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ジャズ  エリック・ドルフィーにハマった日々 アウト・トゥー・ランチ

鳥の囀りのように自由なのに 完全にコントロールされているフルート
レンジのほぼ限界を上下しながらも メロディーの美しさを忘れないアルト・サックス
ぶふおっ ばふぉっ なバス・クラリネット柔らかい木漏れ日のようなクラリネット
どれも個性的で ブラインド・フォールドテスト(演奏者の名前を伏せて 演奏だけで誰かを当てる遊び)で 難易度が低い と思う
そんなエリック・ドルフィーにハマった時期があり 今でも たまに聞きたくなる
発端は ジャズを聴き始めた頃 最初に選択したコルトレーンのライブ盤(確かヨーロッパのパリかどこか)のLPである
ジャズを多少なりとも知っている人なら この選択は 非常にリスキーだと思うだろう
ライブだと音も悪いことが多いし なんせ 一曲27分の演奏に耐えられるか?
たぶん『もうジャズみたいなわけのわからんもんに 付き合ってられるか』と思うのが関の山やで 
今のわたしが 20代前半のジャズ初心者のわたしに 薦めるとすれば
20代『コルトレーンのやつでええレコード知っとおか?(神戸弁)』
62『せやなあ やっぱりブルーノートっちゅうレーベルから出とる『バラード』か『ブルートレイン』がええやろな 『至上の愛』やと10年早いわ』
となるだろう
しかし 最初に手にしたライブ盤が正解だったのは そこにエリック・ドルフィーがいたからだ
『バラード』や『ブルートレイン』だと エリック・ドルフィーとの出逢いは いつかあったにせよ かなり後になっただろう
LPレコードの中の27分の演奏の曲は 
『マイ・フェバリットシングス』であり これを聞いた途端 『わたしのお気に入りやん』と思った
つまり『サウンド・オブ・ミュージック』でジュリーアンドリュースが 子どもたちと歌っていた曲である
知っている曲であること それをジャズはこんなふうに表現するんや という驚き コルトレーンの吹いているソプラノ・サックスの 不思議な音色
悪くない
そこに登場するフルート
わたしは フルートという楽器が 女性的で軟弱で どこか取り澄ました 鼻もちのならない そんな代物だと思っていた しかし 永久輪廻チャルメラ・サックスのコルトレーンに 1歩も引くことのない 強靭にして自由なフルートに 引きずり込まれた
引きずり込んだのは
エリック・ドルフィーである
それから程なく 小・中・高の間 管楽器といえば ソプラノ アルト・リコーダー ハーモニカ しか触ったことのないわたしが 発作的にフルートを買うことになる
それはさておき その後 わたしは エリック・ドルフィーを求めて さまよい歩く事になる
ジャズの面白さは サイドメンや共演者に興味を持ったら そちらに興味のキャパシティが広がっていくところにあると思う
それは 最終的に゙ひとつの到達点に集約されるわけではなく いくつかの到達点が併存することになる
そのひとつの到達点が
『アウト・トゥー・ランチ』である
わたしは このアルバムは 唯一無二の(シュール・ジャズ)だと思う
ホットな クールな ファンキーな など 色々と形容詞をつけられるジャズは多いんだが シュールという言葉にふさわしいものはわたしのジャズの あまり豊富とは言えないキャパシティ内にはない
誰か教えて〜
以後 わたしのジャズを探す中で アウト・トゥー・ランチみたいなやつ というテリトリーが加わる
しかし エリック・ドルフィーの他のアルバムを探しても フレディー・ハバード トニー・ウイリアム ボビー・ハッチャーソンを探しても アウト・トゥー・ランチなシュールなアルバムは まだ見つかっていない

 




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