サラマンジェ・ド・イザシ・ワキサカ、リヨンなお昼
銀座の小さなフランス料理のレストラン。サラマンジェドイザシワキサカ。
リヨン料理を得意とする店。ワキサカヒサシさんの食堂とでも訳せばいいのでしょうか。「Hisashi」をフランス語的に読むとイザシ。
Hは発音せず母音で挟まれたSは濁るというルール。
日立に就職した花田くんがフランスにいきなり赴任になって出発前に「オレ、来週からイタチのアナダになるんだぜ」って言って仲間を笑わせていたことをちょっと思い出す。
シェフがメニューを運んでやってくる。
以前来たときには小柄でけれど姿凛々しい女性のセルブールがいらっしゃった。
彼女のハッキリとした落ち着きのある声が好きで、来るたびウットリ聞き惚れていた。
その声が聞けなかったのは残念なれど、微に入り細に入りのシェフの説明はさすがに見事で料理のひとつひとつが目に浮かぶ。
リヨンの代表的な料理をいくつか。まず前菜に「ハチノスのパン粉焼き」。
熱をしっかり入れてネットリ、とろけるように仕上げたハチノスに細かなパン粉をぎっしりまとわせ焼き上げる。噛むとまずザクッ、それからネットリ。パン粉とハチノスがからみあってまじりあいずっと噛んでいたくなる。
ニンニクとエシャロット、ハーブをオリーブオイルでソテして作るフレッシュなソースもそれそのものでおいしくて、幸先の良いオゴチソウ。
焼いたバゲットがサーブされお供に自家製のマーマレイドがついてくる。
料理の合間の舌を、マーマレイドの苦味がリセットしてくれるのがオモシロイ。
メインを2種類。魚とお肉。
ひめますのクネルとバベットのステーキを選んでたのむ。
メニューにハンペンのような…、と紹介されていたクネルはまさにハンペン。ふわっと軽くてなめらかで、アメリケーヌソースをかけてオーブンで器ごと焼きやってくる。
このソースのおいしいこと。乳脂肪分にバターに甲殻類の旨味にスパイス。フィッシュナイフでソースごとじっくり味わう。
料理の中で何が好きって、フランス料理は格別に好き。一口分に凝縮された食感、味わい、香りの複雑にして濃密なことにウットリします。
フランスの人がステーキにして最もおいしいと愛してやまないバベット…、日本ではカイノミって呼ばれる部位。扇状の肉を筋に素直に切り分けて表面こんがり。芯はロゼに仕上げて食べる。ほどよく硬く噛みしめると旨味がジュワッと広がるゴチソウ。
じゃがいものグラタンにインゲンとジロール茸のソテの付け合わせも味わい深き華麗なひと皿。
〆はノワゼティーヌ。ふっくら焼いたチョコのスポンジに砕いたチョコのサブレが混じった大人のケーキ。コーヒーのお供の小菓子は枕の形のリヨンのクッション。パッションフルーツのピュレとチョコ、ミントリキュールが口でとろけて昼のお腹に蓋するおいしさ。堪能しました、オキニイリ。
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