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【パンダ】中国の白酒でカクテルを作る


 今度、とある作家さんのスペースに参加しつつ、それぞれにお酒を飲むという趣向がありまして。
 いつもお世話になっていて、姉御と慕う作家さんなのだ。
「そうだ、せっかくだから、かつて上海で飲んだ『熊猫(パンダ)』ってカクテルを再現してみよう!」
 なんて思いついちゃったりして。

 中国のサイトで検索すると、レシピはあっさり発見できた。
 白酒(BaiJiu:ばいぢぉう)をベースとしたカクテル。
 アルコール度は39と、ものすごく高いし、そのまま飲むのは極めて困難な白酒だけど、カクテルにすれば口当たりがやわらかくなるし、一杯くらいなら、ふにゃふにゃに酔わずに済む……はずだ。

●材料
・白酒:1オンス
・オレンジジュース:1オンス
・卵黄:1個
・白砂糖:小さじ1

 オンスって、どのくらいなん?
 ……と思って検索すると、
「1オンス=28ml」
 まあ、だいたい30mlってことでいいか。
 本来なら、グリーンチェリーとかつけるべきらしいのだけど、そこは割愛。

 カクテル・シェイカーなんて豪華な備品は持っていないし、買うととても高いので、ペットボトルで代用。

 で、最も重要なる白酒は、ネットで購入してみたももの……なんか、すんごいのが届いちゃった!
 中国の呑兵衛……もとい、酒仙と称する詩人らが飲んでいそうな、いかにもそれっぽい甕に入っていて、菱形の赤い紙に「酒」としたためてある。
 なんなら、これをぐびりと飲みながら、酔拳でもやらかしちゃいたい気分になる。

これを飲めば君も酒仙だ!

 ということで、計量しながら、空のペットボトルへぽいぽいと材料を投入。
 卵黄は、ペットボトルを少し凹ませることで、中へ吸い込まれるようにして、頑張って入れてみる。
 蓋をして、かしゃかしゃ振れば、出来上がり。
 大学時代、居酒屋のバイトで、男性の先輩がドヤ顔で教えてくれた振り方を憶いだしながら。

計量はしっかりめにね
上海で飲んだ「パンダ」は、もっと白っぽかったような……?
かしゃかしゃ後

 実飲してみると……クセの強い白酒で、匂いも強烈だけど、口に含んでみると案外やわらかくて、とても飲みやすい。
 こんなんだったけなあ……と上海の夜の記憶を辿ろうとおもったものの……さっぱり思い出せん。
 本来はおしゃれなカクテルグラスに注ぐべきものだろうけど、うちにはそんな粋な道具なんざ、そろってないので。
 ぬるかったので、あらかじめ冷やしておくか、または氷の破片も混ぜるとよかったかもしれない。

うちでは、へのへのもへじ湯呑みがスタンダード!
いい感じに泡立ってて、ちょっと白っぽくなった

 このカクテルは、中国をあちこちふらふら旅していた頃に出会ったものだった。
 上海へ立ちよった時、その洒脱な街並みに吸い寄せられ、高級ホテルのバーで注文したっけ。
 日本では、高級ホテルのバーなんてハードルが高すぎて、絶対に入れない。
 異国の街を歩いていて、
「たまには、ちょっと大人になった気分に浸ってみたい」
 なんて無謀な野心をいだき、よれよれのTシャツ姿であるにも関わらず、ほいほいと入ってみたものだった。
 今ならもうちょいドレスコードを気にするくらいには大人になったけど、わたし、よくもまあ、あんな汚い格好で突撃したものだよ。

 ピアノがジャズを演奏し、洒脱な空気に満ちた店内で、優雅にグラスを傾ける。
 ここへ至る前に、上海蟹の店で豪華にカニ料理を食べていたから、気分もはっちゃけていたのだろう。
 学生の身分で、これは我ながら背伸びしすぎだったかもしれないし、その日に使ったお金、いつもの10倍か20倍以上。
 でも、日頃は貧乏に過ごしながら、たまさか、身に釣り合わない贅沢をしてみたっていいと思う。
 学生のうちなら、大人の失笑をかいつつも生暖かく見守ってくれる……気がする。

 問題は、あの頃とくらべて、いまだに大人になれた気がしないってとこだけどね。

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