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「犬用白杖」の特許を探す ~ 外枠としての特許分類

こんにちは!特許調査の仕事をしています、酒井といいます。
この記事では「調査概念は間違っていないはず、なのだが、検索してみてノイズが多すぎるときは、広めの特許分類を外枠にしてみるといいかも」という、検索テクニックの話を書きます。

先日 Togetterで「犬用白杖」についてのまとめを見かけました。
犬が使う杖・・・?単語だけではちょっとイメージしにくいですよね?
サムネの画像を見るとわかりやすいかもです。
良いお話なので、気になる方は本文もどうぞ。

こういう記事を見ると、すぐに特許が気になってしまいます・・・職業病ですね。多分、こちらがその出願かな?と思われます。

https://worldwide.espacenet.com/patent/search?q=pn%3DUS2013306001A1

上記の特許、Google Patentsで探しました。
日本語でキーワード(調査の概念)を書くと

犬  失明 or 盲目  歩行

で探せるだろうから、きっと簡単・・・!
と予想したのですが、案外そうでもなかったです。(苦笑)

ということで、上記検索でちょっと意外だった点、
予想通り(?)に詰まった点などを以下にメモしていきます。

1.犬×失明、で検索すると

以下、引用行はGoogle Patentでの検索語です。
最初に「犬」「失明」と入れてみると・・・

(dog) ((loss of eyesight) OR (blind))

自分は「盲導犬用の道具」みたいなものがヒットするのかな?と
予想していたのですが、なぜか上位には化合物がたくさん並びます。

この段階では深く考えず、次の「歩行」のワードを加えます。

2.犬×失明×「歩行」

失明した犬が歩く、ということで walking を加えました。

(dog) ((loss of eyesight) OR (blind)) (walking)

すると、上位から一挙に化合物が消えたのは良かったんですが・・・

この段階で割と予想通り(?)に、盲導犬が多くなりました。

このように、キーワード検索では時々

・失明した人の歩行を助ける犬 
・失明した犬の歩行を助ける道具 

・・・のような物を、うまく区別できない、という事が起こります。

特許検索ではこのような時、特許分類が威力を発揮します!

3.特許分類 を追加

今回は「犬(やペット)が使う道具」が対象なので
A01K13 動物の手入れまたは管理用具
を追加しました。ついでに犬の同義語 canine も追加しました。

((dog) OR (canine)) ((loss of eyesight) OR (blind)) (walking) (A01K13)

分類を加えると該当件数が一挙に減って45件になり

https://patents.google.com/?q=dog,canine&q=loss+of+eyesight,blind&q=walking&q=A01K13

Twitterのこちらは

多分これかな、という米国特許と

韓国特許でもよく似たアイデアがありました。

・・・ということで、この検索のまとめです。

・キーワードだけでは「盲導犬」と「犬用の白杖」を区別するのは難しい。
・特許分類を加えると「物品や発明のカテゴリー」が絞れる。
 今回だと「犬用の道具」だけを簡単に取り出せる。

ご参考になりましたら幸いです。

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ここから余談

今年、酒井家では数年ぶりに犬を飼い始めました。

以前いたのは、大きなサモエド。
サモエドまた飼いたかったけど、私もちょっぴり年を取ったので
大型犬(の散歩)は大変だな、と思いまして・・・

今度はポメラニアンです✨
ちなみに、ポメラニアンの先祖はサモエドだと言われています。
行動も小さいくせにサモエドっぽくて面白いです。

知財界隈でもペットを飼われている方、多いかと思います。
犬派も猫派も、それ以外の生き物も、
縁があって家に来た子は、幸せに過ごしてくれてたら嬉しいですよね。

それでは!

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