最後の作業、の夢(2022.11.17)

 勤め先の食品工場。
 上司が、これどうしたの、と一枚の紙をひらひらさせながら尋ねてきた。僕がスチール棚の注文FAXを、いつも工具を買っている商社でなく、間違えて印刷会社に送信してしまったようだ。
 誤送信ですすいません、と上司と印刷会社に謝るのが、今日の最後の作業となった。そして、実は今日が退職前最後の出勤日だったので、この会社でする最後の作業でもあった。
 いつも通り誰とも話をせず、退社した。
 すぐ近くで、募金活動をしている人たちがいた。獣神サンダー・ライガーのマスクを着けた人が大きな声で募金のお願いをしていた。
 難病の子どもに、というような趣旨らしい。
 こんな日に巡り合ったのも何かの縁、いくらか募金しようと、財布をポケットから出そうとした僕の腕を、誰かが掴んだ。小学校に上がるか上がらないかという年頃の女児だった。僕を見上げて、お願いします、と言う。それは通りすがりの、まだ施しの心を起こしていない人に対してするなら、効果があるかもしれない。しかし、もう募金する気になっている僕には、邪魔にしかならなかった。
 財布が出せないから放してくれないかな、と頼んだ。
 百円玉を取り出して募金箱に入れようとしたら、もう箱はいっぱいになって、投入口からあふれそうになっていた。管理の行き届かなさに、何だかうさんくさい感じもしたが、とにかく、落ちてこないように百円玉を奥に押し込んで、その場を離れた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?