カヴァー・アルバムが好き! 5 『電撃的東京』近田春夫&ハルヲフォン
巷が歌謡曲に溢れていた頃 映画音楽が好きだった
サントラ盤にはこだわった
サントラやなければ映画音楽やない
とすら思っていた
昔 両親が『歌謡大全集』みたいなレコードセット!を 通販で買った
8枚組とか10枚組の(何枚だったかは忘れたが)セットで 当然値段もそこそこする
届いたレコードの 装丁は豪華だったし 解説も分厚かった
しかし
石原裕次郎の歌を 別の知らない歌手が歌っていたり
要するに 本人歌謡ではなかったのである
両親は 落胆の色を見せながらも
でも 演奏はちゃんとしている
とか 良いところを評価しながら それなりに愛聴していたようだ
しかし わたしは
ホンモノしか聴かへんからな
と 心の底で思っていた
サントラは本人歌謡だ
そんな意識があったような気がする
だから『パーシー・フェイスと彼のオーケストラ』の『映画音楽大全集』などを 毛嫌いしていた
そんな中で映画作家 ヘンリー・マンシーニやニーノ・ロータやモーリス・ジャールやジェリー・ゴールド・スミスやバーナード・ハーマンやジョン・ウイリアムスやエンニオ・モリコーネや武満徹や佐藤勝や伊福部昭や芥川也寸志や まあ 色々と興味を持った
話があらぬ方向に行きつつあるので 元に戻そう
歌謡曲には何の興味も持たなかった
しかしながら 昭和30年代40年代50年代の歌謡曲は めちゃ知っているし 何ならカラオケにかけると歌えるであろうレパートリーは かなり多い そらでは歌えないが・・・
「そんなん 普通やん」
そうである 還暦を少し過ぎた わたしより
上の世代 わたしより 10才前後 下の世代だと それは普通なのだ
もちろん 世代によって 知っている曲の濃淡はある
しかし 今よりテレビの依存度が 段違いに高く 情報の均質性が高かった時代は ヒットした歌謡曲は 国民のかなり多く(ほとんどと言って良いかも知れない)が知っており 自然に刷り込まれたのである
『電撃的東京』の曲は ほとんど知っている が 興味があったから知っているのではなく 巷でよく流れていたから知っているので 顔と名前は知ってるけど 話したことはないし 向こうも自分の事を知らないし そもそも会釈すらしないぐらいの間柄である
それを 近田春夫が紹介してくれる
『こいつはさあ 大人しく見えるけど 実はひょうきんなやつでさあ』
『本当はこいつ 恐ろしいやつなんだよ』
そんな彼のアレンジの『歌謡曲』は むちゃくちゃヤバく 面白かった
オリジナルは郷ひろみ 森進一 山本リンダ フォーリーブス ピーター! 沢田研二 ザ・ピーナッツ
書いているだけでゾワゾワする
ほとんどの曲は 1970年代だが わたしが好きなのは 1966年発表の『ついておいで』
たぶん グループ・サウンズだろう
「シャープ・ホークス」というグループはよく知らない 南海ホークスなら知っているが
1966年というと わたしは5才である
おそらく ビートルズに触発されて 雨後のたけのこのように発生したグループのひとつなんだろう
しかし 5才のわたしは ビニールパイプをつないで 色々なモノを組み立てるおもちゃで エレキギターを作って それをかき鳴らす(ていで)
♫ アビリパリバラバラ
と歌いまくる 同級生の幼児を リアルタイムで目撃している
たぶん その時期に相当流行っていたと思われる
グループ・サウンズとロックの違いは 自分の事を ボク と言うか オレ と言うかの違いだと思う 知らんけど
グループ・サウンズは 金はあるけど知能指数が低い ロックは 盗みをするが 頭は良い 知らんけど
グループ・サウンズは彼女がいるが ロックには 女がいる 知らんけど
『ついておいで』
春夫さん あんたについていくぜ!
そう言って ママチャリで街を駆けたくなるようなナンバーだ
何曲か 他に好きなのを紹介する
『東京物語』
地方から流れてきた2人が たまたま知り合って 都会に押しつぶされそうになりながら生きているふたりを歌う アーバン演歌が アップテンポのロックチューンになる
子羊みたいに肩寄せ合ってる場合じゃないぞ!
近田版の高速テンポで森進一に歌って欲しい
『恋の弱味』
我々の世代の男が 子どもの頃には 唾棄すべき存在だった 郷ひろみ
♫ キミたち女の子 GO GO
ボクたち男の子 GO GO
じゃかあしやい!
おゾゾが走るわい!!
ところが 多分だけど 大きな声では言えないけど 今なら歌える
男の子女の子が 還暦過ぎたジジババだったりするのだが・・・
それはそうと ひろみ郷 70近い今も 永遠の男の子だ GO GO!
そんな郷だが こんな良い歌も 歌っていたんだ と自分の中で(今まで 興味のかけらもなかったが)再評価したのが この曲だ
出だし 最初の展開 サビ サビのあとのまとめ (すません 専門用語を知らないんで こんな表現になってしまいました)
すべて良い
『きりきり舞い』
『狙いうち』『どうにも止まらない』もしくは『困っちゃうな』といった 誰もが知るスーパーヒットを押しのけて『きりきり舞い』
あ そういえば こんな曲もあったなあ
と思いだす
そして この曲の選択が 電撃的東京的アレンジには まったく正しい
『人間狩り』
ピーターというタレントが 子どもの頃は 好きになれなかった
正月のテレビ番組で ピーターが ちあきなおみのモノマネをやっているのを観て 子どもながらに あ この人意外と面白い と思った
映画『乱』に出ているのを観て 好きか 好きじゃないかを横において その存在感に感心した
こうして彼は 人間の心を狩っていくのである
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