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蒸し寿司をたのしめる店がすくなくなりました。

黒豚料理の「いちにいさん」。

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有楽町界隈には銀座と日比谷に1店舗づつ。銀座インズっていう高速道路の高架下地下にある店にくる。

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かつて飲食店がずらりと並んでいたフロアです。築地を中心にここ10年ほど積極的に店舗展開をしていた虎杖っていう会社のお店が向かって左手にズラッと並んでいたけれど、全部撤退。
その会社のお店は銀座プラザにもあったけど、そこも撤退。かなり事業縮小基調にあるようです。

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その向かい側にはいちにいさんの運営会社のステーキ屋さんとか天ぷらと蕎麦の店があったりしたのだけれど、それらも閉店。広いフロアにいちにいさんがただ一店舗というさみしい状態。今の東京を象徴するような景色がひんやり、胸に刺さってしんみりします。

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ここは案外にぎやかで大テーブルの1席もらう。関東醤油と甘い鹿児島醤油が並んでいる景色。こってり顔のお店のおじさんスタッフが、鹿児島のお国なまりで接客するとこ。あぁ、ここは東京の小さな鹿児島なんだなぁ…、って思ってニッコリ。
父は自分の出自のことをあまり口に出さなかったけど、熊本と鹿児島の県境あたりの血が流れていたとは言っていた。だからか南九州の人からお願い事をされると採算度外視で飛んでいっては仕事をしてた。父の仕事を引き継ぐ形でその界隈にはたまに行く。行くとなんだかなつかしくって、だからかボクはこの店が好き。

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黒豚しゃぶかつそばセットが昼のオキニイリ。

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しゃぶかつ、サラダ、そばに蒸し寿司、豚汁がついてひと揃えという盛りだくさんのお膳料理。

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中でもそばと蒸し寿司が好き。
ちょっと甘めの出汁がしっかりきいた汁。
バッサリとした歯切れのよいそば。たっぷりのネギ。
柚子胡椒をたっぷりのっけて味わうという、このスタイルが東京のそばとまるで違ったそばのおいしさ。

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茶碗蒸しが入るような円筒形の陶器の器に入った蒸し寿司。器の底には穴があいてて、そこから蒸気が通って中を蒸らす仕組み。甘くて酸っぱいシャリにふっくら錦糸卵。酢蓮にカイワレ、刻み海苔。ガリが酸味を整えて口からお腹がスッキリするような味が大好き。蒸し寿司を常時売ってるお店は他にもあるんだろうか…、って、吉宗をなくしたことを至極残念に思う昼。

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そばつゆで食べる豚しゃぶが売り物の店です。
そのしゃぶしゃぶ用の黒豚のバラを積み重ね、筒状にしてパン粉をまとわせザクッと揚げる。それがしゃぶかつ。俗にミルフィーユカツとして知られる料理で、豚肉と豚肉の間に肉汁が蓄えられていてその断面のみずみずしいこと。

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甘いソースをちょっとつけ食べると最初はザクッとパン粉が砕けて散らかり、後から肉汁がおいかけ口を潤していく。脂の乗った豚バラ肉です。その食感は軽やかなのに舌に感じる味わいはずっしり重たく小さなカツで満たされる。
豚の端材や大根、にんじんと具材たっぷりの豚汁もどっしりとした味噌の風味に豚の脂が混じって濃厚。満たされました、オキニイリ。


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