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制限行為能力者制度(成年後見制度) 宅建試験40点を目指す講義NO.4

(1)成年後見制度

①成年後見制度の類型とその内容


後見、保佐、補助の各類型があります。

対象については、判断能力の程度に応じて、
・後見レベル 精神上の障害により事理弁識能力が欠けているのが通常の状態の者
例えば、重い認知症とかになります。

・保佐レベル 精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分の者

・補助レベル 精神上の障害により事理弁識能力が不十分の者
例えば、軽度の認知症など、軽い精神障害とかのレベルの者になります。
この補助のレベルになりますと、基本的には自分で法律行為ができると思いますが、本人が、高額な物の取引になると不安だから、補助をして欲しいと望めば、審判によって、補助人に補助してもらうことができるという制度になっています。
この補助については、本人以外の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要となります(民法第15条第2項)。ここは特徴的な部分になります。
では、あえて本人の同意を必要としたのはどうしてか?
補助のレベルであれば、判断能力のゆらぎが軽度であり、本人の自己決定を尊重する必要があるからです。

民法第15条「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。」(一部省略)

平成20年問題1
行為能力に関する問題で、民法の規定によれば、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。」との内容の正誤が問われていました。

タックン いや、補助開始の審判には、本人の同意が必要だよ

そうですね。補助については、本人以外の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要となります(民法第15条第2項)。ここは特徴的な部分です。よって、この選択肢は誤りになります。

後見、保佐、補助のいずれも、各制度を利用する場合、精神上の障害があることが必要です。
単に財産保全をするとか、浪費をするから、法定後見人を選任してもらいたいと思っても、精神上の障害がなければ、この法定後見制度は利用できません。

後見、保佐、補助の区別としては、程度が重い人は、後見、中程度の人は、保佐、軽い人は補助みたいなイメージになります。このイメージで大きな間違いはないかなと思います。
では、どうしてこのようにレベル分けをしているのか。
いずれも判断能力が低いので、保護してもらう必要があるわけですが、他方で、判断能力の程度に応じて、本人の意思も尊重した方がよいという判断があります。ですから、レベル分けをしています。要するに、民法は、本人の保護と同時に、本人の意思の尊重との調和を図っているわけです。

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