見出し画像

不安について考える

「人生のおとしもの」が過去のものなら、「不安」は未来のもの。

まだ現実に起こってもいないことを、あれこれ頭の中で想像して、身動きが取れなくなっているのが「不安」の正体ですね。

野球に長く携わってきましたが、守っていると「エラーしたらどうしよう」というような不安に襲われることがたびたびあります。切羽詰まった局面ほどそうです。まだエラーしてもいないのに「エラーしたらどうしよう」という不安で、頭の中がいっぱいになってしまうこともあります。

その結果、身体がこわばり、パフォーマンスが落ちて、本当にエラーしたりするわけです。まだ起こってもいない損失におびえて、本当に損失を呼んでしまう……よくあるパターン。

仮に自分のところに打球が飛んでこずに、無事に試合が終わったとしても、「エラーしたらどうしよう」という不安に襲われて、もやもやしてしまった時間は、ロスの塊です。楽しい時間は戻ってきません。

さて、それでは、この「不安」にどのように立ち向かえばよいのでしょうか。

1つは、まさに「『不安』とは、まだ起こってもいないことを、『言葉』で、ねちょねちょ作り上げている妄想に過ぎない」と確認することだと思います。不安の正体が妄想に過ぎないと確認できれば、「あほくさ」と気分を一新できるきっかけにもなるかもしれません。

もう1つは、「言葉」に過ぎない「不安」を追い出すことだと思います。

「不安の言葉」は、「動いていない時間」「待っている時間」に付け込んできます。野球は、「待っている時間」の長いスポーツなので、「不安」が付け込みやすいのだと思います。動きまわっていれば、「不安」が付け込む隙はなくなります。バスケットやサッカーで、走り回っているときに、「ミスしたらどうしよう」など、もやもや考える暇はないでしょう。

「不安」を追い出すためには、「動くこと」「待たないこと」が効果的です。野球で言えば、じっと守備位置にいるのではなく、足を動かしながら守ってみる。打球を待つどころか、「バッチ来いよ」と自分のところに呼び込んでみる。そんな前向きの心です。それこそ「バッチ来いよ」という単語を口にだし続けたり、頭で反芻したりすれば、「飛んで来たらどうしよう」などという「不安の言葉」が、頭に思い浮かぶ余地はなくなってしまうはずです。

もちろん、野球に限ったことではありません。

「不安」は、「まだ起こってない未来のこと」と確認して、軽やかなフットワークで事態に立ち向かう。未来への作戦は必要ですが、未来への妄想不安は人生の足取りを重くするだけ。

メランコリーになってしまいそうなときの処方箋です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?