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第35回社会福祉士国家試験解答・解説(午前科目)

人体の構造と機能及び疾病


問題1 思春期に伴う心身の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 この時期の心理的特徴として、自意識に乏しいことが特徴である。

2 女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。

3 男子は、女子よりも早い時期から思春期が始まる。

4 身体の変化は緩徐な変化が多い。

5 第二次性徴という身体的な変化が始まる。


正解 5

解説

選択肢1は、✖
思春期の心理的特徴としては、自意識の増加があります。思春期のころは、自分自身の価値を見出そうと葛藤しているからです。

選択肢2が、「女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。」とあって、これが、生殖器の発達だと思って、この選択肢2が正解かなとも思ったかもしれません。この点、『産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第 4 版』の女性の思春期の定義によりますと、「女性の第二次性徴は、「乳房発育に始まり、陰毛発生、身長増加、初経発来で完成する。」とのことです。なので、選択肢2は、✖
上記のように、女子では、乳房の膨らみから始まり、陰毛発生、身長増加、初経発来で完成します。
男子では、睾丸(こうがん)の発達と変声から始まり、陰毛発生、性器の発達、体格の変化、精通(ペニスの先端から初めて精子が出る生理現象のこと=初回射精)へと続きます。
男女それぞれの特徴としては、女子の第二次性徴が上(乳房)から始まり、男子は、下(精巣)から始まるということがあります。

選択肢3は、✖
思春期は、性ホルモンの働きで第二次性徴が生じ、生殖器の発達が始まります。第二次性徴の始まりは、女子は、8~9歳ころ、男子は、10歳ころになります。

選択肢4は、✖
性機能の発達というところで、スキャモンの臓器別発育曲線の生殖器型の所と重なります。13歳あたりまでは発達がほとんどありませんが、13歳ごろから急激に発達します。

選択肢5は、〇
「第二次性徴という身体的な変化が始まる。」とあります.。
思春期には、性ホルモンであるエストロゲンの働きで、第二次性徴が生じ、生殖器の発達が始まります。




問題2 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1 対象は障害のある人に限定されている。

2 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。

3 「活動」とは、生活・人生場面への関りのことである。

4 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。

5 その人の住居は「個人因子」の一つである。

正解 4
解説
選択肢1は、誤りです。
ICIDHでは疾患・外傷に限られていたのとは異なり、ICFではそれらに加えて妊娠・加齢・ストレス状態その他いろいろなものを含む広い概念となっています。妊娠や加齢は「異常」ではなく、妊娠はむしろ喜ばしいことでありますが、これらは「生活機能」にいろいろな問題を起こしうるので、健康状態に含めるわけです。このことからも、ICFが、障害のある人などの特定の人々にのみ関係する分類なのではなく、「すべての人に関する分類」になったことが理解できると思います。

選択肢2は、誤りです。
社会的不利は、ICIDHの構成要素の1つになります。

選択肢3は、誤りです。
生活・人生場面への関りは、参加です。
活動とは、個人によって課題や行為を遂行することです。

選択肢4は、正しいです。
環境因子は、生活するうえでの物理的・社会的な環境を指します。仲間は環境因子に該当します。

選択肢5は、誤りです。
その人の住居は、環境因子です。
個人因子は、現在までの経験や教育など個人によるものをいいます。



問題3 次のうち、疾病の予防に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。

1 特定健康診査は一次予防である。

2 糖尿病予防教室は一次予防である。

3 ワクチン接種は二次予防である。

4 リハビリテーションは二次予防である。

5 胃がんの手術は三次予防である。


正解 2

解説

予防医学の問題でした。

予防には、一次(健康増進・・健康相談、健康教育と特異的予防・・予防接種)、二次(早期発見・・健康診断、早期治療・・適切な治療)、三次(悪化防止、リハビリ)とあります。

健康診断は、二次予防になるので、選択肢1は✖
糖尿病予防教室は、健康教室なので、一次予防です。なので、選択肢2が、〇
なお、問題3の選択肢1は、特定健康診査によって、生活習慣病の予防が可能なので、一次予防の疾病の予防の枠にも入ってきます。よって、選択肢1も正解の可能性があります。


問題4 次のうち、2021年(令和3年)における、がん(悪性新生物)の主な部位別にみた死亡数で女性の第1位として、正しいものを1つ選びなさい。

1 大腸がん

2 胃がん

3 膵臓がん

4 乳がん

5 肺がん

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