見出し画像

新宿二丁目楽庵の不思議になつかしい割子そば

新宿二丁目の仲通り。
夜になるとにぎやかになる街ではあるけど、昼は閑散。田舎の商店街のようなムードになっちゃう。
そば屋が一軒ありまして「楽庵」という店名。小さなお店。

画像1

実は同じ通りの別の場所に、深夜営業のそば屋が一軒、昔はあった。ゴリゴリとした十割蕎麦が当時としては珍しく、贔屓にしてた。
そこにいた人の一部が移って働いていた店。元のお店は今はもうなく、その店の当時のムードや料理が今でもほどよく受け継がれてる。
なつかしさに浸りましょうか…、とひさしぶりにやってくる。

画像2

今はなきその店は、野菜天ぷらと割子そばが名物だった。
7、8センチほどの長さに筒切りにしたネギに、縦に深く切り目を入れて衣をつけて揚げると、花が開くように切られたネギがそっくり返って揚がってく。その天ぷらが人気で夜中によく食べたもの。ただその天ぷらは今はなく、だから割子そばを注文。

画像3

三段、五段、七段とあり、ほどよきところで五段を選ぶ。
生まれてはじめて割子という食べ方を経験したのがその店だった。
「召し上がり方はご存知ですか?」と今日尋ねられ、東京ではまだまだ知らぬ人が多い料理なんだな…、と思ったりする。
手のひらサイズの漆の器に色黒の蕎麦。
色黒の蕎麦がふたすすり分ほど収められていて5段でちょうどせいろ1枚分くらいかなぁ…、そこにタレと薬味が揃う。

画像4

薬味がたっぷり、しかもいろいろ揃うところが割子のたのしいところで鰹節に海苔、もみじおろしにわさびに白ネギ。それらを直接器に収まる蕎麦にのせ、タレをかけてスルンと味わう。

まずは海苔。タレをたっぷりかけて箸で持ち上げ半分ほどをたぐって食べる。蕎麦の風味にタレの味わい。海苔の香りが鼻から抜ける。残り半分は器に口つけ、タレと一緒にザブンと飲み込む。タレの旨味で口が潤う。

画像5

次の器にもみじおろしと鰹節。前の器の中に残ったタレや薬味を次の器に移して、新たにタレを少々かけてそしてズルン。…の繰り返し。

画像6

おいしいバトンタッチしながら、蕎麦の入った器の山の隣に空の器を重ねる。一つの山が隣の山に移動させつつお腹が満ちる。最後はそば湯でお腹あっため、さて仕事へと席を立つ。

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?