茶碗蒸しが主役のお昼と、凛々しい女将
銀座で昼食。酒の穴に来る。
らん月っていうしゃぶしゃぶ、すき焼きのお店のビルの地下2階。
ひとつ上のフロアにはステーキがおいしいレストランも姉妹店としてあったりして、ビル全体がおいしい世界。
ランチタイムで一番人気があるのはここ、酒の穴でしょう。
手軽な値段で気軽な料理。メニューの品揃えも豊富でそれで次々、スーツ姿のおじさんたちがやってくる。
それにしてもこの店のおねぇさんたちの物憂げな立ち居振る舞いに、昔はドキドキしたものでした。一見すると機嫌悪そうにみえる表情に、こちらから大きな声かよほど大きな合図をしないと気づいてくれない。
ボクはまだまだこの店に来るには若造過ぎるのかしら…、と思っていたけど今もそういう風情は健在。しかも誰に対しても同じようなふるまいだから、もしかしたらこの店を贔屓にしているおじさんたちが、凛々しい女性に叱られたくてうずうずしながらくるからかなぁ…、なんて思った。叱られそう(笑)。
テーブルに酒燗器が埋め込まれているのがココならでは。さすが「酒の穴」であります。タイガーマスクは虎の穴、サラリーマンは酒の穴!夜な夜な大人になるための特訓が行われていそうな気配であります(笑)。
ランチのメニューは種類豊富。中でも一番人気は、10種類ほどのおかずの中から3つ選んで定食にしてもらうというもの。いつもそれ。
2種類はもう来る前から決まってる。茶碗蒸しと肉じゃがで季節で変わる料理もあるけど年中この2つだけは必ず用意されている。もう一種類がちょっと決まらずしばらく悩む。唐揚げにしようか、コロッケもいいな…、と迷った挙げ句、サワラの西京漬け焼きっていうのがあってそれにした。ちょっと大人なセレクション。
蓋付きの丼にご飯。それから味噌汁。ゴリッと太いタクワンときゅうりと柴漬けの漬物三点セットがついてひと揃え。
茶碗蒸しの器の大きさが目を引きます。お膳にのってやってきたときには茶碗蒸しが右奥にあり、けれどやっぱり主役は主役の場所にあってほしいと思って、真ん中に置く。
ずっしり重たく、熱々で、普通の茶碗蒸しの3杯分は優にあるんじゃないかなぁ…、銀座8丁目にあった吉宗の茶碗蒸しがいなくなった銀座にあって唯一無二のジャンボ状態。
大きいだけじゃなくて具材もゴロゴロ。鶏肉、白身魚にかまぼこ、しいたけ。三つ葉に枝豆、それから銀杏。スプーンを入れて持ち上げるたびに何か具材が一緒に入って持ち上がる。出汁もおいしくお腹が潤う。それにしても茶碗蒸しの中から銀杏が出てきたときってなんでこんなにうれしいんだろう…、ってしみじみ思う。オキニイリ。
肉じゃがは牛肉たっぷり。西日本生まれのボクにとって、肉じゃがといえば牛肉とじゃがいもで作る料理で、それが関東にやってきたら多くの店が豚じゃがだった。日本の食の文化の多彩を感じる料理の一つだった。脂をもたない赤肉がホロホロするほど煮込まれて、一方、じゃがいもは形を残した大きな塊。おでんに入ったじゃがいもみたいで、芋そのものの味がしっかり味わえる。
いるけど香ばしさはない。皮をはずしてご飯にのっけ、食べると味はしっかりしてて、サイドの蕗の佃煮がおいしゅうござった。実もたっぷりの汁は上等。ほどよく満足。ごちそうさま。
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