[特許検索]C-sets の感触が掴めてきた話
こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。今日は海外で使われている特許分類の一種「C-sets」について「良さそうな先行例や気になる公報にC-setsが付与されていたら、そのまま真似して検索してみると感触を掴みやすいかも?」という話を書きます。
ちょうど1年ほど前、C-setsの論文読みをした際の記事はこちらです。
その際、上記記事ではこのような解釈を書きました。
すなわち、先行例調査の最適化を目的に作られた分類だとすると
「本文中・実施例中の組合せ」を検索できるのかも?
そして
必ずしもCPC(=発明主題に対する付与)とは一致しないのかも?
・・・と考えられます。
ということで、
ものすごく久しぶりなのですが(汗
CPCとC-setsを比較検索してみました。こちらです。
IPC/CPC は ANDで検索
C-sets は 近傍検索をしました。
ちなみに分類(と検索)の意味は
C08L75/04 は ポリウレタン
G02B1/041 は 合成樹脂製のレンズ
2つ併せて 「ポリウレタン製のレンズ」です。
ここで再び、該当件数のベン図を眺めてみますと・・・
まず単純に、C-setsの方が1.4倍ほど件数が多いです。
でも、これって結構すごい事なんですよ?
なぜなら
cl = "G02B1/041" AND cl = "C08L75/04" と検索しているので
(cl = は ipc/cpc いずれでも良い、の意味)
下図のように IPC と CPC の組合せでもヒットします。
これに対してC-setsは
cpcc=("G02B1/041" prox/unit=sentence C08L75/04) と検索しているため
ヒットするのは文字通り SETS になったものだけ、です。
要するに・・・ C-setsの方が検索条件が厳格なのに、
件数は1.4倍、ということです。
おそらく「本文中・実施例中に記載された技術要素の組合せ」に対して分類付与しているため、ipc/cpcの単純なand検索より件数が多くなるものと思われます。
それでは次に、NOT検索に注目します。
cpcc=("G02B1/041" prox/unit=sentence C08L75/04) NOT (cl = "G02B1/041" AND cl = "C08L75/04")
csets検索でヒットして、ipc/cpcではヒットしないものです。
この例ですと181件。結構たくさんあるのですが・・・
上記の中からひとつ。 WO2020049903
「近赤外光を吸収するレンズ」なので、
IPC は 吸収フィルタや光学部材の分類が付与されています。
C-sets は G02B1/041, C08L75/04, C08L81/00 の3個セットです。
こちらの請求項を見ると、確かに「吸収フィルタ×レンズ」も間違いではないものの、ばっちり「ウレタンとレンズ」になってます。
WO2020049903 は日本語国際公開なので、日本でIPCを付与したのかな?と思われます。そして C-setsは(EP)とあるので、欧州特許庁が付与したもの。「EPO、よく見てるなー!」って思います。
・・・上記は一例だけなのですが、
ここ1年、しばしば同じような例に遭遇してきました。
それで、最近思ってる事なんですけど・・・
IPCやFI、それからCPCは
分類×分類 で検索するようには作られていないっぽくて、
「掛け算しちゃダメ」とまでは言い切れないけど、
あまり良い結果が出ないな、と思う事がやっぱり多いです。
それに対してC-setsは、元々「セットで検索する用」に作られているので、
セットで使ったら、ちゃんと期待通りの結果が出るなー、と感じます。
ただ、その「セットで使う用の、良い組合せ」というのが
最初のうち、なかなか掴めなかったのですが
冒頭でも書いた通り
「良さそうな先行例や気になる公報にC-setsが付与されていたら、そのまま真似して検索してみる」のが良いかも? と思い始めました。
まだC-setsの付与ルールなどもさっぱり把握できていないので、
「公報に載っている組合せ」を使うのが、
一番手堅くて確実、という感じです。
組成物などに多く使われている分類なので、
気になる方は、過去記事のこちらもどうぞ。
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