週プロの付録、の夢(2022.7.12)

 雑誌『週刊プロレス』に、一風変わった付録が付いていた。
 『登坂社長と奈良記者の心霊調査報告』と題した小冊子。夏だから心霊ネタなのだろうが、プロレス雑誌の付録としては異例だろう。ちなみに、登坂社長というのは、大日本プロレスという団体の社長。奈良記者は週刊プロレスで大日本プロレスを担当している。
 このふたりが霊能者と一緒に、いわく付きの場所を訪れるという内容だった。
 とある鉄道の駅。ここで登場する、一枚の写真。戦中、出征する若者を見送る家族が写っている。撮影場所が、この駅だった。カメラの位置とアングルを検証する。見開きに、現在の駅でポーズを取る登坂社長と霊能者の写真と、古びた家族写真が並ぶ。
 この路線の列車に、写真に写っている少女の幽霊が出るという。軍服姿の若者の妹だと、霊能者。幽霊列車として売り出したらどうでしょう、という登坂社長の軽口とともに、一同、列車に乗り込む。
 この写真というのがまた、いわく付きだという。写真をじっと見た後、目を閉じていると、当時の映像が見えてくるというのだ。
 そんなことあるわけないでしょうと言いながら写真を見つめる登坂社長。もういいかなと、奈良記者に写真を渡し、目を閉じる。
 しばらくすると、登坂社長が騒ぎ出す。何これなにこれと、わあわあ言っている。
 出征する数名の若者を囲んで万歳三唱、日の丸の小旗を振って盛大に送り出す様子が、目に浮かんできたのだ。
 霊能者は、霊感の強い人はそれとは別の映像も見えますよ、と言う。
 結局、幽霊は出ませんでした、と小冊子は締めくくられた。
 印刷された写真でも映像が浮かぶのだろうかと、やってみた。すると、同じような光景が閉じたまぶたに写った。そして、それだけでは終わらなかった。
 兄を見送って終わりであれば、少女も化けて出るほどの未練は残らないだろう。
 成仏できないのも当然、と思える内容の、続きがあったのだ。

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