散歩道の恋(短編小説)
秋の晴れた午後の日曜
大城健太は、柴犬のコロと散歩に出かけた。
コロは健太が飼い始めたばかりの子犬で、まだ慣れない街を好奇心旺盛に歩いていた。健太はコロのリードを握りながら、自分の人生について考えていた。
健太は28歳の会社員。人材派遣会社の営業部に所属していて、明るく社交的な性格で人気があった。
しかし、恋愛に関しては奥手だった。それもそのはず、健太はゲイだったのだ。周りの人には隠していたが、自分でも受け入れられないでいた。だから、恋人も作らずにマンションで一人暮らしをしていた。
そんな健太がコロを飼うことにしたのは、ひょんなことからだった。
ある日、会社の同僚から「友達が犬を飼えなくなって困ってるんだけど、引き取ってくれないかな?」と頼まれたのだ。
健太は犬好きではあったが、自分の生活に合わせられるか不安だった。しかし、同僚が連れてきたコロを見た瞬間、健太は心奪われた。茶色の毛並みに黒い目、ふわふわのしっぽ。コロは健太に寄ってきて、鼻先で手を舐めた。健太は思わず笑顔になった。「じゃあ、飼ってみるよ」と言った。
それから数週間が経った。健太はコロと一緒に暮らすことに慣れてきた。仕事から帰るとコロが玄関で待っていてくれる。一緒にご飯を食べて、テレビを見て、寝る前に散歩に行く。コロは健太の心の支えになっていた。
ある日、健太はコロと散歩中に、智也が働く比嘉動物病院の前を通った。
智也は比嘉智也という名前で、26歳の獣医師。穏やかで優しい性格だが、少し内向的だった
智也もゲイだが、周りの人には隠していた。
智也はアパート暮らしだったので、犬を飼うことができなかったが、犬好きだった。
智也は健太とコロに目を留めた。
コロは元気よく歩いていて、毛並みも艶やかだった。
「可愛い犬ですね」と智也は声をかけた。
健太は振り返って智也の顔を見た。智也は紺のスクラブ姿で笑顔で立っていた。健太は智也の優しい笑顔に惹かれた。「ありがとうございます」と健太は答えた。コロも智也に懐いて尻尾を振った。
智也は健太に自分の名前と職業を紹介した。健太も自分の名前と職業を紹介した。
智也は健太に「コロくんは何歳ですか?」と聞いた。
「まだ3ヶ月です」と答えた。
「3ヶ月でこんなに大きくなったんですか?すごいですね」と感心した。
「ええ、元気すぎるくらいですよ」と笑った。
「コロくんはどこで飼い始めたんですか?」と聞いた。
「実は、会社の同僚から頼まれて引き取ったんです」と話した。
「そうなんですか。それは大変でしたね」と同情した。
「でも、コロくんがいると楽しいですよ。一人暮らしだったので、寂しかったんです」と言った。
「一人暮らしなんですか。私も一人暮らしです」と言った。
「そうなんですか。じゃあ、わかりますよね。一人暮らしの寂しさって」と言った。
「はい、わかります。私も犬が好きなんですが、アパートだと飼えないんです」と言った。
「それは残念ですね。でも、動物病院で犬に触れることができるのはいいですね」と言った。
「そうですね。動物病院で働くのは楽しいですよ。犬だけじゃなくて、猫やウサギやハムスターなども来ますから」と言った。
「それは素敵ですね。私も動物が好きなので、羨ましいです」と言った。
以降、健太と智也は散歩の途中で話すことが日課になった。智也は健太の明るく社交的な性格に惹かれ、自分の内向的な性格を変えたいと思うようになった。
健太も智也の穏やかで優しい性格に惹かれ、恋心を抱くようになった。
しかし、二人ともゲイであることを隠していたので、告白する勇気が出なかった。
ある日、健太はコロが具合が悪くなったと思い、智也の比嘉動物病院に連れて行った。智也はコロを診察し、軽い風邪だと診断した。
「大丈夫ですよ。薬を飲ませて安静にさせてください」と智也は言った。
「ありがとうございます。助かりました」と健太は感謝した。
智也は健太の優しさに胸が熱くなり、思わず健太にキスをした。
健太は驚いたが、嬉しくて智也に抱きついた。二人はお互いの気持ちを確かめ合い、恋人同士になった。
登場人物
・犬を飼っている男性
名前:大城健太(おおしろけんた)
年齢:28歳
職業:会社員(人材派遣会社の営業部)
性格:明るく社交的だが、恋愛には奥手
飼っている犬:柴犬のコロ
趣味:映画鑑賞、カフェ巡り
名前:比嘉智也(ひがともや)
年齢:26歳
職業:比嘉動物病院の獣医師
性格:穏やかで優しいが、少し内向的
飼っている犬:アパート暮らしで飼えない趣味:読書、音楽鑑賞
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