア鉄道(うたコンのみさ先いくちゃん久保ちゃんの良かったですね)みたいな別れたカップルそれぞれの視点で振り返るやつができるのでは?【※3】ということで交互に歌詞を見ていきます。


まず全部夢のまま側の状況説明から。

そう ちょっとした口喧嘩
今までもあったけど
今夜の僕はイライラしてて
ついに爆発したんだ


何回も喧嘩したことはあるけど、今回で決定的な亀裂が入って男側から別れを切り出したようです。ただアディショナルタイム側の見解では、

いつもだったら喧嘩をしたとしても
ストレス解消したら そこでおしまい
プレイみたいに
長めのキスしてI LOVE YOU!


仲直りしたら水に流されてると思っています。でも全部夢のまま側には不満が蓄積されてたようです。

いつでもわがまま言い放題
なだめるのに疲れたし
直球すぎる言い方
なぜ 君に合わせて
自分を殺さなきゃいけない?


一応アディショナルタイム側の言い分?みたいなのもあります。

そんな根本的なこと すれ違ってたなんて
二人 これ以上無理よ(元には戻れないわ)
勝手に叫んでるけど 売り言葉に買い言葉
本心なんかじゃない


交際を続けられないと言ったのは本心ではないと…
あとこの「根本的なこと」って、全部夢のままが言ってた

きつすぎる性格が
タイプじゃなかったし
初めての印象は
むしろ苦手だったかも…


これのことだったりするのかな。タイプじゃなかっただの苦手だっただのという内容をめちゃくちゃキツく言ってしまったとか。
だとしたらアディショナルタイム側はめちゃくちゃ堪えてる

そんな言葉なんか口に出しちゃダメだって
誰だって分かってると思ってた さっきまで
こういう時って
悪い方向 進むものね


相性の合ってなさ?について言及することについてだとしたら「口に出しちゃダメ」って言うあたり、そのあたりは自覚してるのかもしれない…
ただこの「そんな言葉」って普通に考えたら「誰だって分かってると思ってた」から相手側から前述した「根本的なこと」を言われた感じかな?と思うんだけど、「悪い方向 進むものね」が後悔してるようにも見えるから自分が売り言葉に買い言葉で発してしまった内容説もあるかなと思わなくもない。


とりあえず以上です。突拍子もない話だけど考えるの楽しかった。ちなみに相手が振り返るまで時間をカウントしてる感じでコールミーも思い出したりしてました。でもアディショナル[私]は織田さんみたいに追いかけられんのやろうな…


※1
パッと思いつくのは302号室、沈黙した恋人たち、線香花火、東京タワー、咄嗟、三角の空き地、ありがち、半分の記憶、ごめfinあたり。
失恋したら顔を洗えは女性視点だけど前向きですね。

※2 
喧嘩別れしたっぽい相手への不満を含む想いということでけやき坂の半分の記憶説もあるけど、欅坂に引っ張られてか[君]と[僕]が避雷針的な自己肯定感が低くて他者との関わりを避けがちな人物造形してるので、アディショナル[私]みたいな気が強くて自己主張(我儘ばっかりだけど)ができる女とはそもそも友達になれない気がする。

※3
アイドルマスターシンデレラガールズにMASTER SEASONSや3Chordという連作CDシリーズがありました。SEASONSの夏(浮かれてる男視点)から秋(悩んでる女視点)への流れなんか完全に日向坂の2ndから3rdへの流れだった。

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