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【青森】その2 わくわく車中泊と、海鮮のっけ丼

 夜の青森市街を歩く。
 車中泊の体勢へはいるまえに、市街地の雰囲気を味わいつつ、青森が産んだ作家・風祭千さんのおすすめ中国料理店へ。
 中華料理というよりは、高級めの中国料理店。
 それでいて、麺類やチャーハンはリーズナブル。
 品のある優しい味が、疲れた身体に染み入る染み入る。

エビラーメン ぷりぷりの海老に、優しく深みあるスープ
チャーシューメン 古きよきラーメンの味わい
小籠包 酢は、中国の香醋で

 真夏や真冬に車中泊は地獄かもしれないけれど、今くらいの季節は、たぶんちょうどよい。
 道の駅へ到着したのは22時くらいだったけれど、もう、ほぼ駐車場は埋まっていた。

 どの車も、フロントガラスやサイドの窓を目張りして、中が見えないようにしてある。
 プライバシーの問題もあるけれど、保温も兼ねてのことらしい。
 うちも、夫がせっせと窓枠の形に切った段ボールを事前に用意しておいてくれた。
 わたし一人だと、そのまま座席で適当に眠ったと思う。

 トイレから戻ると、車内が立派なベッドへと変貌していた。
 多少、でこぼこするけれど、そういうのも含めて楽しい。

 明け方は、ものすごく冷え込んで、エンジンをかけておかないと凍死しそうだった……。

 朝日に照らされた駐車場へ出て、のびをすると、道の駅の裏手には白くて可憐な花を咲かせる木が。
「ああ、これってりんごの花だね……青森に来た感じ、すごくする」

りんご農園

 青森旅行の経験がある作家の友達・月森さんが、強くおすすめしてくれた〔青森魚菜センター〕。
 朝ごはんにしては、ちょっと贅沢だけど、ここで朝食を摂ろうと決めていた。
 のっけ丼といって、鮮魚をあつかう各店で好きなのを選んで、どんどんと丼へのっけてくのだ。

 裏手には、ばたばたしていて古くて小さい、屋台のようなお店が立ち並んでいて、風情がある。
 下手に綺麗でしっかりした建物よりも、こういう雰囲気が、なんだかじんわりくる。
 中は、おでん売りだったり、野菜売りだったり。

立ち並ぶ屋台

〔青森魚菜センター〕の内部をひととおりぐるりとめぐって、
「これ!」
 という具材をどんどん載せてゆく。
 2000円で、チケットは12枚。
 大盛り丼だけで、うっかりチケットを2枚も消費しちまったので、海鮮の具材に使えるのは、残り10枚……。

チケット12枚で2000円なり

 さらにうっかり、お味噌汁に1枚を消費しちまったが、仕方がない。
 美味しい海鮮ものには、美味しいお味噌汁がつきづきしいのだから。
 しかも、ホタテのお味噌汁なんて、初の味わいじゃないか。

 他にも〔ねぶた漬け〕を取ってしまった。
 青森に来たら、ねぶたと名のつくものに反応しちまうのは、不可抗力だ。
 たくあん、かずのこ、昆布などをまぜた、ぬめりと旨味と歯応えの合体技だ。

 ホタテの子にも、強く惹かれた。
 なんでも、これが出回るのは正月と、今の時期しかないらしい。
 ホタテの風味をベースに、まるであん肝のような滑らかな舌触り。

ねぶた漬け(奥)とホタテの子
揚げ物もある!
いま思えば、子持ちヤリイカも魅力があった
まるごと鮮魚も扱っている、けど買っても持ち帰る術がない
これがわたしの、のっけ丼!

 結果……。
 丼にのっけることができた具材は、以下の通り。

・マグロ
・ブリ ×2枚
・水タコ
・ホタテ
・タイ
・中トロ

 6種類か……しかも、ブリに2枚使ってるし。
 でも仕方がない。全部ブリでもよいくらい、大好物なのだし。

お刺身いちまいいちまい丁寧に、わさびを乗っける

 釣りが大好きで、よく釣った魚をご馳走してくれていた叔父がいて、彼の教えによると、
「淡白なものから食べた方がいいぞ。特にこのサヨリとか」
 たしかに、脂っこいのや味が強めの魚から食べてしまうと、淡白で繊細な魚の味が、わかりづらくなる。

 そんな教えを律儀に守って、今日もまた、それっぽい順番で箸をつけてゆく。
 水タコ、タイ……と続いて、次にホタテ。
「やばい、新鮮なだけじゃなく、やわらかいし、甘味があるし、みずみずしいと同時に、口の中でふくらむ旨味が、しっかりしてる」
 我が生涯最高のホタテを、いただきました。

 続けて、マグロ。
 次にブリ。
 これは、通常の3倍もの大きさを誇っていた。お寿司なら3貫ぶん、ということだ。
 次に、中トロ。
 そして最後に、再びブリ。
 大好物で、この味を締めくくるべきだ。

巨大ブリ刺身! ピンボケしたのが痛い!

 センター内には、鮮魚を扱ういろんな業者さんがひしめいていたけれど、その中で、妙な異彩を放つブースもあった。
「ん、チョコレート? 『わたし、ローチョコレート』?」
 なぜ、鮮魚に囲まれて、チョコレート屋さんが……。
 さすがに、その場では買わなかったけれど、あの場での浮きっぷりで強烈な印象を受けた。
 後で調べてみると、青森のチョコレート・メーカーの製品で、カカオの風味と栄養素を、最大限に引き出したというチョコらしい。
 その後、青森の他の店でも、扱っているところを見た。
 どんなチョコなんだろう……。
 いつか、通販とかで食べてみたい。

青森魚菜センター

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