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横浜の勝烈庵。ヒレ推しの店のヒレのおいしさ…。

横浜で野暮用。これ幸いと昼食を「勝烈庵」にやってくる。
葉山住まい日吉通学の時代、横浜はとても身近な遊び場でちょっと大人な気分でおいしいものを食べたいときに来ていたお店。
四国にいた頃はとんかつを専門店で食べるという習慣がなく、だから今思い返せばとんかつ屋で食べたとんかつの始まりはこの店だった。
当時はダイアモンド地下街っていう田舎者にはビックリするほど大きく立派な地下街のはずれの小さな店で、職人さんを間近に感じながら食べるとんかつは格別だった。
のちに馬車道にある本店の格調高い雰囲気に、今までこんなお店のとんかつを普通に食べていたんだ…、と感動あたらにしたものでした。

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その本店のムードを手軽にたのしむことができる駅前地下街のお店に来ます。
揚げ物店でありながら空気がキレイで、厨房の中もピカピカしてる。お店の人の笑顔やわらか、仕事は丁寧で的確。いい店です。

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たのんだのはここの名物「勝烈定食」の大きいサイズに上ロース定食。それから季節のカキフライを四粒もらってひと揃え。テーブルの上がたちまちにぎやかになっていきます。

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芥子と塩、胡椒、ポン酢があらかじめ用意されてて、それに勝烈用の甘口ソース、ロースカツはぜひこちらで、と辛口ソースがやってくる。熱い煎茶と、汗かくボクらにお水も持ってまいりましょうか?と冷たい水も揃ってワクワク、料理を待った。お客様は落ち着いた年齢の人がメインでたしかに落ち着く。若い頃にはわからなかった魅力を感じる。料理が来ます。

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名物の勝烈はヒレカツのこと。
大抵のとんかつ専門店はロースを売り物にしようとする。
脂がのっていて歯切れもよくて、とんかつを好んで食べる人にとっての理想的なとんかつはロースカツであることが多い。
ただ、ときどき、うちはヒレが売り物です…、という店もあって、そういう店はヒレのミルキーな味わいとやわらかさを最大限に引き出す努力をするものです。

ちなみにヒレはロースに比べて場所、状態によって味、食感のばらつきが少ない部位で、安定したおいしさを手に入れようとするときに便利でもある。
ただどうしても旨味やなめらかさ、とろけ感がロースに比べて劣ることがあってその欠けたるものをどう補うかが腕の見せどころでもある。

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ここではヒレ肉の筋を丁寧に抜き繊維を切って長方形に形を整え休ませる。
細かなパン粉をぎっしりまとわせこんがり揚げる。
その揚げ色は濃い目のこげ茶。
パン粉の軽く焦げた香りにやわらかい肉。
甘いぽってりしたソースがやさしい味に整えてくれ、サクッ、カサッ、ジュワッととろける食感にぎやか。揚げているのに油っぽくなく肉の旨味がじんわり口に広がっていくオゴチソウ。

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ロースも同じように整えられててやわらか。しかも脂がとろけて肉そのものを甘く感じる。それでかけるソースは辛口。すっきりとしたソースの酸味が脂の甘味を引き立てる。

それにしてもソースというのはかつて「かける」ものだった。ところが最近、胡麻を擦り、すった器にソースを注ぎかけるのでなく「漬けて」食べてという店が多くなった。なんだかそちらが高級で本格派のようにさえ思えさすけど、かけたソースがゆっくり衣に馴染んでいって、衣がしんなり肉がしっかりまとわりついて口の中へとやってくる、「かけるとんかつ」も味わい深くてボクは好き。

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季節のカキフライは小粒の牡蠣を2つ合わせて衣をつけてサクッと揚げたスタイルで、牡蠣の食感、味わいがなんとも濃厚。

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ムチュンとはじけてじんわり口を牡蠣のジュースが満たしてく滋養に満ちたオゴチソウ。
しじみの汁にポン酢をかけて味わうキャベツ。細くしすぎずキャベツの風味や旨味をしっかり味わえるのも昔ながらでオキニイリ。


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