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牧のうどんの「やわ」はうどんの形をした出汁の如きかな

牧のうどんにくる。博多駅前。バスセンターの地下。

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移動の前の、開店時間直後を狙ってやってくる。すでにおいしい出汁の匂いが店の外まで流れ出してる。
厨房を見るとうどんを茹でる釜からあがる蒸気で煙って準備万端。

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券売機の前に立ち何にしようかとしばらく迷う。
うどんとかしわ飯。
たのむものの基本は決まっているのだけれど、うどんのトッピングを何にしようかしたたか迷う。
20種類のトッピング。ひとつと言わず、2つ、3つと選んで好みに仕上げていくから、その多彩なること無限の宇宙の如しであります。
しばらく悩んで、結局選んだのは、肉うどんにわかめをトッピング。別皿でコロッケ、それにかしわ飯という組み合わせ。

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「固・普通・やわ」の3種類から選べる麺の茹で加減はいつもの「やわ」。

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茹ではじめから仕上がりまでに40分はかけないと、このやわらかさにならないという。それが開店と同時に待たずに提供されるということはすなわち開店前からもう茹ではじめているということ。
時間と手間を考えるなら、これほど贅沢なうどんはないよな…、としみじみ思う。

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うどんの入った器にレンゲがささってる。それが倒れようとしないのは出来上がった瞬間からうどんが汁をゴクゴク飲んでしまっているという証。昆布や節を大量につかってとった「命の出汁」です。甘くて旨くて、塩の輪郭もきっぱりしている。一本ツルンとうどんをたぐると出汁がうどんの形になって、口の中へとやってきたかと思うほど。

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追加のコロッケがおいかけ到着。揚げたて熱々。半分に割って片方にはソースをかけて残り半分はあとでうどんにのっけて食べる。本格的にいただきます。

よく茹でられたうどんはやわらかいだけでなく、角がとれて丸くなってる。
口の中に入れた瞬間、「あぁ、やさしいなぁ」って実感します。
喉越しなめらか。
喉の奥から一直線にお腹におさまり体を芯からあったかくする。
体のすみずみに染み入るようなおいしさで、そこにわかめの旨みや甘辛く煮た肉の風味が混じってどんどんおいしくなってく。

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甘辛に煮込んだ牛肉たっぷり。
肉の旨味と脂のコクが汁に溶け出し味や風味を複雑にする。その肉をかしわ飯の上にのっけてハフっと食べる。汁を飲むの繰り返し。

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器の中のうどんは減っていくのだけれどそれでもレンゲが倒れない。陣取りゲームだったら完全にうどんの勝ちです(笑)。命の出汁を注いでスルスル、食べていく。

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わかめシャキシャキ、歯ごたえ上等。プルプルペロペロ、口の中を撫でて喉へとなだれ込む。
ここのコロッケは不思議においしい。カサカサ揚がったパン粉衣にポッテリとした中のじゃがいも。そのまま食べてもおいしいけれど、汁に浸すと揚がったパン粉が汁を吸いとろけるようになっていくのがなんとも独特。
なにより感心するのがいろんなものが汁に混じっていくのだけれど、汁の風味や味わいが壊れずずっとそこにあること。牧のうどんは出汁を味わう料理なんだ…、ってしみじみ思う。

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やかんの中に残ってた汁をかしわ飯に注いでサラサラ流し込み、ご飯を一粒残らさずお腹に収めて器は空っぽ。うどんも汁まで飲み干して満ち足りました。オキニイリ。南に向かって移動です。

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