私が演劇のDVDを所有する理由、そして『浪費図鑑』とサンリオ
私には好きな劇団がいくつかあって、彼らの公演のDVDやらパンフレットやらを自宅本棚の「演劇コーナー」に並べている。だいたい20枚近くある。多くも少なくもない、人によっては少ないと捉えるかもしれない、そのくらいの枚数だと思う。でも、この中で実際にパッケージを開けて再生したのはおそらく5枚もない。私はただ、それらを「所有」しているだけなのだ。
何かを応援するとき、その理由も手段も人によって違う。細かく違う。たとえば小劇場関係であれば、だいたい公演後にロビーで面会の時間があるので(コロナ以前の話)、そこで演者や作家に直接情熱を伝えることが出来る。繰り返し公演に足を運んだり、知り合いを誘ったりして売り上げに貢献することにも意味がある。物販でたくさんお金を落とすのもアリだと思うし、アンケートで褒めまくるというのもダイレクトに届くはずだ。私には友人と呼べる人がほとんどいないので、みんなの諭吉がどのように世界に羽ばたいていくのかわからないが、私の行動パターンは、「柱の影から小銭を投げる(優しくそっと)」ようなイメージだ。
これは私に限ったことだけど、まず、演者や作家と直接話したい、とか顔を覚えてほしい、という欲求がない。正確には「顔と名前は一致させてくださらないで結構。草葉の陰から諭吉片手に見守りたい」という感じだ。やたらアンケートにびっしり書いてくる人がいる。物販でたくさん買う人がいる。同じ名前が何度も予約されている。でも誰だろう。関係者や紹介じゃなさそうだけどどんな人だろう。そんな感じでいい。前に「サイン会が苦手だ」という話を少し書いたけれど、それと似たようなところで、どんなにこちらが熱狂しても相手にとっては数多いる(かもしれない)ファンの一人であって、それ以上でもそれ以下でもないのだ。
そんなこと、はなからわかっている。百も千も承知なのだ。しかし、それを骨の髄まで実感してしまうことがツラい。だから隠密のつもりでヒソヒソと行動している。
先日、ついに『浪費図鑑』シリーズを手に入れて読んだ。あんスタ、ロザン、宝塚、安室透、HiGH&LOW、セーラームーン、ヤクルトスワローズ…。色々なものにハマって金を使う女性たちの話だ。
人が大好きなモノに「浪費」している。対象も目的も方法も金額もみんなバラバラ。千差万別。要は趣味に対するカネの使い方。書いてあるのはただそれだけなのに、この本なぜか超感動する。文章もうまいし、情熱と愛がすごくて、うっかりすると読みながら感極まって泣きそうになる。とにかく、すんごい本である。
何かにハマっている人、ハマったことのある人、趣味のために大勢の諭吉が財布から飛び立っていった人。給料日とクレジットカードの締め日が己の自制心と格闘している人。なかなか人に理解してもらえない情熱を抱えている人。これ読んだらきっと「さいこー!」ってなると思う。少なくとも私は心の中で何度も拳を突き上げた。
ちなみにコロナ以降、私はサンリオに大ハマり中である。あんなに可愛くていろんなところとコラボする懐の広さがあって、いろんなところに売っていて、マンガやアニメじゃなくキャラクターだから、原作読んでるとかアニメ見てないとかでマウンティングされる心配もなく、ただただ愛でていればいい、ってすごくないか。最高じゃん。好きな場所に好きな時に行けないんなら、もう可愛い服でも着てないとやってけねーよ!となって、もうプライベートではサンリオのアパレルばかり着ている。とはいえ、もちろん収入は下がったのでなんでも買えるわけがなく、しまむらやドンキホーテなどの量販店とコラボしたアパレルや、100均にあるグッズに限る、と自分の中でルールを決めている。ローラーでコレクションするのもそれはそれで楽しいだろうけれど、ルールを決めると宝探し気分があって楽しい。しかもそんなにたくさん入荷しないので、発売日めがけて買いに行く、という緊張感も味わえる(それでも店舗によっては入荷すらしない場合もある)。
熱しやすく冷めやすい私のことだから、しばらくしたらこの感情も常温になるかもしれないけれど、この冬は、すでにタンスに入らないくらいのサンリオパーカーと過ごしたいと思う。そしてコロナが落ち着いたらまた演劇を観に行こうと思う。
【追記】
そういえば、触れようと思って忘れていたこと。それはなんでこのイラストを選んだのか、ということなんだけれども、もうそれは単純に、このnoteを書いていた間「浪費に乾杯!」「趣味に乾杯!」と「好き」に乾杯したい気持ちでいっぱいだったからです。