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本能ゆさぶる、暖炉で焼く肉

今日はとてもユニークなステーキレストランの話をひとつ。

お店の中に暖炉がある。
大きな暖炉でそこで薪をくべ火をおこす。網をおいてそこで肉を焼くというレストラン。
ステーキやハンバーグのような料理。
厨房の中で出来上がるお行儀のよいステーキと、屋外でできるバーベキュー的ダイナミックなステーキに大きく分けることができる。
どちらをおいしく感じるか。
ボクはやっぱりバーベキュー的に作られるステーキの方がおいしく感じる。
だって、プールサイドで焼いて食べるハンバーガーはどんなに高級なレストランのハンバーガーよりおいしいもの。
肉が炎に包まれて焼き上がげられていく風景そのものに心が踊るような感じがするのでしょうね…、人の本能をくすぐる料理。

店の中に大きな暖炉を作って、そこで肉を焼く店があります。
千駄ヶ谷にある「CHACOあめみや」というお店。
開店の10分ほど前にお店に到着。もう並んでいる人がひと組あって、その後続々と人がやってきて行列になる。
開店と同時にほぼ満席。繁盛店です。
昔は東京に何軒か系列店があった。六本木のお店に一番よく行ったかなぁ…、銀座にもあってけれど今残っているのは千駄ヶ谷のこの店だけになっちゃった。

階段を降りてお店に入ると大きな暖炉が出迎える。
暖炉には一日、火がおこっていてそこに網。肉をおいて大胆に焼くという、まるでお店の中でバーベキューをしているような独特なムードがゴチソウ。

サラダを食べつつ、ステーキが焼き上がるのをワクワク待ちます。
それにしてもサラダがおいしいコト。器が霜降るほどに冷やされて野菜も冷たい。サウザンアイランドドレッシングに酸味強めのフレンチドレッシングを半分づつのせ食べるとシャクシャク、レタスの葉っぱがたのしく歯切れて口を潤す。

ステーキがやってきます。
楕円形の鋳物のお皿をがんがんに焼いたところに乗せて熱々。メンドテールバターとスイートコーン、いんげん豆にキャロットグラッセ。ベイクドポテトを従え堂々300g。肉はリブロースを選びました。

毎日40個限定のハンバーグというのがまた人気で、それは厨房の中で焼かれる。
厨房はお店の一番奥にあります。
入り口からはステーキを焼く煙が、厨房からは脂を含んだ蒸気が出てきて店の空気が白く煙ってく。
カメラを構えてモニターをみると、移った画像が乳白色…、というのにちょっとびっくりするものの、おいしい匂いをまとった空気にお腹がグーグー鳴ってくる。

そうこうするうち友人のたのんだハンバーグが到着です。
ハンバーグが2個ついてくるWハンバーグ。缶詰のマッシュルームが入ったデミグラスソースがつやつやテカって、ジューッとソースが沸騰する音にハッとする。

ハンバーグを一個づつ分け、リブロースのステーキを半分個にして盛り合わせにする。
リブロースはミディアムレアな状態かなぁ…。
表面の焦げたところの風味がよくて噛みごたえがある。
噛めば噛むほどに肉汁がしみだしてきて、口の中がどんどんおいしくなってくる。
軽く塩と胡椒がほどこされていて、一度、何を使えばおいしくなるの?とお店の人に聞いたことがある。

「それは醤油に決まってる。手間暇かけてソースを作っているんだと威張っても、醤油を作った微生物の手間と時間にゃかなわないから」と言う。
なんて正直。
言われた通り醤油をかけて食べたら素直に旨い。暖炉で焼いたことで肉の脂が焼ききれて風味豊かになっているから、七面倒臭いソースなんか使わなくても、焼けた香りと醤油の風味で十分味が整うんだ…、って思う。

一方、ハンバーグにソースをかけるのは肉を挽いてまとめて焼くとき失ってしまった風味としっとり感をソースで補うためなんだという。
ちなみにこのハンバーグ。
ステーキ肉を挽いてそのまままとめて焼いたモノ。
がっしりとした歯ごたえで噛んだ直後にちょっとちらかる騒々しさをのぞいては、まさにステーキ。ご飯のおかずにちょうどいい。

アルミホイルで包まれてほっくり仕上がるベークドポテト。
ホイルをめくってみるとパリッと皮がめくれて焼き上がっている。
ベークドポテトをスプーンで食べるか、ナイフとフォークで食べるかその仕上がりで答えは異なる。
実はボクの父はベークドポテトはナイフで一口大に切り分けて、フォークで食べるという食べ方にかなりこだわる人だった。皮を嫌ってスプーンですくって中だけ食べる人を見て、皮がおいしい料理なのに勿体無いっていつも言ってた。
ところがアメリカに行くと手のひらほどの大きさの、皮が分厚いベークドポテトがやってくる。刻んだベーコンやチャイブ、サワークリームを入れてぐるぐるかき混ぜて、マッシュドポテトのようにスプーンで食べるのをみて、これは断じてベークドポテトと呼ばない料理と憤慨してた。
ここのベークドポテトを見たら、喜ぶだろうなぁ…、これがベークドポテトだって。

バターをたっぷり吸い込んでなめらかに仕上がったベークドポテト。
ナイフで皮ごと切り分け食べる。ポッテリとろけるじゃがいもの食感が、パリッと焼けた皮の食感で引き立ちおいしい。
ご飯を鉄板の上に移してスイートコーンやバターとあえて最後に醤油で風味をつけてお腹を満たす。洋白の脚高カップに入ったいちごのシャーベットでお腹に蓋した。おゴチソウ。


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