【青森】その2 わくわく車中泊と、海鮮のっけ丼
夜の青森市街を歩く。
車中泊の体勢へはいるまえに、市街地の雰囲気を味わいつつ、青森が産んだ作家・風祭千さんのおすすめ中国料理店へ。
中華料理というよりは、高級めの中国料理店。
それでいて、麺類やチャーハンはリーズナブル。
品のある優しい味が、疲れた身体に染み入る染み入る。
◯
真夏や真冬に車中泊は地獄かもしれないけれど、今くらいの季節は、たぶんちょうどよい。
道の駅へ到着したのは22時くらいだったけれど、もう、ほぼ駐車場は埋まっていた。
どの車も、フロントガラスやサイドの窓を目張りして、中が見えないようにしてある。
プライバシーの問題もあるけれど、保温も兼ねてのことらしい。
うちも、夫がせっせと窓枠の形に切った段ボールを事前に用意しておいてくれた。
わたし一人だと、そのまま座席で適当に眠ったと思う。
トイレから戻ると、車内が立派なベッドへと変貌していた。
多少、でこぼこするけれど、そういうのも含めて楽しい。
明け方は、ものすごく冷え込んで、エンジンをかけておかないと凍死しそうだった……。
朝日に照らされた駐車場へ出て、のびをすると、道の駅の裏手には白くて可憐な花を咲かせる木が。
「ああ、これってりんごの花だね……青森に来た感じ、すごくする」
◯
青森旅行の経験がある作家の友達・月森さんが、強くおすすめしてくれた〔青森魚菜センター〕。
朝ごはんにしては、ちょっと贅沢だけど、ここで朝食を摂ろうと決めていた。
のっけ丼といって、鮮魚をあつかう各店で好きなのを選んで、どんどんと丼へのっけてくのだ。
裏手には、ばたばたしていて古くて小さい、屋台のようなお店が立ち並んでいて、風情がある。
下手に綺麗でしっかりした建物よりも、こういう雰囲気が、なんだかじんわりくる。
中は、おでん売りだったり、野菜売りだったり。
〔青森魚菜センター〕の内部をひととおりぐるりとめぐって、
「これ!」
という具材をどんどん載せてゆく。
2000円で、チケットは12枚。
大盛り丼だけで、うっかりチケットを2枚も消費しちまったので、海鮮の具材に使えるのは、残り10枚……。
さらにうっかり、お味噌汁に1枚を消費しちまったが、仕方がない。
美味しい海鮮ものには、美味しいお味噌汁がつきづきしいのだから。
しかも、ホタテのお味噌汁なんて、初の味わいじゃないか。
他にも〔ねぶた漬け〕を取ってしまった。
青森に来たら、ねぶたと名のつくものに反応しちまうのは、不可抗力だ。
たくあん、かずのこ、昆布などをまぜた、ぬめりと旨味と歯応えの合体技だ。
ホタテの子にも、強く惹かれた。
なんでも、これが出回るのは正月と、今の時期しかないらしい。
ホタテの風味をベースに、まるであん肝のような滑らかな舌触り。
結果……。
丼にのっけることができた具材は、以下の通り。
・マグロ
・ブリ ×2枚
・水タコ
・ホタテ
・タイ
・中トロ
6種類か……しかも、ブリに2枚使ってるし。
でも仕方がない。全部ブリでもよいくらい、大好物なのだし。
釣りが大好きで、よく釣った魚をご馳走してくれていた叔父がいて、彼の教えによると、
「淡白なものから食べた方がいいぞ。特にこのサヨリとか」
たしかに、脂っこいのや味が強めの魚から食べてしまうと、淡白で繊細な魚の味が、わかりづらくなる。
そんな教えを律儀に守って、今日もまた、それっぽい順番で箸をつけてゆく。
水タコ、タイ……と続いて、次にホタテ。
「やばい、新鮮なだけじゃなく、やわらかいし、甘味があるし、みずみずしいと同時に、口の中でふくらむ旨味が、しっかりしてる」
我が生涯最高のホタテを、いただきました。
続けて、マグロ。
次にブリ。
これは、通常の3倍もの大きさを誇っていた。お寿司なら3貫ぶん、ということだ。
次に、中トロ。
そして最後に、再びブリ。
大好物で、この味を締めくくるべきだ。
◯
センター内には、鮮魚を扱ういろんな業者さんがひしめいていたけれど、その中で、妙な異彩を放つブースもあった。
「ん、チョコレート? 『わたし、ローチョコレート』?」
なぜ、鮮魚に囲まれて、チョコレート屋さんが……。
さすがに、その場では買わなかったけれど、あの場での浮きっぷりで強烈な印象を受けた。
後で調べてみると、青森のチョコレート・メーカーの製品で、カカオの風味と栄養素を、最大限に引き出したというチョコらしい。
その後、青森の他の店でも、扱っているところを見た。
どんなチョコなんだろう……。
いつか、通販とかで食べてみたい。
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