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初心者向け!KHcoderで特許マップを描いてみよう(1)

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。
今日は「KHcoderに特許データを読ませる手順」について書きます。

「KHcoderに特許データを読ませる・・・?」

そうだ! KHcoderを知らない方の方が 多いかもしれないですよね。

KHcoderというのは 「テキストマイニングによる頻出単語と関連度」のマップを描くツールです。

下図はKHcoderに「ビールに関連する公開公報」約1100件分の
要約テキストを読ませて、特徴語をマップ化したものです。

「確かにビールっぽいけど、ここから何が言えるのかな・・・?」
ですよね・・・
では、これならどうでしょう?

特許要約に現れる特徴語は、上から時計回りに
 キリン:ホップと香気、泡もち
 サッポロ:キレ
 サントリー:遺伝子
 アサヒ:麦芽
などです。よく「明細書には企業の個性が出る」と言いますが、
単語抽出をしてみると、確かに特徴語に個性が表れていますよね。

この記事と次回の記事、2回に分けて「上記のような特徴語マップの作り方」を書きます。 この記事では「一番基本的な操作手順」、次回の記事(12/18更新予定)で「マップを描く時のデータ準備のコツ」を取り上げます。

準備するもの

準備するものは  ふたつだけです。
① KHcoder
立命館大学社会学部・樋口先生によるテキストマイニングソフトです。基本機能は無料で使えます。

② 特許データベースから出力したCSVファイル
KHcoder自体は色々なデータを扱えるようなのですが、この記事では日本語の文章からなる項目(たとえば「要約」や「独立請求項」など)を含むCSVファイルを前提に説明します。

上記ふたつ、準備できたらスタートです。

「プロジェクト」にCSVファイルを読ませる

KHcoderを起動したら、メニューから
プロジェクト ⇒ 新規プロジェクト でCSVファイルを読ませます。

分析対象ファイルの「参照」からCSVファイルを指定

分析対象とする列 で、対象にしたい日本語項目(ここでは「要約」)を指定し、[OK] でファイルを読み込みます。

テキストのチェック ~ 前処理の実行

ファイル読み込みが完了したら
① メニュー:前処理 ⇒ テキストのチェック を実施。
 もしエラーが出たら、適当に「自動修正」をかけます。

② ①でテキストがきれいになったら
  メニュー:前処理 ⇒ 前処理の実行 をします。

・・・と、簡単そうに書いてしまいましたが、
KHcoderを使うポイントは 前処理の段階で、分析には邪魔になる不要語や、逆にしっかり分析して欲しい技術用語を指定する事、だと思ってます。こちらは次回の記事で説明します。 少々お待ちください。

前処理が終わりましたら

「共起ネットワーク」の描画

メニュー:ツール ⇒ 抽出語 ⇒ 共起ネットワーク を選び
適当にオプション設定して 「OK」を押すと

シンプルな出現語分析や

出願人別の特徴語

出願時期ごと(図では5年毎)の特徴語の違いなども描けます。
年代による変化もわりと面白いんですよー! 
2015-2010は「ビールテイスト飲料」がすごく多い、とかわかります。

また、ビールテイストの近くに「増強」ってあるんですけど・・・

これだけでは何を増強しているかわかりませんよね。
そういう時は「増強」の文字をクリックすると、前後を含めた文章が出てくるので、一体何を増強しているか?が簡単にわかります。

炭酸刺激やビールらしい風味、ホップの香味などを増強してるんですね。

更に「炭酸刺激を増強しているのは誰・・・?」となったら
そう!炭酸刺激の増強について書いている行をクリックしてください。
この文章を含むデータが表示されて「アサヒビールだ!」とわかります。

と、いう感じで、
数千件程度の特許から特徴抽出して、
気になったら個別の特許も確認できるKHcoder。割とおすすめです。

次回予告(12/18)

繰り返しになりますが、このKHcoder 「テキストの前処理」に割とポイントがある気がしています。

ということで次回は「前処理のコツ」のお話。
下記URLは予約投稿です。12/18になると見れます。

https://note.com/sakaimisato/n/nde5044e5809a


そして、今年も「知財系もっとアドベントカレンダー2021」に
参加させて頂いてます。

すこーし早いクリスマスプレゼント? ということで、
次回記事「KHcoderに特許データを読ませる用の、前処理の話」を
アドベントカレンダーにも予約投稿しました。

次回記事を読む前に
 ・知財系アドベントカレンダーに毎日投稿される 素敵な記事を読んだり
 ・前もってKHcoderをインストールしたり、
 ・KHcoderに適当なデータを読ませて、ちょっと練習したり

しながらお待ちくださいませ。

それではまた!

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