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彫刻刀の砥ぎ方1 裏

彫刻刀の砥ぎの問い合わせが多いのでこちらで公開しておきたいと思います。研ぎはとても奥が深いので、しっかり説明したら長文になってしまいます。短めにまとめておきます。

直ぐに研ぎを説明したい所ですが先に刃物の構造を理解してから取り組んで下さい。

ここでは市販の持ち手付きの彫刻刀ではなく日本の鍛冶屋さんで頼む彫刻刀を例にします。

本格的な彫刻刀の研ぎ方を説明する前に海外製と日本製の違いを理解しましょう。市販のお手頃なものは海外製の場合がほとんどです。
<日本製の刃物の構造>
・日本製の鍛冶屋さんで作っている彫刻刀は鋼と地金を張り合わせた二枚構造になっています。

<海外製の刃物の構造>
・海外製の彫刻刀は鋼だけの構造になっています。

汚い図で申し訳ないのです日本の鍛冶屋さんの刃物の二枚構造の図を描きました。(横から見た図)

鋼は非常に硬く切れ味の良し悪しは、この鋼の研ぎにかかっています。地金は柔らかいので地金がある日本製の刃物の方が研ぎやすいです。

<彫刻刀の研ぎ>
先ず裏側を綺麗に真っ直ぐにする。その後、表側を30度程の角度で真っ直ぐに研ぎます。丸刀も少し研ぎ方は変わりますがイメージは同じです。
(柔らかい木材を彫る時は角度を27度にしたり硬い木材の場合は32度にすることもあります。初めは、そこまで気にしなくて大丈夫です。30度を目指しましょう。)

表砥ぎの詳しい説明は次回の内容で説明しますので安心して下さい。刃物の裏側の説明をしますので、完璧にして下さい。

本職の人が日本の鍛冶屋さんに刃物を頼む場合は刃物の裏側(鋼側)はこの様な状態で届きます。少し裏が凹んでいる状態です。ここから平らな面を出していきます。

この画像の見た目ではわからないのですが凹んでいます。この凹みを裏透きと呼びます。
裏の研ぎ(主に平ら出し)時の労力を減らすための手法です。

裏の研ぎ(平ら出し)のイメージですが下の写真を見てください。

黒い部分が凹んでいる状態(先ほどの画像)です。白い部分が平らな状態です。矢印の順で平らにしていきます。黒い部分を全て平らにするには労力がかかるので使う部分だけを平らにすれば良いという構造になっています。
これから裏側の研ぎ方を動画を混ぜて紹介します。

(用意するもの)

・中砥石 1000番 (本当はダイヤモンド砥石、鉄板が良い)
・霧吹き
・仕上げ砥石 3000番程

中砥石を使うと、目詰まりしやすいので黒くなったら直ぐ洗って下さい。1度使ったら同じ砥石同士をすり合わせて砥石も平らに直して下さい。(中砥石は2個あると良いです)

均一な平らになる様にします。

中砥石で平らにしたら次は仕上げ砥石で傷をとっていきます。

<平らが出ていない例>
砥石にぴったりと押し付けて研がないと平らになりません。下の画像を見て下さい。
平らが出ていない状態です。矢印の少し曇りが出ている部分が段になっています。もう一度やり直して平らにして下さい。

これで裏の作業は完了です。裏を、しっかり研ぐと切れ味が上がるので頑張って下さい。 

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