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なぜ、町議の高齢化が進むのか?

 全国各地の自治体で、議員の高齢化が問題になっています。御多分に漏れず、栄町でも町議の高齢化は深刻な問題になっており、令和6年4月に行われた町議選で、当選者の平均年齢は65歳、千葉県の自治体の議員の平均年齢の62.4歳を上回っており、議員の高齢化がいかに進んでいるかを伺い知ることができます。

 なぜ、栄町の議員は高齢化してしまうのでしょうか? ひとつに議員報酬の低さが問題として挙げられます。

 栄町町議の月の報酬は265,000円。この少ない月収だけで、働き盛りの30代、40代の男性が、家族を養っていくのは難しいところがあります。最近では女性でもこのくらいの月収が得られる仕事は数多くあるため、いくら町の行政に対して熱い思いがある人でも、現実問題として、町議の仕事は敬遠されてしまうる職種になっているところがあります。

 そうなると、以下の2つのタイプの人が、町議になるための条件になります。

①兼業の仕事が他にあり、町議以外の報酬が得られる人
②年金が受け取れる高齢者

 地方都市の自治体の場合、商店街や町に産業があり、自営業者が兼業で議員に立候補するケースが多いです。しかし、栄町には発展した商業エリアがないため、必然的に兼業できる人は農家に限られてしまいます。その農家に従事する人が高齢者になっているので、栄町の町議の平均年齢は必然的に高くなってしまうのです。

 ②に関しては、議員報酬に加えて、年金を受け取ることが条件になるので、立候補者は60歳以上の高齢者になります。会社を定年退職した人が、年金を受け取りながら、ライフワークとして町議を始めてしまうことはとても良いことですが、一方で、高齢化を加速させている要因にもなっています。

 つまり、議員報酬の少なさが、若い人が議員という仕事から離れていく要因にもなっており、結果的に、高齢の議員では、新しいことに取り組むことが難しくなり、時代の流れに取り残されてしまう自治体になってしまうのです。

 ちなみに、近隣の我孫子市の市議会議員の報酬は、月額440,000円になります。そこそこの給与がもらえるせいか、議員の平均年齢は58.6歳と、栄町町議と比べて6歳以上も若いです。
 栄町で一番若い議員の年齢が50歳に対し、我孫子市議の最年少は35歳。40代の議員も4人おり、若い議員が自治体が支えられているのが分かります。
 実際、我孫子市はNPOの活動も盛んで、若さと行動力が目立つ自治体のひとつとして注目を集めています。

 

報酬の低さだけが問題ではない、栄町の議員の高齢化問題

 一方で、栄町の町議の高齢化が、「報酬だけなのか?」といえば、違う側面が見えてくるところがあります。

 たとえば、神崎町の場合、議員の平均年齢は66.6歳ですが、議員報酬は174,000円と、県内で一番低い議員報酬となっています。栄町に比べて10万円近くも低い報酬にもかかわらず、平均年齢が1.6歳しか違わないことを考えると、やはり、「報酬」だけが町議の高齢化の要因ではないことが伺えます。

 また、同じ「町」という自治体でありながら、芝山町は議員報酬が219,000円にも関わらず、町議の平均年齢は58.5歳と若く、多古町も報酬が220,000円と低い報酬の割には、議員の平均年齢が57.5歳と、こちらも町議の若さが目立つ町になっています。

 報酬が低いにも関わらず、町議の平均年齢が若いということは、それだけ若い人が、行政に興味を持って、“自分ごと”のように考えている証拠だと言えます。一方、栄町は他の町よりも議員報酬が高い割には、議員の高齢化が進んでいることを考えれば、「行政に対して興味が薄い人が多い町」というのが、現状の自治体としての深刻な問題なのではないかと思います。

 もちろん、町議の平均年齢が高いことが、行政の運営に支障をきたすとは一概には言えません。これから迎える超高齢化社会に向けて、地域に住むシニアの知恵と経験は、貴重な財産といえます。
 人生の諸先輩である、高齢となった議員の力は、今後、栄町を発展させていくうで、必要不可欠な力といえます。

 しかし、急速に進むデジタル化や少子化問題など、新しい試みを進めていくためには、やはり若い議員の考え方や突破力、行動力が必要です。行政に新しい風を入れるためには、どうしても町議の平均年齢を下げていく試みは、必要ではないかと思います。

 今の栄町の町議の高齢化を変えるためには、行政に対して、若い世代が興味を持ってもらう試みが必要です。そのためにも、自治体が率先して、若い人を巻き込んだ行政の活動に力を入れていくことが求められるのではないかと思います。

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