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灯台

33年の人生の中で一番むずかしかった時期が14歳〜21歳までの七年間で、私はたぶん、その時の悲しみをいちど心の底に沈め込んだまま忘れちゃうことで、残りの20代を乗り切った。

つい最近まで、その箱を開ける勇気なんてなかったし、
一生あけなくたって人生幸せにやっていけるだろう、とさえ思っていた。

だけど、自分が人生で受けた傷は自分にしか癒すことができなくて、悲しい感情から目を逸らさず、ちゃんと悲しかったって思っていいんだと、むしろ思うべきなんだと気がついて、一年弱の時間を費やして、当時の悲しみを全部思い出して、ひとつひとつ昇華させていった。

当時私は、恋に迷うべき年齢で、一番大きな愛を失う重みを体験してしまうことで、生きること、愛することの意味をほとんど失ってしまっていた。すがるように誰かに助けを求めても、得られるのは同情であり本当の理解ではないことは、余計に孤独を増幅させた。そういうこんがらがった気持ちはこんがらがったまま心に転がっていて、今の私はその当時の私をぜんぜん違う視点から、よくやったねと、唯一の理解者として抱きしめてあげられるところまできていた。

同じようなことを19年ずっとやり続けてきていたつもりだったけど、私の立っている視点が当事者より高い視点に変わったことを感じられたのは初めてだった。

感情は、きっと消えない。
そして、ほとんどの人が、何かしらのこんがらがった悲しみの塊を心に沈めていて、見ないように、あけないようにして暮らしている。

だから、今度は世界にちらばっているたくさんの悲しみが、呪いではなく優しさに変わるよう祈り続けることができる自分になっていけるように、行動していきたい。

心に影がある人の方が、輝きも強い。

自分の影を受け入れることは、
闇雲に僻むこととは違っていて、
むしろ、自分にしか表現できない魅力がどこにあるかを知る鍵になる。

劣等感や、トラウマや、過去・現在の悲しみは、
とことん向き合うと、宝物が埋まっている場所を教えてくれる地図になる。


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