ラッキーアイテム、の夢(2022.12.12)

 自転車で街を走っていた。
 自転車は歩道を走るのが当たり前の時代のことと、思っていただきたい。
 朝のテレビで、僕の星座のラッキーアイテムは自転車と言っていたので、乗っているのだった。
 走っているうち、ずらりと自転車が並んで停められている通りに来た。歩道の大半が自転車で占められており、向かいから誰かが来たらすれ違えないだろうな、と思っていたら、同じように自転車に乗った女性がこちらに向かってきたのが見えた。
 どうしようかと僕が迷っているうちに、女性のほうが、道が狭くなる手前で止まり、僕が通過するのを待つ姿勢になってくれた。
 恐縮しつつ狭いところを通り抜け、少し自転車の列が途切れたところまで進み、そこで今度は僕がすきまに入って止まった。女性に合図をして、バトンタッチ。
 すれ違いざま、お互いに、ありがとうございます、と挨拶をした。すがすがしい気持ちになった。
 自転車でラッキーとはこういうことか、と思いながら、避けていたすきまから出て走りだす。
 少し行ったところで、今度は若い男が向かってきた。僕と目が合ってなお、いっさい速度を落とさず狭い通路に入ってきた。
 しかたがないので、避けていたすきまのところまで後退して、また、すっぽりと収まった。
 男は感謝するでもなく、にらむでもなく、何も感情のない目で、ずっと僕を見ながら通り過ぎていった。
 プラスマイナスゼロだな、と思った。

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