坂井田夕起子

坂井田夕起子:愛知大学国際問題研究所客員研究員 著書に『誰も知らない『西遊記』:玄奘三…

坂井田夕起子

坂井田夕起子:愛知大学国際問題研究所客員研究員 著書に『誰も知らない『西遊記』:玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』龍渓書舎など。https://amzn.to/4diR1nr 日々のお仕事についてはこちら:https://sakaiday.hatenablog.com/

最近の記事

「抗日戦争と中国人僧侶―日本軍占領地における大醒の「非協力」」

はじめに  大醒(一九〇〇~五二)は、近代中国仏教の改革者として著名な太虚(一八八九~一九四七)の高弟である。中国語圏や英語圏では、太虚の弟子としてのみ知られており、大醒の研究はなかった。しかし、それは彼の功績がなかったことを意味するものではない。  筆者は以前、笠雲と太虚、そして大醒の三人の中国人僧侶が明治、大正、昭和の各時代に日本を訪れた旅行記を分析した。とくに大醒の『日本仏教視察記』(一九三六年)は、近代の中国人僧侶が書き残した惟一の本格的な日本視察記録であり、旧来の

    • 『岩波仏教辞典』第三版に執筆させていただきました

      かつて『岩波仏教辞典』第二版にお世話になったものとしては、20年ぶりに大幅改訂された第三版執筆に関わることができて、ものすごくうれしかったです。 項目ごとに執筆者の名前があるわけではありませんが、執筆者として名前が載っています。そして、多分、私の本や論文を読んでくださっている方には名前がなくとも、どの項目を執筆したかわかるはず。基本、中国関連です。執筆以外にも、第二版の間違い訂正なんかもちょこっとだけさせていただきました。 お声掛けくださった先生、執筆の際にアドバイスをい

      • コラム:花岡町と鉱山と「花岡事件」をめぐる人々

        社会学の先生方が中心になったシリーズに、コラムを書かせていただきました。以下、冒頭部分を抜粋します。

        • 大谷栄一編『戦後日本の宗教者平和運動』ナカニシヤ出版、2021年。

          本書は2016年から18年度に実施された共同研究「戦後日本の宗教者平和運動のトランスナショナル・ヒストリー研究」(科研費・基盤研究(B)16H03357、代表大谷)の成果です。メンバーは、大谷栄一、一色哲、川口葉子、近藤俊太郎、塚田穂高、戸田教敞、永岡崇、福井敬、山本浄邦、そして坂井田夕起子の10名です。目次は以下の通り。  序章「戦後日本の宗教者平和運動」研究を開拓する 大谷栄一 第Ⅰ部 仏教と平和運動  第1章 再起動する宗教者平和運動 大谷栄一  第2章 戦後日本にお

        「抗日戦争と中国人僧侶―日本軍占領地における大醒の「非協力」」

          【正誤表・新資料発見による加筆訂正】『誰も知らない『西遊記』――玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』

           *序章と目次の公開については、こちらをご覧ください。        1、誤字訂正 2019年5月よりAmazonでの販売も始まりますが、初版のままなので誤字の訂正ができていません。すでにお読みいただいた皆様には、こちらにて誤字をご確認いただければ幸いです。 P19 L11 【誤】弘毅   【正】弘教 P52 注4 【誤】南京布教女 【正】南京布教所 P58 L7  【誤】大日本戦時宗教報告会 【正】大日本戦時宗教報国会 P69 L3  【誤】基幹清新 【正】基幹

          【正誤表・新資料発見による加筆訂正】『誰も知らない『西遊記』――玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』

          『誰も知らない『西遊記』ーー玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』【序章・目次公開】

          ――― ところで、法師は『大般若経』の翻訳に全身の力を使い果たしたらしく、こののち、みずから身体が衰え無常の期が近いことを知った。そこで門人たちに「もし私が死んだら葬儀は質素を旨とし、屍体は草筵に包んで山間の僻地に捨てるように…」と言った。 (『玄奘三蔵』長澤和俊訳、講談社文庫) 序章 一、三つの『西遊記』  『西遊記』の主人公、孫悟空を知らない人はいないだろう。筋斗雲に乗って如意棒をかざす、中国が生んだスーパースターの孫悟空は、現代のブルース・リーやジャッキー・チェン

          『誰も知らない『西遊記』ーー玄奘三蔵の遺骨をめぐる東アジア戦後史』【序章・目次公開】