水民マガジン 水泳 ストロークについて考える(S字ストローク)

『止まっている水をつかむ』
これは 昔からよく言われて来たことだ
そして この言葉は S字ストローク ジグザグ・プルを説明する時に よく用いられる

カウンシルマン博士が 水中で マーク・スピッツの泳ぎを観察した時に まっすぐ水をかいていない事を発見し それが揚力理論に結びついたと言われる

わたしの拙い理解で解説するが 下が平たく 上が膨らんだ 例えば 飛行機の翼に 横から空気を流すと 空気が翼に当たる入口から出口に達するのは 平たい面 膨らんだ面 どちらが速いか?
まあ 多くの人は『平たい面でしょ』と答えると思うが 答えは 同じ速さ である
ということは 膨らんだ面を通過する空気は まわり道をするぶん 空気の分子が疎ら(薄く)なる 空気は密から疎に移動する性質があるので 平たい側から膨らんだ側を押し上げる この押し上げパワーが揚力である
翼の角度を 平たい側に気流が当たるように傾けると 翼の下面(平たい側)に空気があたって まっすぐ行こうとする力と上に押し上げようとする力が生じ その合力が 翼を押し上げるパワーになるのだが このパワーが最大化する角度が 風洞実験によると 約40度 ということだ
奇しくも 人の手足は 翼の形状に似て 下が平らで上が膨らんでいる
気流と水流は 性質が非常に近いので こうした理論が当てはまる
スカーリングをする場合も この理屈を頭に入れて応用すれば 大きな間違いはないと思う

水を後ろに押して 身体を前に進めるのは 作用反作用という理屈である
つまり ものを押す(作用)と 逆に押し返される(反作用)のである
ところが 水という液体は 固体とは違い 極めて疎なので 手でかいても ほとんどは後ろに動いて行ってしまう  
そこで まっすぐ押すのではなく 揚力が生み出せる角度でスライスしながら後ろに押す
これが 『止まっている水をつかむ』という事の要諦だと思う
 
そんなわけで クロールだと 手を入水した直後 手のひらを外・後ろに向けて 外にスライドさせ 次に手の角度を内側に向け 身体の中心ラインに向かって横滑りさせながらTポイント(鎖骨のあたり)まで引いてくる
これがプル
肘は 約90度 曲がった状態だ
ローリングと共に 胸の前からの大腿にむかって 肘を伸ばしつつ 水を押す
これがプッシュである

身体を基準にするなら 腕を前に伸ばした地点から 外 内 外に腿までS字 もしくはジグザグにかいているが 手の位置を基準にして 客観的に定点観測するならば かきはじめの位置を じわじわと後退させながら 外 内 外に 約40度の角度でスライドして 身体は腕を前に伸ばした位置から腿の位置まで 移動する図が見られるだろう

まとめると 作用反作用を効果的に行うために 揚力を同時進行させる事により 止まっている水を押すことができる 
それがS字ストローク
だと思う

※ あくまでも 個人の意見です


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