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AIと検索セオリーと見る将、の話

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。データベースを毎日使う仕事柄「AIツール」について考える事も多くて。今日は「雑誌『Number』を読んでいて、むむ?と思った将棋の練習方法」を起点に書きたいと思います。

読んだのはこちらの1018号。ちなみに私自身は、将棋全然できません。小学生の頃に父から駒の動かし方を教わって「歩」とか「桂馬」とか、特徴的な動きはいくつか覚えてるけど、他は忘れちゃった。そんな感じです。でも、棋士の方が書かれた読み物を読んだりするのは何故か好き。

それはさておき・・・
む!?と思ったのは、渡辺明名人と東大・池谷先生の対談。このあたり。

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「将棋の練習」の話です。

AI以前は、自分の頭を使って考えていたのが今は検索能力になってますね。こういう手を検索したらAIはどういう数値を出すか、いい数値を出させるためにはどういう手にすべきか。

渡辺明名人はコミック「将棋の渡辺くん」の主人公(?)でもあります。
4巻第6話のエピソード。序盤の研究の話。

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自分は将棋できないので「そういうものなのか」と流していたのですが、Numberを読んで「そういう事だったのか!」ってなりました。(将棋を楽しんでいらっしゃる方には常識なのですよね?たぶん。)

他にも、棋士の方による読み物を読んでいると
「人間の指し手には方針や方向性が現れる」「指す手を選ぶ行為は、美意識を磨くことにかなり近い」という話とか (人間の未来・AIの未来

「セオリーを重視するのが人間の将棋。計算に裏打ちされた読みを重視するのがソフトの将棋」(理想を現実にする力

という話も出てきて・・・

私自身も情報検索をするとき、セオリーは尊重する方ですし、
検索履歴を美しく、誰が見ても読みやすく、時間が経っても調査意図がわかりやすいように作る、という点はひそかにこだわっています。

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将棋と情報検索、単純に比較・対比することは難しいですが、お仕事、それも真剣勝負の世界でどんどんAIを使っている人たちの言葉には、「人間とAIの役割分担の未来像」が示唆されているような気がするんですよね。

そのような中で、最近気になっているのが
AIが人間が捨ててしまいがちな例外を拾い上げてくる、という説(理想を現実にする力)。

これは、情報検索でもあり得ます。
特定の、それこそ人間のサーチャーは多分使わないような、突飛に見えるキーワードを使うと、人間は探し出せない公報を探し出せる、というような例。

最近の検索AIは、検索アルゴリズムがブラックボックスになっている例も多いですが、仮に「その公報を探し出したアルゴリズム」を見せてもらったとしても「そういう選択は、人間はしない」と言ってしまうかも・・・しれません。でも、実際に良さそうな公報が出る、と。

最近、ちょっと思うのですけど、
「人間による検索か、AIか」ではなくて
「人力検索も、AIも」両方使ったらいいのかな、と。

人手による情報検索では、件数が多すぎてデータベースの中身を全て見る事はできないので、信頼性を担保するために「調査プロセスの説明」も割と大事です。そこは、多分大きく変わらないような気がします。

そうなのですが「そこそこ信頼のおける調査プロセスで人力検索をしていて、更にAIツールの検索結果を足し合わせたら、死角を減らせるかも?」「将棋みたいに、人間が捨ててしまいがちな例外を拾い上げてくれるとしたら、もっと有効活用ができるかも?」

なんて思う今日このごろです。

これから・・・人間もAIも両方、の研究、時間を見つけてやっていきたいな、と思ってます。


本文に登場した本+α (最近気に入ってる本たちです)


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