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読んだそばから忘れる

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毒にも薬にもならない読書の記録。
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2019年5月の記事一覧

2019年5月③:『ラジオの魂』『漂うままに島に着き』『もっと負ける技術』

久しぶりに巨大書店に行き、自分の理解の範疇も興味の範囲も超えた情報量にくらくらする。と同時に、これだよこれこれ、と思う。 ◆小島慶子『ラジオの魂』(河出書房新社、2011年) 読み終わった。著者のまっすぐに向き合う姿勢はあまりに濃密で、万人に受け入れられるとは言えないかもしれない。でもだからこそ深く愛され、注目される番組ができあがったのだと納得。 ◆内澤旬子『漂うままに島に着き』(朝日新聞出版、2016年) まだ冒頭で、小豆島に辿り着いてもいない。でもすでに気持ちがも

2019年5月②:『負ける技術』『ラジオのすごい人たち』『ラジオの魂』

ラジオ本を読みつつもカレー沢薫をカットイン。 ◆カレー沢薫『負ける技術』(講談社、2014年 ※単行本) WEB連載を読んでいてハマってしまい、カバーをはずしたところの呪詛の言葉に気付いて即購入。これまでの自分のさまざまな「負」を見事に供養してくれる。この文章センスはナンシー関級かもしれない、と勝手に拝みながら読む。 ◆豊田拓臣『ラジオのすごい人たち 今こそ聴きたい34人のパーソナリティ』(アスペクト、2012年) 読み終わった。この本の中にもあったように思うが(ただ

2019年5月①:『ラジオ・ガガガ』『ラジオのすごい人たち』

久しぶりにラジオにはまり、ラジオ本を漁る。 ◆原田ひ香『ラジオ・ガガガ』(双葉社、2017年)を読み終わった。 それぞれの短編の主人公たちに劇的な変化は起こらない。ただ「ラジオはいつだって寄り添ってくれる」ということを証明してくれる。仰々しい偉人の言葉より、「心に響く名言」より、人生を支えてくれるのはなんでもないフリートークだったりする。 なかでも「昔の相方」という短編が好きだ。生きていると時折、どうしようもなく過去が追いかけてくることがある。この作品では、過去に絡め取