<5月と空>何も、起こらなかった。
雲ひとつない真っ青な空。
五月晴れのもとで、燃えさかるほどにまぶしい太陽だけが、大きくてどこまでも青い空を優雅に独り占めしていた。
それはまるで大河ドラマの主役のような圧倒的な存在感だった。
そんな太陽と、真っ青な空を見上げながら、きっと今日はものすごく感動的なサンセットが待ち構えているのだろうという期待に胸を膨らませて、私はじっと、日が暮れるのを待った。
太陽は、ゆっくり、ゆっくりと、待っているこちらになどおかまいなく、空をめいっぱい堪能して、そして、沈んだ。
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