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ヒーローも黒幕もいない現実世界で

疫病はびこるこのディストピアでつらいのは、身近な人との分断が明白になってくることだ。感染対策には個人の意識の差が出るし、不安が限界値を超えて「コロナはただの風邪」になってしまう人もいる。それもこれも政府がいまだあらゆる面で合理的判断が下せず、むしろ感染拡大に手を貸しているくらいの状況だからだと思う。

以前より社会の話をしやすくなったのはいいことだが、話したからこそ相手とこんなに違いがあったのか、と知る羽目になってしまった。パンデミックが収まったあとも会えなくて構わない、と思うほどの溝が生まれた相手もいた。薄情な自分に嫌になりつつ、悲しみより怒りみたいなものが湧いてくる。相手や自分にというよりは、日本社会への憤りかもしれない。誰にでも生きる権利がある、それが人間の社会なのだと誰も教えてくれなかったから、弱い者はより弱い者を貶すんじゃないだろうか。

以下は、面白かった話題作のメモ(ネタバレ有)です。
よきフィクションがあれば、なんとか元気になれる。

・アンナチュラル/MIU404

野木亜紀子さん脚本の人気作。お正月一挙放送の録画を春まで寝かせていた。

アンナチュラルは不自然死の真相を探る法医解剖医、MIUはリアルタイムで事件を追う刑事(機動捜査隊)の話。キャリアに差のあるバディを中心に、信頼できるボス、サポート役の中堅、徐々に成長していく若者……とキャラクターの配置がほぼ同じなので、どっちからでもスッと入ります。基本的に1話完結なのも観やすい。めちゃくちゃ面白かったな……(語彙力ゼロ)。
大人のニチアサみたいな雰囲気だった。個性的なキャラクターやモチーフと、社会問題に絡めた物語のバランスが絶妙。フィクションとして楽しみつつ、現実と向き合う上でのヒントを受け取れる。

特に好きなのはMIU。綾野剛さん演じる伊吹が明るく強いので、いつ観ても元気になれる。後半で語った「正義は弱いものだから、みんなで守らないと消えてしまうのかも」みたいな言葉(うろ覚え)が印象的です。彼らが乗る車「まるごとメロンパン号」のミニカーがあるなら欲しい。

・バディミッション BOND

ルビーパーティーの安定したシナリオに任天堂の潤沢な予算がついたら最強じゃん!!な少年漫画的アドベンチャー。アメリカみたいな国で育った警官・ルークが仲間たちと出会い、日本っぽいリゾート島で共通の敵を追う話です(雑な説明)。スクショも少し載せます。

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制作のルビーパーティーは乙女ゲーの老舗。シミュレーションやアクション要素のある「ネオロマンス」を作ってきたブランドです。バディミはネオロマの手法をそのままに、「多様な絆」を体感できるゲームでした。

多様というのはどれも大切ということ。相棒、家族、恋人、ちょっとした顔見知り……巨大感情に微細感情、どの関係性が欠けても物語は進まない。ゲームを進めるにつれ関係を絞って深める乙女ゲーやBLゲーとは違い、人とのつながりがどんどん広がっていくのが新鮮でした。とはいえ、やたらと「BLじゃない」という文言でオススメされがちなのはいただけません(それじゃただのホモフォビアなので)。テーマのど真ん中にないだけで男男のロマンスもある。

また、真相に関わる部分で血統主義に頼らないのもよかったです。「実は英雄の子供or末裔だった」みたいな宿命によってではなく、人とのつながりと自分の意思でヒーローになった主人公がかっこいい。

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こういうセリフがあるのも好きですね。トンチキでお茶目なゲームだけど、倫理がしっかりしてる。

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そして何より知られるべき情報は、中盤に出てくる犬があまりにもかわいいということです。犬好きはプレイして正解!

・フィフティ・ピープル

韓国のとある都市が舞台、約50人を主人公にした短編連作集。都市の中でも大学病院が中心になっているので、登場人物には医療従事者が多い。一時期病院の医局(医師が控えるフロア)で働いていたのを思い出して、懐かしくなりました。

特に好きなのはシュークリーム教授(イ・ホ先生)だけど、年齢もさまざまな登場人物、みんな印象に残ります。
一度出てきた人物が他の話にも出てくると、知り合いにばったり会ったようでうれしい。大きな紙に全員の相関図を書きたくなってきます。誰もが理不尽な現実に直面して、ときにうんざりし、ときに強く立ち向かっていく様子に励まされる。大切な人を思いやる心情につられて泣いてしまう。

医師の養成システムや賃貸事情、実際に起きた事件や社会問題が描かれているので、韓国のことを知る入り口としてもぴったりの本。

・白木蓮はきれいに散らない

50代後半・女子高以来の友達3人が、そこまで親しくなかった同級生の遺言によって集まったのが始まり。独り亡くなったヒロミはなぜか、経営するアパートを3人に託すことを望んでいた。

仕事、結婚、出産、子育て。女性の人生は正解がない。何を選んだとしても、行き詰まるときはある。自分は間違っていたのだろうかと、来た道を振り返って愕然とするのだ。何もかも嫌になる日もあるけれど、どこかで一息つけば、また現実に向き合える。向き合うしかない。そこが自分の居場所だと信じて。

それぞれのしんどさに共鳴しながら読むうちに、自分の人生を許せる気がしてきました。

・舞台 『魔法使いの約束』

初日公演を配信で観た。

観てよかったです!!!!!

魔法は心で使うもの。繊細な世界がそのまま舞台になっていた。舞台といいつつかなりミュージカルです。歌唱力がすさまじい魔法使いたちだった。

・その他継続中のゲーム

①Fit Boxing 2
バディミのように熱中しがちなゲームを進めていても、このために中断しないといけないので生活リズムが整えられる。数日おきの「重め」より、毎日の「軽め」!
5月は10日以上継続していてすっかり習慣になっています。が、ここ数日体調悪くて記録が途切れてしょんぼり。今日から再開したい……明日から……。

②メギド72
まだがんばっている。
進めるほどのめり込んでしまうのは、世界観の作り込みが深いから。「メギド」は他の生物とまったく異なる目的をもって生きており、だから戦争をする。その説得力がすごいのだ。メギドの世界には彼らの知らない真相がある。もしかしたらその裏にもさらに何かある。本編もイベントもとにかく理詰めのシナリオなので、眠いときなんかは頭に入ってこないくらい。ピースが嵌まっていくのが本当に面白い。

メインクエストはむちゃくちゃ難しくて詰まっていた7章を4月末でなんとかクリア。どのボスも強すぎる、海洋生物もう見たくないという記憶がほとんどだったけど、8章に入ってからはすんなり攻略できた。でもストーリーでいろいろありすぎて、気持ちが置いてけぼりです。
最新9章1節のラスボスに勝てず、最後の最後が終わらない。話の続きが読みたいのに……遠征隊はどうなったんですか……。

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